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第一話「どうせ、これもハズレだ」
私は、西園寺 翠。
半年前から、お見合いを繰り返している。
正直、ハズレくじを引きっぱなしだ。
別に結婚したいわけじゃない。
ただ、叔母に半ば強引に連れて行かれているだけだ。
一人目。
声は、やけに落ち着いていて心地よかった。
「母も同じことを言っていました」
……会話の三分の二が“母”で占められていた。
二人目。
笑顔で話し始めたと思ったら、止まらなかった。
専門用語の洪水に、相槌だけが上達する。
……質問をした覚えは、たぶん一度もない。
三人目。
理想を語る姿は、最初だけは立派に見えた。
「普通はこうするべきです」
……その“普通”に、私が含まれていない。
──全部、ハズレ。
期待する方向が間違っている。
そう思うことにした。
そして、四度目のお見合いの話が、叔母から持ち込まれる。
「次はちゃんとしてるから」
聞き慣れたその言葉に、思わずため息が漏れた。
気ままな一人暮らしのほうが、よほど楽だ。
そう思いながらも、眉をひそめてこちらを見る叔母に、逃げ道はないと悟る。
「……今回で最後にする」
そう言って、釣り書きを受け取った。
──どうせ、これもハズレだ。




