メニュー1 喫茶店 彩
閑静な住宅街が密集しているこの区間に、ひっそりと佇んでいる喫茶店があった。
その喫茶店で提供される飲み物の種類は豊富で、少し判りづらい場所にあるため知る人ぞ知る名店として地域の人々に愛されている。
喫茶店を経営している店主がとても若い男性で何時も燕尾服にとてもよく似た格好でカウンターに佇んでいる。性格も温厚で然もイケメン。女性のお客さんの中には彼目当てで通っている人もいるらしい。
カランカラン。
ドアに付けられたら鐘の音が鳴り響く。
喫茶店の店主、宮部ヨシトは拭いていたコップから顔を上げて笑顔でお客様を招き入れる。
「いらっしゃいませ、お客様」
今日も喫茶店には穏やかな空気が流れている。
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常磐津公立高校に通う手塚実来は少し憂鬱な気分でいた。実来の姉は今から八年前にいきなり失踪した。当時は家出か誘拐かと騒がれたが手掛かりが何もなく、財布などといった貴重品も家に置きっぱなしであったことなどから事件性が高いと警察は今でも姉を探している。
その前にも従姉妹が失踪している為、同一犯による連続誘拐ではないかと言われ、遂には呪われているのではないかという噂まで立つほどだ。
でも、私達家族は知っている。姉や従姉妹が決して見つからないことを。
思わずため息をついて歩いていると、ふと視界の隅に何かを捉えた。
意識してよく見てみるとそこには瀟洒な喫茶店がポツンとあった。こんな所に喫茶店があったんだと、実来はふらりとその喫茶店に立ち寄った。学校も終わり、部活も早くに終わってこの後何も用事のなかった実来は偶には良いだろうと喫茶店のドアに手をかけた。
店の看板には喫茶店 彩とあった。それがこの店の名前か。
カランカランと軽やかな音を立ててドアに付けられていた鐘がなる。
「いらっしゃいませ、お客様」
カウンターの奥からこの店のマスターと思われる男性が来店の挨拶を告げる。
これが手塚実来と宮部ヨシトとの始まりの出逢いであった……。
はい、皆さん。お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが。この女子高生、一言シリーズの主人公の妹、実来さんです。
そして特別企画!
イヴとクリスマスの二日に渡って期間限定小説をアップします!
皆様、お楽しみに~ヾ(≧∇≦)