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第24話:宙を望む少女

 透き通った湖に体を浮かせながら、二人の少女が空を眺める。


 地上に灯がほとんど無いためか、天上は星々の光に満たされていた。


 その輝きの全てに、二人の故郷ともこの星とも異なる世界があるのだろう。


「全部の星に行こうとしたらどれくらいかかるかな?」


「さあ……一日一つのペースでも何年かかるかわかったものじゃない。こうしている間にも気まぐれに星は増えていくし」


「人がいる星にだけって絞っても大変そうだねー」


「その条件ならその内追いつくかも。でも、百年やそこらじゃ終わらないでしょ」


「そうだよね。百年以上かー。年的にはアニエスもおばあちゃんだ」


「そんな年まで生きるつもりなら不老の魔法くらい覚えるわよ。前に理論は見せてもらったし」


 二人が旅を始めたのは、どちらかと言えば消極的な理由からだった。


 元居た場所にそのまま居続けると問題があった、それだけだ。


 そこにこの宇宙の全ての星を巡ろうという意志は無い。


 だが、時間の許す限り旅を続けるつもりではいる。


 続くフィーネの言葉は、至って自然だった。


「あとどれくらい見て回れるかな」


 その何の気も無い一言。


 それが、アニエスの心の深くに棘のように食い込んだ。



          ***



 沐浴を終えた二人は元通りに服を着て借りている家へと戻って来た。


 備え付けの照明などは無いため、狭い範囲だけ魔法で照らして就寝の準備を整える。


「明日は楽しみだなー」


「……湖から頂上を見た感じ、あまりいい予感はしないけどね」


「そう? ボクはお祭り前夜みたいでわくわくしてるけど」


「はしゃいでレジェとリデルの護衛を忘れないでよ」


「もちろん。魔王が出てきても神様が出てきても、アニエスと二人は絶対に傷つけさせないよ」


 明日は早朝には出発する。二人は身支度だけすればいつでも動けるように準備した。


「そういえばさっきは果物しか食べてなかったよね。おなか減ってない?」


「今日は疲れたから、朝に食べる」


「育ち盛りなんだからちゃんと食べないと。お胸も萎んじゃうよ?」


「引っ叩くわよ」


 くだらない軽口を叩き合いながら、二人はすぐ隣同士の敷物に寝転ぶ。


 ブランケットはそれぞれ拠点から持参しているものを被った。


「おやすみ、アニエス」


「うん。おやすみなさい、フィー」


 短い挨拶を経て。この星での一日が終わった。

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