17 何気なく出してしまった話題
「キャンティってさ。もてるんだってね」
「そうねえ」
サリは二人きりでいるときでも、言葉少な。
話題を振り続けなければ、黙っていることが多い。
これで、ヘルシードのホステスが務まるのかしら、と思ってしまうが、案外、それが魅力だという御仁も多いと聞く。
「なんだかなあ」
チョットマは口を尖らせた。
サリと話すとき、少し無理をして会話を繋いでいると感じる。
そして、お姉さんに話しているような気分にもなる。
ああ、あの頃は楽しかったなあ。
あの頃と同じように話したいなあ。
しかしサリの口は重い。
どうでもいいことであっても、何気なく始めてしまった話題を続けざるを得なくなるのが常だ。
「どんな人? キャンティを好きな人って」
「さあ」
「教えてよ」
「聞いてどうするの?」
なんとなく、そう思うだけ。
あなたと会話を繋ぐために。
それに、感じていた。
キャンティが自分に対抗心を持っていることを。
「だって、あの子、やけにつんけんしてるから」
「そう……」
肯定とも否定ともつかない口ぶりで肩をすくめるだけのサリ。
ただ、その横顔は少し微笑んでいる。
機嫌は良さそうだ。
「彼女のこと、もう少し知りたいのよ」
私はニューキーツの住民の主だった人たちにとって、いわばアイドル。
だと感じている。
それをキャンティは知っているだろうから。
だから私もキャンティのことを。




