10話 決意
「で、内田諒。君は本当に何者だ?」
「えーっと、騎士?それとも侍?わかんないっす。多分侍だと思うんですけど。」
「侍?いや、それでも魔法を使えないのにあの強さはおかしいぞ!」
「そう言われても………。」
「それに君は戦っている最中、この世界で言うって言っていたな。」
「聞こえてたんですか。」
「あぁ。それはどう意味なんだ?」
「はぁ。別に言ってもいいですけど、一つ聞いていいですか?」
「あぁ、なんだ?」
「黒騎士って知ってますか?」
俺が黒騎士と言う名を出した途端、学院長は驚いたように聞き返す。
「あぁ、知っている。黒騎士はこの世界で最も強い魔法使いだ。」
「魔法使い?じゃあ黒騎士が異世界を移動できるとかわ?」
「異世界を移動する。それは確かに聞いたことがあるぞ。けど、あくまで噂だ。」
「それは噂じゃあないですよ。」
「⁉︎どういう事だ?」
「俺はこの世界とは別の世界からきたんです。だって俺の世界には魔法を使える奴なんて誰一人いないんですから。」
「別の世界……。確かにそれならお前が魔法を使えないのも辻褄が合う。だが、何故この世界に来たんだ?」
ホーミ学院長が俺に問いただす。俺はその問いに答えるように喋りだす。
「俺らの世界は……、俺の生まれ育った国、日本………、この世界では、東洋と呼ばれてますが、その日本と中国、韓国、ロシアという国の連合軍は戦争をしておりました。奴らの目的は恐らく、俺達、“侍七人衆”の命。そう思い俺達は国軍とともに戦っていたんです。そして、ある一報が俺のもとに飛び込んで来ました。」
「一報?」
「はい。その内容は俺が所属していた学園に連合軍が攻めると言うものでした。その一報を聞いた俺はすぐに日本へたつように言われました。ですが、一報を聞いたあと、目の前で俺は仲間を失いました。殺したのは黒騎士です。俺はショックでどうしたらいいのかわからなくなり———」
俺はこの世界に来る前の事を全部話した。
「そして、俺は学園で黒騎士と戦い、負けました。傷一つつけれなかった!俺は本気の本気まで出したのに勝てなかったんです。殺されると思った時でした。黒騎士の手が止まり、そして俺は急な目眩がきたと思ったその瞬間、景色が変わったんです。多分その時に学院長が通ったんだと思います。」
「そうだったのか………。だからあんな傷を負っていたのか。」
「はい。」
学院長は真剣な表情で俺の目の前に立つ。俺は目の前の学院長に付け足すように言う。
「俺はその世界では、“黒龍”と呼ばれていました。呼ばれだしたのは中二の夏でした。理由は————」
「ん?どうした⁉︎」
「あ!い、いてぇ!何だこれ!頭が………、これは………、フラッシュバックか?」
俺は理由を言おうとした。だが、突然の頭痛とフラッシュバックで何も言えなくなった。
(これは………、華恋か?村の皆も?周りには敵の兵士が倒れている?父さんと母さん?それに華恋の両親も?俺を止めようとしているのか?)
そして、何か、思い出そうとした瞬間、いきなりフラッシュバックが消え、頭痛も治まっていた。
「はぁ、はぁ、はぁ……………」
「大丈夫か?」
「はい。けど、何か俺の記憶と違うものが見えました。」
「フラッシュバックか。」
「はい。何か違う気がするんですけど、多分そうです。」
「そうか。とりあえず今日はもう帰ってもいい。部屋でゆっくり休め。」
「分かりました。では、失礼します。」
俺は学院長に言われた通り、寮に戻ってゆっくりと休むことにした。
寮についた俺は先ほどのフラッシュバックのことを思い出していた。
(なんだったんだ、あの記憶は………。あの後、何かあったのか?)
諒は記憶とは違うものを見て頭を悩ませていた。あの日の事を思いだしながら。
☆★☆★☆★☆★
俺は今、屋上で黄昏ている。学校は今は昼食の時間なので屋上で黄昏ていても問題はない。
「あ!こんなとこにいた!」
「お、ほんとだ。一緒に食べよーぜ、諒。」
後ろから俺に喋りかける声がしたので振り返る。そこにいたのは2人の男女だ。朝学校に着くなりいきなり喋りかけられた。そのまま友達になった。みたいなもんだな。クラスの皆からもいろいろ聞かれたけど二人がしずめてくれたおかげで助かった。男子の方は、マグリー・グレイス。武器はトンファー。女子の方は花川凛子。武器は弓矢だ。
「あぁ、いいぜ。」
「んじゃ、ちょっと失礼。」
「え?は?ちょっ、凛子さん???」
「ん?何か?」
「いや、何か?じゃなくて!なに俺の膝の上に座ってんの⁉︎」
俺はベンチに座って一緒にご飯を食べようとしていた。てっきり俺の両側に座るもんだと思っていたが凛子は何故か俺の膝の上に座った。俺は慌てて凛子を降ろす。
「いきなり何やってんだよ!焦るだろーが!」
「とか、言いつつも照れるのは照れるんだね!」
「そりゃ、照れるだろ!いきなり膝の上に座られたら!」
「お前ら仲いいな。友達になってから1日も経っていないのに。」
ごもっともだ。てか、さっきの光景を華恋に見られたら殺されてたかもな。ははっ!
