↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

挫折

頭がズキズキと痛い、どうやら俺は気を失っていた様だ。

神のやろう、ふざけやがって、肝心な時に使えないな。


頭痛を抑えながら、目を開ける。

ぼやけた視界がはっきりしてくると、見慣れない風景が、そこにはあった。


これが異世界か


カインは今地面に寝転んでいた、起き上がりあたりを見下ろす。


今は夜か


夜の暗闇のながだが、灯りがついているのか分かる。


建物が、恐らく民家なのだろうが、いくつも所狭しと並んでいる、中には城の様に高い建物見える。


魔法がないのではなかったかのか、どうやって灯りをともしてる、それにこの建物、人力だけで作ったのか?


疑問とともに、神の言葉が思い出される。


【魔法がないならないで色々と考えるのだよ】


カインには想像もつかないが、何かしら魔法に変わる方法があるのだろう。

そもそもカインは魔法に関しては人類史上、最高の天才と言えるが、それを抜いたら、ちょっと生意気な少年でしかないのだ。


神の言葉通り、この世界には魔素が全く感じられない、魔法が使えない今、カインは無力な子供だ、底知れない心細さを感じた。


ここにい続けても、しょうがないとカインは歩き出す、神が言うには治安はいいらしい、その言葉を信じるしかなかった。


すぐに地面が途切れた。


何だこれは。


街道の様だが、石でもレンガでもない、継ぎ目が見当たらない。


カインがいた場所は公園である、そしてカインが驚いて見ているのは、ただのアスファルトであるが、異世界から来たばかりのカインには分からぬことだった。


ビクビクとしながら、街を歩き続けていると、喧騒が聞こえてくる、チラチラと、街を歩く人々が見える。


人がいるのが見えると、ドキドキと心臓か高鳴る。

人の姿は異世界でも変わりない、それは不思議ではあったが安心もできた。


神の言ったとうり、顔の作り、髪の色などはカインに近いものがあった。


街を歩き続けていると、ドンドンと人が増えて行く、騒がしさも増して来た。


街を歩く人々がチラチラとカインに視線を向けてくる、ヒソヒソと話しをしているものもいる。


カインの服装は黒い法衣だ、街行く人達にはカインがコスプレをした少年が夜中に街を一人歩いている様に見え、奇異に見えたのだろう、もちろんカインにはそんな事は分からずカインを余計に不安にさせた。


しばらくしてカインは歩き疲れてしまい、石のベンチに腰掛けた。


これからどうしよう、お腹もすいてきたしな。


『何してんのお前』


ふいに声をかけられた驚いて振り向くと金髪を不自然に尖らせた髪形の少年が立っていた、少年の他にも若い男女が4人いる。


『あ…… あの……』

カインは突然の事にビクついてしまい言葉につまる。


『何してんのって聞いてんの! 聞こえてる』


何をしてるって聞かれても途方に暮れているんだよ何て言えばいいんだ。


『麗くんが怖いんだよ、可哀想だよ』

麗くんと呼ばれた金髪の横で少女が話し馬鹿にした様な笑みを浮かべる。

 

『普通に話しかけただけだろこんなやつ脅かしてもしょうがないだろ』

 

『お前俺にそんな口叩いてただで済むと思うなよ』

カッとなり金髪の少年の胸ぐらを掴む。


『何だお前やんのかよ』


ゴッと鈍い音とともに頭に衝撃を感じる。

殴られたのだと、少し遅れて理解する。カインにとって生まれて初めての痛みだった。


ショックで呆然としていると、続けて殴りつけられ倒れ込む。

「ゴフっ」

腹を蹴られてうめき声を上げてしまう、痛みと惨めさからカインの目から涙があふれ出る

「弱いくせに調子にのるなよ」

「麗くんもうやめたげなよ」

クスクスと少女達の笑い声が聞こえる。

「チッしょうがねえな」


そう言い捨て少年たちはカインから離れてゆく。


カインの胸に悔しさより安堵の方がより強く広がった。

その事実が惨めな気持ちを強めカインはまた涙を流す。


俺があんな奴らなんかに


今まで、カインはあらゆる人間、魔族を圧倒的な力で下に置いてきた。

その彼らの必死な様子をくだらないと馬鹿にしてきたが、その気持ちがカインにも初めてわかった。


こんなにも怖く、惨めなものなのかと。


何もかもが嫌になり、そのまま立ち上がれずにいる。

だれも助けてくれない、もうどうにでもなればいい。


どれくらい時間がたったろうアスファルトの冷たさが身にしみてきた頃、ふいに足音が聞こえる。


カインの体が恐怖に強ばる。


「君、大丈夫か?」

声が近くに感じられ、肩に手を触れられる。


カインは強ばりながらも顔を上げる。

そこには青い服をきた中年の男がいた、その後ろにもう一人、同じ服をきた少し若めの男がいる。

カインは知らないが、警官である。


「意識はあるのか、立てそうにないか?」

男の問いかけにカインは上手く言葉をだせない。

「救急車をよんだほうがいいかな?」

カインが答えられずにいると、男は後ろの男に話しかけた。


救急車?えたいの知れない言葉にカインは恐怖を覚える。


「大丈夫だ、立てるぞ」

カインは立ち上がって、警官に無事をアピールする。


カインの突然の反応と無礼な言葉遣いに警官か一瞬戸惑いを見せるが、すぐに落ち着きを取り戻す。

「そうか、大丈夫ならいいが、見たところ顔を怪我してるみたいだな、一度病院で見てもらってから少し事情を聞かせてもらうよ」

「わかった」

カインは状況がよく分からなかったが、思わず了承の返事をする。


どうなるんだ俺はこれから、胸のうちに不安がどんどんと押し寄せてくる。

「うん、それなら病院にいこうか」

中年の警官が人のいい笑顔をカインに向ける。


少しだけカインの心に安堵が広がる。

「わかった」

ふいにカインは自分の言葉遣いの無礼さに気づく、今までカインは絶対強者だったゆえに気にする必要すらなかったが、今の状況でこれはまずいのではないかと不安になる。


当の警官の方は、少し生意気な少年くらいにしか感じてなかったが、何も分からないカインには全てが未知で恐怖を呼び起こさせた。


警官について歩いて行くと、白と黒の模様の平ぺったい箱のようなものにたどり着いた、馬車に似ているが馬がいない?何なんだこれは

警官が箱の扉を開け、カインに入る様に促す。

緊張しながらもカインは中に入り腰をかける。


カインに続き警官二人が乗り込むと、箱は唸りを上げて走り出した。


つまり、ただのパトカーであるのだが、カインには何も分からない。


しばらく走り続けると白い巨大な建物病院にたどり着いた。

中に通され診察を受ける。病院自体はカインの世界にもあったが、見慣れない設備を見るたびにカインの心は不安にざわつく。

診察が終わり、簡単な手当を受ける警官達に事情を聞かれる段になった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。