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15 金髪ポニーテール

 ようやく自分に似合う色のパンツを袋に押し込んだ時だった。

「あ、レイミじゃない?」


 チラリと、ラックの間を人影が通り過ぎていくのが見えた。

 同じように、衣料品を入れる袋を持って。

 チョットマは声を掛けようとしたが、イペが止めた。

「違うでしょ」


「えっ、でも」

「他人の空似」

「そうかな……」


 あれはレイミだったと思う。金髪でポニーテールなんて、そうそういない。

 しかし、イペは、

「彼女の誕生日、今日じゃない」と、言った。

「そうなの?」

「そうよ」



 腑に落ちない気がしたが、既に人影はない。

 ラックにうず高く積まれた衣料品が視界を遮って、どこに行ったか、もう分からなかった。


 金髪ポニーテールを追いかける気はない。

 レイミとは年齢も近く、イペ以上に仲良しだが、今ここで、喜々としてレイミを探すのは止めた方がいい。

 イペに対しても、サリに対しても。

 なんとなく。



 チョットマは胸中に生じた落ち着かなさを紛らわすために、あえて、つまらないことを口にした。 


「ここって、迷路みたい。というか、はぐれちゃったら、二度と出会えないかも」

 サリが仄かに笑ってくれた。


「ねえ、制限時間が過ぎたら、誰か係員が探しに来るのかな」

「だと思う。探しに来るというより、強制的に退去させられると思うよ」

「どうやって、私たちを見つけるのかな」


 サリが今度ははっきり笑った。

「そんなことも知らなかったの?」

「なによ、偉そうな言い方」

「これ」


 サリが、自分の袋を持ち上げてみせた。

「ここ。チョットマの袋にも付いてるでしょ」


 なるほど、ごく小さなタグが付いている。


「これで行動は追跡されてるってこと」

「そうか、あんまりコスメコーナーをうろついてると、怪しまれるってことね」

「だね」


「あ、制限時間、過ぎてる。逮捕されないうちに、出ましょ」


 そう言うイペの顔がこわばっているように見えた。

 くるりと背を向けると、先に立って歩き出す。巻き髪が大きく揺れた。


「急いで」


 一人十点、選び終わっている。もう用はない。


「化粧品コーナー、今日でなくていいでしょ」

 サリも背中で言う。

「ちぇ」


 駆け出しながら振り返ったが、やはり金髪ポニーテールの姿はなかった。

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