【日常の3】サントラ盤作ってみた。
「……馬鹿じゃないの?」
いきなりそれ言う?
◇
「映画にもなってないのにサントラ盤もないでしょうよ。」
ところで、サントラ盤ってどういう意味だっけ?
「意味知らずに作ったの?」
いや、映画音楽のアルバム、ってくらいの理解だったんだけど。
「大体それで合ってるけどさ。」
君の初主演作でしょ、『ヘネラリーフェのほとり』。
「だから映画じゃないって。そもそも素人が書いたネットの短編小説じゃないの。」
◇
もともと『ヘネラリーフェのほとり』っていうギター曲から発想して書いた短編だったから、最初から音楽との相性は良かったんだよね。
「まあ、それはそうかもね。」
で、書き終わったら、なんだか音楽をつけてみたくなった。
「ふんふん。」
でも、短い話だから、時間的には『ヘネラリーフェのほとり』一曲で全体カバーできちゃうことに気が付いた。
「それは別にいいんじゃない。」
なんで?
「仮に映画になったとしましょう。でも実際に映画で使うのは曲の一部でしょ?それをフルコーラスで聴きたい、って人のためのサントラ盤だからさ。そもそも、サントラ盤聴きながら映画見たりしないでしょ?」
………ほんとだ。
「今頃気づいたのね(笑)。」
◇
「で、どうやって作ったの?」
YTmusicってサイトで、自分の好きな曲を拾って編集して、アルバムみたいなの作れるんだよ。
「へえ。」
しかもそれを公開できる。
「そうなんだ。でも著作権とかどうなるの?」
そもそも月払いのサブスクで自由に音楽を聴ける、ってサイトだから、アルバム編集して公開しても、著作権料は支払い済み、って考えなのかな。
「そうか。」
一度、自分用に再生リストを作ったら、うっかり公開設定にしてたので、ある日「いいね」が来ててびっくりしたことがある。
「それは驚くわね……」
◇
「で、どんな感じになったの?」
こんな感じになりましたとさ。
1.ヘネラリーフェのほとり(ホアキン・ロドリーゴ作曲、ジェレミー・ジューブ演奏 以下同)
2.アンダンテ・モデラート
3.トッカータ
4.サパテアード
5.パストラル
6.祈りと踊り
「いきなり最初に『ヘネラリーフェのほとり』出てくるんだ。」
臣下の一族が首を切られる残酷なシーンに合わせてみました。
「ええー。」
残酷なシーンにこそ美しい映像と音楽を、ってね。
「誰のセリフよ?」
デビッド・リーン。『ドクトル・ジバゴ』を撮った人だよ。
「ふーん。」
次がアンダンテ・モデラート。砦での最後の食事のシーン。
「静かな曲ね。これはいい感じ。」
3番目は『トッカータ』。百年前の回想シーンに。
「私が市場で暴れるとこね。なんとなく回想っぽくていいかも。」
4番目はサパテアード。アイシャとの出会いの場面に。
「サパテアードはフラメンコのタップダンスよね。真剣での手合わせのシーンに舞曲は合うわね。」
5番目はパストラル。なんか卒業式っぽい雰囲気の別れの曲。
「駄目これ泣きそう。」
泣いてはいけませんダンタリオン様。で、最後が『祈りと踊り』。
「私が飛び去る所ね。でもこの曲長くない?」
映画だと、門扉を閉めるシーンあたりから曲が始まって、最後ヘネラリーフェの上空を過ぎてもしばらく飛ばせて、長めのラストシーンにするのかな。
「なるほど。」
◇
ま、シャレだけどね。
「こういうシャレこそ本気でやんないと楽しくないわよ。」
そうかも。
「小説にリンク張ってみれば?」
それ考えたんだけど、うっかり著作権問題が発生したりするとあれなので、やめときます。
「そう。」
著作権が切れるのが没後70年らしいんだけど、ロドリーゴの没年が1999年。
「すごい最近の人じゃない。」
なので、私が一人で楽しむだけということで。
「なんだつまんないなー。」
◇
「小説の方のリンクくらい貼っておいたら?せっかく読んでくれてるのに、何の話してるのか分からない人沢山いるよね。」
そうだね。私の短編小説「ヘネラリーフェのほとり」のURLだけ載せときます。
https://ncode.syosetu.com/n9289le/
◇
「じゃ、またね。」
はい、おやすみダンタリオン。




