お誘い
それからと言う物の、変わらずアカネと話す事は少ないカイ。
それに比例して、クラスメイトでバイク仲間の5人組とは、当たり前のように、一緒に昼食の弁当を食べたり、軽くツーリングしたりする仲になっていた。
「あのさ。」
と、根利が言う。
「一緒に筑波サーキット来ない?」
「筑波サーキット」と言う単語に項垂れる。
「CBR250R Dream Cupってレースにスポット参戦するんだよ。その時、サーキットの体験走行も出来るんだ。だから、みんなで一緒に行きたいなって思って。修学旅行ももう終わってるし、文化祭もあるとはいえ、カイと親睦を深められればなって。」
大間々も言う。
「筑波サーキットかぁ。」
カイは遠くを見る目で言う。
ここから筑波サーキットまでは、75㎞はある。
浜松から筑波まで、下道で延々、CT125で行った事や、この町まで来た事に比べるとラクだが、一つ問題がある。
皆のバイクは、神梅のカブ以外、250㏄のバイクで、高速道路も走れるのだが、カイのCT125は125㏄で、高速道路を走れない。
なので、
「誘いはありがたいけど、高速走れないし―。」
と言う。
「いや、誰が高速で行くって言ったよ。」
相生と黒保根が口をそろえて言った。
「全員下道だよ。」
根利が言う。
「高速代、意外とするからな。少しでも節約しねえとよ。」
大間々が苦笑いを浮かべて言った。
「私も、レースに出るのはこれが初めてだから、緊張しまくり!こういう時は、高速で一気に行くより、下道でのんびり余裕をもって行きたい!」
常にエンジン全開と言うべき根利。その根利から「緊張」と言う単語が出て来た。
「で、どうする?」
と、根利が「行くよね!行くよね!」と圧をかけながら言う。
「いっ行く。一緒に―」
と、カイは言った。
「よし!なら、日程は―。」
根利は言いながら、日程をノートに書いてそれを渡す。
このバイク好き5人組のリーダー格は大間々と思っていたカイだが、どうやら、アクセル全開娘の根利がリーダーのようだった。
「うっ―」
と、神梅が言った。
「どうした?」
大間々が言う。
「まぁたあいつよ。」
と、密かに、アカネを指した。
アカネがその様子を、じっと見ていたのだ。




