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指名依頼



今日は放課後に校長室に来るように言われていた。

校長室は魔法試験場の許可をもらったときに初めて来たが、とっても広くて窓が大きい。

窓というよりも壁がガラス張りと言った方が正確かもしれない。

校長室に入ると僕の他にもリリーロンド殿下とアノン殿下がいた。


そして、もう1人、知らない女子生徒がいた。

ベレー帽に5本のラインがあるので最高学年である5年の生徒だ。

椅子に座るように言われて女子生徒の隣に座る。

「魔法士団からの依頼です。リーデル王国との国境沿いにある森から魔物の大量発生が起こり治癒魔法に長けた2人の派遣要請がありました」

校長の隣に座っていた魔法士団の団服を着た人が校長の後を受け、僕と先輩の2人に紙を渡しながら話す。

「出発は夕刻。準備を終えたら学校の玄関に集まってください。わたしに同行してもらいます」

...え?

僕が飲み込み悪い顔をしていたせいか校長が説明してくれた。

「魔法士団から依頼があることがある、と入学時に説明しましたね。今回は治癒魔法に長けている2人に指名依頼とのことです。拒否権はありますが、拒否した場合、卒業したときに魔法士団への入団に響くことがあります。それから報酬もあります。受けた方が良いでしょう」

そうだった。

僕が依頼を受けるのは初めてだったので、ちょっとびっくりしたけれど宮廷魔法士になれば、これが仕事になるんだし絶対受けた方がいいよね。

ただ1つ気になる点が。

「明後日からある試験はどうなるんでしょう?受けられないですよね」

「受けられないでしょうね。しかし勉強したことは次に活かせば良いでしょう。試験は、またあります」

そうだけど1年で3年生になることは事実上無理ってことだ。

ちぇ。

でも治癒魔法を使える魔法士がいるということは、それが必要な人がいるってことだ。

そんなこと言ってる場合じゃないな、と思い直して気を引き締める。


「わたしはお受けします。わたしは寮生なので、すぐ準備できますがアルフレート様は急いだ方が良いのでは?」

「あ、そうですよね。僕もお受けします。母にも伝えないといけないので、もう行ってもいいでしょうか」

「結構。では2人の健闘を祈ります」

...ん?

なんか、さらっと言われてスルーしちゃったけど、あの先輩、僕の名前とか寮生じゃないとか、よく知ってるな。

自己紹介もしてないし校長たちからも名前呼ばれてないような気がするけど。


校長室を出た所でリリーロンド殿下に声をかけられる。

「アルフレート。送迎にオレの馬車を使うといい」

なんですとー?

伯爵家の馬車だって緊張してた(もう慣れたが)のに王子の馬車ですと?

「いえ、そんな恐れ多いことできません」

「気にするな、国からの依頼と同義だ。オレが協力するのは当然だ。行くぞ」

えー、ちょっとー。

さすが王族、強引~。

「いいんじゃない?その分、ゆっくり準備できるし送迎されなよ」

「でもアノン殿下。殿下まで巻き添えになりませんか?馬車1台ですよね」

そうなのだ。王族2人なのに馬車1台で通っているんだよね。

他の貴族や教師にも馬車で通学している人もいるし学校付近が混まないように、という配慮かららしい。

王族がそんな配慮をするのに他の者が配慮しないわけにもいかず学校付近での混雑は避けられている。

低位貴族は馬車止めまで来ないようにしているくらいだし。

「それこそ気にしないでいいよ。発生場所が、うちとの国境辺りだしね。リーデルも騎士団と魔法士団を派遣しているから他人事ではないんだ。ケガしているリーデルの者がいたらよろしく頼むよ」

「それはもちろんですけど、やっぱり気が引けるというか...」

はっきり言って気まずいです。

王族と一緒の馬車って!

助かるっちゃ助かるんだけど遠慮したい気持ちのでかさよ...。


王家の紋章は入ってないけど立派な馬車に乗って家の近くまで送ってもらう。

気まずさったら、もう...。

何故か王子2人に挟まれたのはなんでだ。

しかも学校まで送ってもらうということは、その間、王子たちを待たせることになる。

送ってもらえただけで十分だから、とお願いしたが帰ってもらえず、結局学校まで送っていただいた...。

王族を足に使うとは何様だよ、自分。

気さく過ぎるぞ、殿下たち。



◇◇◇◇◇◇◇◇



あー。前世持ちで良かった。魔力豊富で良かった。治癒魔法使えて良かった。

だって、あのアルフレート様と一緒に任務につけるんだもの!

ちょっとくらいの危険はドンとこいよ!

いや、ホントに来たら嫌だけど今回は後方支援になるはずだしリーデルからも人が派遣されているようだし、心配はしてない。

虹の会メンバーとして報告義務がありそうだから、そこは少し面倒だけど、めっちゃワクワクするー!

もー、アルフレート様、超可愛いんですけどー。

殿下に手を握られて「まだ学生なのだし、ケガのないように気を付けて」とか言われて少し赤くなってるところとか写真撮りたかったわー。紙と絵の具があればできるのに!

いいわー、美少年の2ショット。

別に腐女子じゃないけど、いいわよね、やっぱり。


アノン殿下が「見れないのが残念だが、頑張って来いよ」とアルフレート様の頭をなでなで(なでぽね!←違う)したらリリーロンド殿下が、その手を弾いたりしてナニコレ、楽しすぎるんですけどー。

いいぞ、もっとやれ。

いつまででも見ていられるわ。こりゃいかん、職質受けるレベルで怪しくなりそうだ、あたし。

口がむにむにしちゃう。

殿下たちが見送ってくれるというイベント(違う)があって手をおずおずと振り返すアルフレート様。か、可愛いー。真正面から見たあたしの衝撃がわかる!?

思わず口を押えたわ。

今、絶対見せられない顔してる自信あり、よ!


向こうに着いたら写真(じゃないけど写真と呼んでる)を作りまくるわ!

紙と絵の具は持ってきてるものね!

卒業も見えてきたし、写真魔法を公表してもいい頃よね。

虹の会で高く売れないかしら。




前世持ちで、虹の会メンバーの先輩(12歳)でした。

写真魔法ですが、使ってるところを見たら前世持ちの人なら皆、ある程度できそうですよね。


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