順調なのか不安なのか
放課後。
昨日の部活後、恒一はグラウンドの片隅で白石ひよりと談笑していた。
笑い声が風に混ざる。
(……楽しそうだな)
巴は少し離れた位置からその光景を見ていた。
肩の力を抜き、楽しげにしているひよりと、少し照れながら話す恒一。
(……なんだか、微妙)
巴の眉がわずかに下がる。少し、不快感を覚えている。
その夜、恒一は昨日のやり取りを思い返す。
(まあ、楽しそうにしてるだけか……)
しかし、頭の片隅には、昨日の巴の視線がチラつく。
「……気にしすぎかな」
小さく息を吐き、明日も部活だと自分に言い聞かせる。
■翌日。
部活後、恒一は普段通り巴と挨拶を交わし、普通に会話していた。
「おはよう、真田さん」
「おはよう、朝比奈」
昨日の微妙な空気はどこへやら。
しかしその後、ひよりとも短時間話す時間があり、楽しそうにやり取りしている。
恒一は、昨日より少し打ち解けた様子で、ひよりと接していた。
放課後、恒一は基樹の元へ報告する。
「昨日の部活も、順調だったぞ」
基樹は少し眉を寄せる。
「順調…か? でもお前、ひよりと仲良くやってるだろ」
「うん、まあ、普通に」
恒一は無邪気に答えるが、基樹は内心、やや不安そうだ。
(巴、何も言わないのか…)
「大丈夫か?」
「大丈夫だよ。部長としても、自分としても、昨日より少しは前に進めた気がする」
しかし基樹の目には、まだ微妙な空気が見えていた。
「……まあ、順調ならいいけど」
小さく息を吐きつつ、恒一は肩をすくめる。
彩音は隣でにやにやしながら、二人のやり取りを楽しんでいた。
その後も、巴はグラウンドの隅で少しだけ恒一とひよりの様子を確認している。
(……このままだと、ちょっと面白くないな)
しかし表情は柔らかく、まだ完全には動揺していない。
恒一は気づかず、相変わらずマイペースで、部活と仲間たちとの日常を楽しんでいた。




