↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
高山加奈子は平凡を歩く  作者: 奈宮伊呂波


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
16/16

15話 何が分かんの?

「本気?」


 そう尋ねたのは優花ちゃんだ。

 お昼休憩の時、昨日のカナトくんとの一連のやり取りを話したところ、そう聞かれたのだ。

 いつもなら他の友達も一緒だが、この日はどうしても優花ちゃんだけに伝えたかったので、二人で食堂を利用していた。

 込んだ空間の中でお弁当持ちが二人で席を占めるのは少し心苦しいし、なんなら席を求めて彷徨う生徒から恨みの目も向けられたが気にしないことにした。


「本気だけど」


 加奈子がなんのけなしにそう言うと、優花ちゃんは「はあ」と大袈裟にため息を吐いた。

 聡明な方ならもうわかっているだろうが、カナトは下心から加奈子のことを誘っている。

 そのことに加奈子が気が付かないのは、ネットへの理解が薄いせいだ。アニメや声優、漫画に傾倒している加奈子だが、ネット文化には触れずにいた。

 動画配信サイトでは自分の好きなコンテンツにしかチャンネル登録はしていないし、SNSも公式アカウントや配信者のアカウントを追うくらいで、使用頻度は低い。それに加えて加奈子はテレビもあまり見ないため、ニュースにも疎い。

 そのため、加奈子はネットのことをあまり理解していないのだ。中には自己の欲望を満たすことを優先し、他者を利用しようとする人間がいることを加奈子はわかっていない。


「加奈子ちゃん。カナトくんには会わない方がいい」


 そう言う優花ちゃんは加奈子の方には目を向けず、お弁当を食べ進めていた。


「なんで?」


「端的に言うと、身体目当て」


「身体?」


「うん。絶対そう。カナトくんがそういうタイプだとは思わなかったけど、間違いないよ」


「そんなわけない」


「加奈子ちゃんはあんまり知らないかもしれないけど、よくいるんだよ。ちょっと有名になった配信者がファンの女の子とDMでつながって、実際に会おうとする人って」


「カナトくんは違うから。歌のクオリティをファン目線で見てほしいって話だし」


 あんまり知らない、という加奈子自身の無知を指摘されたことと、大好きなカナトくんを「よくいる」配信者として扱われたことに加奈子はカチンと来ていた。

 そんな加奈子の様子に優花ちゃんも気づいたのだろう。

 彼女は空になったお弁当箱を片付けて、加奈子の目を見た。


「本当にそうなら、個人的に会おうとはしないよ。それこそカラオケの様子を生配信してもいいし、二人きりで会う理屈にはならない」


「だから、カナトくんはそんなんじゃないから。ファンの子を一人一人大切にしてるの」


「違うって、大切にしてるなら二人きりで会ったりしない。ニュースとかでもよく見るでしょ? 未成年淫行とか、殺人事件にもなったりしてる。カナトくんはそっち側なんだって」


「違うから。優花ちゃんに何が分かんの?」


 加奈子は優花ちゃんを睨んだ。

 大好きなカナトくんを悪く言われるのは我慢ならない。悪く言う優花ちゃんは敵だ。だから、なんとしても言い負かしてやりたい。


「……そこまで言うなら、もう何も言わない。でも――」


 優花ちゃんはそう言い残して、席を立った。


「でも、なんだよ」


 加奈子の呟きに答えてくれる友達はここにはいなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。