転移
ひねくれた設定ですがよんでもらえたら幸いです。
半壊した城に、二人の男が対峙している。
一人は全身黒い鎧を纏う大男、額には厳しい角が生えている、その目は金色に怪しく光っている、彼こそ最強の魔族、魔王である。
もう一人は簡易なローブに身を包んだ、まだ幼さを残した表情な少年だ、最強の魔王と相対するには、あまりに頼りなく見える。
しかし、憔悴し膝をついて窮地に追いやられているのは、最強であるはずの魔王であった。
少年は涼しい顔をして魔王を見下ろしている。
『馬鹿な事をしたものだね、欲をかかず魔族の王で満足していれば良かったのに、これでお前につきしたがったものは勿論その他の魔族全体も苦境に立たされてしまうぞ』
膝をつく魔王は忌々しげに顔を歪める。
『馬鹿な事か貴様さえいなければ、この戦争に敗北なのありえなかったのだがな』
魔王の言葉を真実だった、史上最強とまで呼ばれた魔王そして魔王が手ずから鍛え上げた魔族の力は凄まじく、戦争開始当初は魔族の侵略に人間側は窮地に立たされていた。
そこに突如現れたった一人で戦況をひっくり返した少年が今魔王を見下ろしているカインである。
天才と言う言葉すら霞むほどの魔導の才を持ち、その才により恐れられ王宮で保護という名の管理をされていたカインだが魔族の侵略に窮地追いやられた王宮がカインの参戦を決めたのだ。
はじめ王宮は魔族の侵略を少しでも抑えられればいいと思いであったが、カインの力を過小評価していた事を思い知らされる。
カインの参戦後次々と魔族を打ち倒し逆に魔王の城まで押し返していったのだ。
『まあ運が悪かったと思って諦めな、俺も王宮でのんびりしていたかっのに駆り出されて面倒だったんだぜ、しかも元から周りからビビられてうっと叱ったのに今回ので更に拍車がかかったからな』
まるで少し面倒な用事を押し付けられただけかの様にカインは言い放つ。
実際にカインにとって魔族討伐などその程度のことだったのだろうが自らの野望を虫を払うかの様に、潰してくれたカインに魔王は憎しみの視線を送る。
『貴様は強い、常軌を逸するほどに、負けは認めよう、が貴様も道連れにしてくれるは』
そう言うと魔王は懐から黒い宝玉を取り出した。
宝玉から魔力が迸る。
『今更何をしても無駄な悪あがきだ』
カインは言うが宝玉の魔力は異質で不気味だった。
もてる限りの防御結界を張る。
いかなる物理攻撃も魔法も通さぬ程の。
『なっ!』
カインは驚愕する、鉄壁であるはずの結界を宝玉の魔力は簡単にすり抜けカインを飲み込んだ』
『くはは、防げまいこれは、古の神器だ! 次元の狭間で彷徨い死ねばよいわ』
魔王は高らかに笑っている。
が、次の瞬間に崩れ落ちた。
古の神器、あまりに強い力をもつ宝玉は魔王の力をもってしても命を対価にしなくては使えなかったのだ。
『くく、先にあの世でまっておるぞ』
魔王はカインに告げると息を引き取るその死に顔には笑みが張り付いていた。
『くそ!』
カインは吐き捨てる魔力の渦に巻き込まれ何がどうなっているか分からない視界が渦巻き地面は消え失せ天地の区別もつかない。
何をされたんだ魔王は何をした?
次元の狭間だと魔王はいったか?
今俺は異空間に飛ばされたのかそれならば転移魔法で戻る事ができるはすだ。
しかしこの空間は重圧が凄まじい、カインといえど結界を少しでも緩めれば押しつぶされてしまう。
転移魔法を使う余裕はない。
『カイン、聞こえるか』
頭の中に声が響く。
『聞こえているよ魔王の野郎やってくれたよ、どうにもできん助けてくれよ、そうゆう契約だろ神様』
カインが話しているのはこの星の神だ、神はこの星を管理しているが、地上には直接干渉しないカインにもよく分かりはしなかったが、神が直接干渉するのはとても危険な事の様だ。
それでもカインに接触を図ったのは、カインの力があまりに強く放置するのを危惧したからだ。
もちろんカインといえども神に勝るほどの力はない、しかし神に地上で生きるカインに対話をする以上の干渉をする事は危険すぎた。
そこで神とカインは契約を結んだ。
カインは神の意図を汲んでもらうかわりに、カインの力ではどうにもならない事が起きた時には、神に許される範囲でカインを助けると。
当初意味はないと思っていた、カインの力は強すぎたし神の干渉範囲は狭すぎた。
ただ神の意図が大量破壊や、人知を超える魔導の想像等をしないでほしいというのが元からカインには興味がなかったので何となく契約したのだ。
そして今この瞬間こそ契約が活かされるだろう。
カインにも成すすべがなく、なおかつここは異次元神の力を行使しても然程問題の場所だ。
『ああそのつもりだよ、ただ問題もある次元の狭間は複雑に力が渦巻いている、元いた世界には戻せそうにないできる範囲で一番条件のいい世界にとばすのが精一杯だ』
『異世界か! そんなもの本当にあったとはな驚きだ、異世界に行けば少しは骨のある奴がいるかもな、史上最強とか言われた魔王も結局は雑魚だったしな、飽きたら転移魔法を改良して戻ればいい』
希望が見えカインに余裕が生まれる、異世界があるとは驚きだがいった事のない世界は難しくても、元いた世界に戻るくらいならカインの力があれば転移できると思えた。
『その喜んでるとこ悪いのだが、お前がいく世界に魔王より強い生物等いないそれにお前といえど転移して戻るのは不可能だ』
『どうゆう事だ!』
神の言葉に若干の苛立ちと疑問を覚えた。
『お前がいく世界には魔素がないのだ、だから魔法も使えんし私にも何も干渉できん』
それはカインにとって衝撃だった、数瞬意味が分からず放心して結界を緩めそうになったほどだ。
『魔素がないだと魔法を使わず、どうやって生活するんだ魔物がでたらどうやって身を守る、魔法なしじゃ最下級の魔物にだってやられちまうぞ、はっ! まさか人間のいない魔物だけの世界とか言うんじゃないだろうな』
魔物だらけの世界に魔法も使えず放り出される、カインは自身の恐ろしい想像に生まれて初めて感じる恐怖を感じた。
『安心しろ人はいる、人間種と言うものは凄い物だ魔法がないならないで色々と考えるのだよ、それに魔素がないのだ魔物もいないぞ』
そうか魔物がいないか、考えれば当然か動物だけなら弓や槍を持って囲めば何とかなるかもしれないな、もちろんカインは魔法なしで戦うなんて事はしたくはないが。
というかカインは今まで戦った事などないのかもしれない、常に圧倒的な戦力差で相手を叩き潰すだけ、それは戦闘というより、掃除といったほうが近かったかも知れない。
『まあ詳しく説明したいとこだが時間がない、お前の行くところはその世界の中でも、治安のいい場所だし、身体的特徴もお前と近い記憶をなくしたという事にしとくとよいだろう、最後に私ができる事して、向こうの言語を話せる様にするぞ、脳に直接叩き込むから少し痛いが我慢してくれ』
神が言うと凄まじい頭痛がカインを襲う。
何が少しだふざけやがって。
そして視界が光に包まれカインは激流に飲まれた。




