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ダイケ  作者: ochitsuki
6/8

オムマ入学試験 第三話

太陽はほとんど沈んでいた。

勝利は遠い。


ダイケは打開策を見つけられない。

オットーも槍使いと膠着状態に陥っていた。


上からの一撃。

オットーは斧の柄で受け止める。


(なるほど。こいつ、互角だと思ってやがるな)


体勢を立て直す。

そのまま正面から突っ込む。


槍使いは素早く回避した。


相手は戦闘中ずっと全身にタルモを回している。

だがオットーは、ほとんど使っていなかった。


わざとだ。

タルモを下手に隠し、消耗しているように見せていた。


(そろそろだな……)


攻撃をかわすと同時に、脚と腕へ一気にタルモを流す。


地面に亀裂が走る。

人間離れした速度で踏み込み、斧の柄を顔面へ叩き込もうとする。


(もらった)


だが。


槍使いは即座に受け止め、ほぼ同時に刃でオットーの脚を突いた。


血が噴き出す。

オットーは膝をついた。


(くそ……このままじゃまずい。治せなきゃ、気を失う。試験は終わりだ)


「その小細工が通じると思ったのか? タルモ切れのフリができるのは、お前だけじゃない」


槍先を向けられる。


「斧を捨てろ」


オットーは従うしかなかった。


「頭の後ろに手を回せ。武器と水晶玉を確認する」


槍使いが近づき、身体を探る。


オットーは歯を食いしばる。

悔しいが、どうにもならない。


(水晶玉がなければ、相方を探すまでか。ピが足止めできてればいいが)


「玉は持ってないようだな」


気絶させようと構える。


――その頃。


ダイケは策を思いついていた。


(もうすぐ捕まえる)


矢をかわしながらピに接近する。

腕と脚にタルモを集中。


瞬きする間に間合いへ。


迷わず弓を破壊し、剣で前腕を斬る。


「玉を持ってるな?」


「は、はい……」


ピは震えながら水晶玉を取り出す。


怪しい動きをされる前に、ダイケはタルモで一瞬で奪った。


少し落ち着き、タルモ感知を発動。

オットーの様子を探る。


――異変。


考える暇もなく走り出す。


(何が起きてる? 互角のはずだろ。オットーはまだ本気じゃなかったはずだ)


ピはその場で立ち尽くしていた。

近接では勝てない。完全に格上だと理解していた。


(急げ……くそ。オットーが落ちたら終わりだ。負けられない)


呼吸が荒い。

心臓が暴れる。


タルモで加速している分、疲労は倍だ。


(まだだ。タルモは生きてる。終わってない。でも時間の問題だ……あいつは俺に気づく)


息を吸う。


遠くに見える。


(ここからなら届く。これ以上は近づけない)


ダイケは叫んだ。


「おい、槍のやつ! 仲間を気絶させるな! 水晶玉は二つ、俺が持ってる! やったら壊すぞ!」


槍使いは舌打ちする。


(声がでかい。他の連中にも聞こえたな……玉の再生には時間がかかる。ピが来ないなら無防備。近くにいるはずだ。なんであんな雑魚と組んだ……)


走る体勢に入る。


(近づいて潰す。玉も奪う)


オットーは倒れたまま。

相手は余裕がある。


(速いし強い……)


一瞬で間合いを半分詰められる。


ダイケは背後へ水晶玉を全力で投げた。


槍使いが目の前に来る。

柄で殴りに来る。


ダイケは短剣を投げ、軌道を逸らす。

そのままオットーの方へ走る。


槍使いは玉を掴む。


再び追おうとした瞬間。


ダイケが振り向き、もう一つの玉を顔面へ投げつける。


さらに走る。


槍使いはそれも掴んだ。


追撃しようとする。


だが。


一つ、見落とした。


ダイケが逃げるだけだと思い込んでいた。

格の差を理解し、怯えていると。


傲慢だった。


二つ目の玉の直後。

ダイケは短剣を投げていた。


掴んだ瞬間、腹に深々と突き刺さる。


血が流れる。


「……っ」


追撃の気配は消えた。


(クソ虫が……嵌めやがった。だが玉は奪った。俺たちのも回収した。仕留めきれなかったが……)


腹を押さえる。


(ピと合流して離脱だ。治療もしないと……)


一方、ダイケは走り続ける。


「はぁ……やった。あとはオットーの手当てだ。すぐ離れる。夜も越えなきゃいけない」


空を見上げる。


「……最悪だな」

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