14話 君との出会い~文菜編~
遅めの夕食を食べる晴葵達。
「ねぇねぇ!今日はみんなでここで寝ようよ!」
小弓の提案で二階で寝ることになった五人。
女子にソファーを譲り、男は床で眠る。
本当は昨日もソファーで寝たので今日は体を伸ばして寝たかったが、これはこれで悪くないと思う幸大。
そして、全員が寝静まった頃。
晴葵は揺さぶられる感覚で目を覚ました。
「晴葵先輩」
「ん、文菜。どうかしたか?」
「しー!」
口の前で指を立てる文菜。
いそいそとソファーの奥に移動して晴葵のシャツを引っ張る。
「風邪ひきますよ。どうぞ」
「ん。いいのかい?」
本音を言えば少しでも柔らかい所で寝たい。
しかし他の男二人に申し訳ないのと、さすがに男女が密着して眠るのは、いくら変態の晴葵でも気が引ける。
「俺のことは気にしなくていいから。広々と寝なさい。それに眠くて動くのも面倒だ」
かなり魅力的な誘いを、眠気のせいにして断る。
心は血の涙を流していた。
「……じゃあ、私も床で寝ます」
ずずいと晴葵のタオルケットに潜り込んでくる文菜。
「ちょちょちょい、さすがにこれは……まずくないかい?」
慌てて起き上がる晴葵。
その体を抱きしめる文菜。
「……晴葵先輩は。私の命の恩人なんです」
文菜が晴葵に強くしがみつく。
「文菜……」
晴葵は文菜の頭に優しく手を置く。
そして、思い出す。
彼女と最初に会った時のことを。
それは今年の四月。
女子が着替えている教室の前で、晴葵と匡也が極秘ミッションを話していた時だ。
「何してるんですか?」
匡也の作った『すりガラス透視機』なる物を試していた二人の背後から声が聞こえた。
振り返るとそこには、ニコニコした笑顔の女子が立っていた。
それが、白四文菜だった。
「な、ななな何もしておらんでござるよ!」
「そうそう。俺たちは実験中なだけだ。怪しいことなど何もしていない」
猛烈に慌てる匡也と落ち着いてニヤニヤしている晴葵。
この時、文菜は二人を純粋に面白い人だと感じていた。
小柄な男は入学式の時に隣だったから知っている。
黄三匡也。
集合写真の時、周囲が引くくらいの決めポーズを取っていた人。
そして、隣の男は新入生の女子達に『素晴らしい谷間だ』などとセクハラをしていた人。
黒一晴葵。
文菜も『ブラチラとは見込みがあるな』と褒められた(?)記憶がある。
在校生二年の方に座っていたので一つ上の先輩だ。
セクハラで留年していなければ。
「確か、晴葵先輩と匡也やっけ?」
「む、拙者達のことを知っているとは……お主、暗黒機関のスパイか!」
匡也の言ってることは意味不明だったがこういう人物ということは入学式で知っているのでスルーする。
「スパイじゃないし……っていうか、今って教室は女子着替え中ですよね?ってことは……あー、覗き魔ですか」
ニヤっと文菜は晴葵達を見る。
これはからかうと面白い。
そう考えたが、慌てふためく匡也とは反対に晴葵からは落ち着いた、そして予想だにしなかった言葉が返ってきた。
「そうだよ。こちらは女体の神秘を研究中だ。よければ君も一緒にどうかな?」
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