そんなやりとりを三人でしていると屋上の扉が開く音が聞こえた。入って来たのは天照院晴香だ。彼女は俺の方に向かって来た。そして、
「話しがあるわ。ちょっといいかしら?」
「あぁ。二人はここで待っててくれ。」
「うん。」
「あぁ。」
俺は天照院とさっき俺が黄昏てた場所に向かった。
「で、話って?」
「二つありますわ。一つは模擬戦が始まる前のことです。」
「あぁ、あれか。別にいいぜ。」
「そうはいきませんわ!約束したことは守る主義ですから!」
「わーった。じゃあ考えとく。んで、二つ目は?」
「二つ目は貴方の事です。貴方は一体………。」
「侍………、かな。」
「侍?」
「あぁ、俺がいた所ではそう呼ばれて——————!!!」
俺の言葉は最後までいかなかった。理由は校門にいるある存在だ。
「どうしたのですか?」
「あの野郎………。」
俺の異変に気付いた二人も駆け寄ってくる。
「どうしたの?」
「何かあったのか?ってあれ、黒騎士じゃねぇか!」
下にいる生徒達は慌てた雰囲気で校舎の中に入っていく。だが俺は黒騎士の姿を見た瞬間、静まっっていた怒りが溢れだしてきた。
「来るの早いな、おい。」
そういい俺はフリーランニングの応用を使い屋上から壁を蹴りながら下へと降下する。
「おい、諒!どうしたんだ!」
「待って諒君!もしかして戦う気⁉︎」
「無茶よ!私に勝った貴方とはいえ、さすがに相手が悪すぎるわ!」
そんな声を無視して黒騎士の前に立ちはだかる。
「てめぇは何が目的だ?俺をこの世界に連れて来たのも理由があんだろ?」
黒騎士は何も喋らない。俺は何も喋らない黒騎士に余計に腹がたち、攻撃を仕掛ける。
「“黒武”!」
諒の刀から黒い斬撃が黒騎士に向かっていく。しかし、黒騎士はそんな斬撃も剣圧で消す。
「てめぇは許せねぇ。何があっても!」
俺は再び刀を構え、そして技を放つ。
「一刀流奥義“黒龍一閃”!」
現在、諒の最強の技、“黒龍一閃”を放つ。しかし、そんな技でさえ黒騎士は防いでしまう。
「この技でも無理なのかよ!くそっ!でも、鎧にヒビは入ったぜ!」
よく見ると、確かに黒騎士の黒い鎧にヒビが入っていた。
「我の鎧にヒビを入れたのは汝が初めてだ。」
「「「「!!!」」」」
四人は一斉に驚いた。それもそうだ。黒騎士が喋ったのだから。
「へっ、初めて聞いたぜ。てめぇの声。」
「我の声を聞くのも汝らが初めてだ。そして、汝を我の強敵とみなす。内田諒よ。」
「そりゃどーも。」
「今日は退くとする。」
「!!待ちやがれ!逃がすつもりはねぇぞ!」
「さらば………!」
黒騎士は一瞬で姿を消す。
「くっ、逃げられたか!」
悔しそうな表情を浮かべる諒を尻目に他の生徒達が賞賛の声をあげる。
「すげぇ。あの黒騎士の鎧に傷付けたぞ。」
「あいつ、この前の模擬戦といい、どんだけ強いんだよ。」
周りから聞こえてくるそんな喋り声も耳に入ってないように諒はいまだに悔しそうな顔をしていた。
「どうしたの、そんな悔しそうな顔して?凄い事だよ、あの黒騎士の鎧にでも傷付けるのって。」
「いや、負けは負けだ。」
「負けてねぇじゃねぇか。」
「そうよ!黒騎士が逃げただけじゃ————」
「いや!負けた!あの技は俺の最強の技だ。鎧に傷付けただけであいつ自身に傷一つつけれなかった!」
「そ、それは仕方ないよ!」
「仕方なくねぇ!それに、あいつは俺が“黒龍一閃”を放った瞬間、あいつも俺に攻撃してきた。その全てが俺にあたったんだ。」
「え?当たってな————あっ!」
凛子が最後まで言い切る前に俺の腹の異変に気付いた。
「あいつは俺の腹に10個の斬撃を当てた。俺の完全負けだ。俺は………強くなってみせる!俺を庇い、無念に散ったエクトの為にも………、強くなって黒騎士を倒す!」
俺は決意を固めた。俺を庇い、死んだエクトの為にも。未来の為にも………。
題名を変えました。騎士学園生活‼︎→騎士学園の侍。




