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救世のルファディア  作者: yato
第2章 世界樹編
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それぞれの昇格試験①

 セレーナとアイビーがこのアルフィンに来てから1週間が経った。


 俺達は気ままに楽しく過ごしていたのだが、ここで1つ大きな問題が起きていた。


 「まったく、鬱陶しくて仕方がないわ!」


 「確かにこれでもう30回は勧誘がありましたね」


 「正直に言って面倒だねー」


 風見鶏亭の食堂で、夕食を食べている時に女性陣から不満の声が上がる。


 そう、この1週間で俺達は多くのクランからの勧誘を受けていた。


 ユフィア達の美貌を目当てにする者もいれば、将来有望となる冒険者の俺達を今のうちに抱き込もうというあからさまな目的が見てとれたので丁重に断っている。


 「もうしつこい勧誘はうんざりよ! ルイ、何とかしなさいよ!」


 うーん、何とかしろと言われてもこればっかりはどうしようも出来ない。クランに入っていない冒険者を勧誘するのは別に犯罪行為ではないからな。


 さて、どうしたものか……。


 正直に言えば早めにこの問題を解決しておきたい。どうすれば……。


 「はいはーい! いい考えがあるよ!」


 俺が頭を悩ませていると、セレーナが突然挙手をしてきたので、話を聞くことにした。


 「私達のクランを作ればいいんだよ!」


 「クランの設立か……」


 なるほど、それは良い案かもしれない。それなら他のクランからの勧誘はもう受けないだろう。


 それにいずれはクランを設立するつもりだったしな。これを機にクラン設立に向けて動いてみよう。


 まずはクランを設立するのに必要な条件である『クランリーダーはC等級以上の冒険者であること』と『D等級冒険者を最低3人は集める』という条件を達成しなければならないな。


 その為にはまず俺はC等級冒険者に、ユフィア達はD等級冒険者になる必要がある。


 「よし、それなら明日からクラン設立の為に依頼をたくさん受けるぞ!」


 『おお!』


 こうしてクラン設立の為に依頼を受ける日々を送ることになった。


 俺達は1日に1回依頼を受けるようにした。


 昇格試験を受ける条件はギルド職員しか知らないようなので、念のためE等級依頼とD等級依頼を日によって変えながら受注し、素材を採取する依頼から魔物討伐の依頼まで様々な依頼を受注しては達成させていった。


 その甲斐があって、俺にはC等級昇格試験の通知が、ユフィア達にはD等級昇格試験の通知が届くのにそう時間は掛からなかった。


 当然俺達は昇格試験を受けることにした。


 そして俺はC等級昇格試験の説明を受けるべく冒険者ギルドへと赴く。


 前回のD等級昇格試験はその日に説明を受けたが、今回のC等級昇格試験の説明は前もって聞かされるようだ。今回の昇格試験は前回よりも難易度が高いと思われる。気を引き締めて説明を聞くとしよう。


 そして受付嬢のアリスさんに案内されたのは少し広めの会場だった。


 会場内にはおそらく俺と同じくC等級昇格試験を受けると思われる冒険者達がいた。数は俺を除いて5人。そしてその中には俺が知っている顔馴染みの連中もいた。


 「お、ルイじゃねえか!」


 「お久しぶりです」


 何とD等級昇格試験を共に受けて合格したエリオとクードだった。彼らもこのC等級昇格試験を受けるようだ。


 2人ともD等級昇格試験の頃よりも装備が充実しており、なかなかの面構えと貫禄が身についていた。


 名前:エリオ

 種族:人間族

 適性:風属性

 魔力:4900

 魔法:ウィンドボール(小)・ウィンドカッター(小)・ウィンドショット(中)・エアレイド(中)

 加護:なし


 名前:クード

 種族:獣人族(犬人種)

 適性:地属性

 魔力:400

 魔法:アースショット(小)

 加護:嗅覚強化


 どうやら装備だけでなく順調に腕を上げているようだな。


 エリオは魔力量が大幅に増えており、中魔法が1つ増えているようだ。彼は元々努力家な一面があるので、相当な訓練によりここまで能力を高めたのだろう。


 そしてクードもエリオ程ではないが魔力量が増えおり、何と魔法まで習得していた。クードによると俺が紹介した魔法屋で魔力量を僅かに上げる指輪と地属性の魔法書(小)を購入したことで魔法が使えるようになったそうだ。


 俺の知らないところで2人も相当な修羅場をくぐって来たようだな。


 そして積もる話をしていたところで、試験官が会場内へと入って来た。


 これも偶然なのか、今回の担当官は俺達がD等級昇格試験を受けた時に担当をした【隻眼】の異名を持つB等級冒険者のゾール=カルネラルさんだった。


 「今回の試験を担当するゾール=カルネラルだ! 初めて顔を見る相手もいるようだからまずはそれぞれ自己紹介をして貰うぞ! まずはお前からだ!」


 ゾールさんは最初にエリオを指名した。


 「エリオです。風属性の魔法を得意にしている魔法使いです。どうぞよろしくお願いします」


 「クードだ。斥候をやらせて貰ってるぜ」


 「ルイだ。槍と無属性魔法を得意にしている槍使いだ」


 エリオとクード、そして俺の順番で自己紹介をすると、残りの冒険者達の自己紹介が始まる。


 「リーナ=マルサム。水属性の魔法を得意にする魔法使いよ」


 まずは水属性を得意とする女魔法使い。知的でクールな雰囲気が特徴的で、魔法使いというよりは秘書という表現がしっくり来るかもしれない。


 名前:リーナ=マルサム

 種族:人間族

 適性:水属性

 魔力:7300

 魔法:ウォーターボール(小)・ウォーターウォール(中)・アクアスラッシュ(中)

 加護:水ノ捜索


 水ノ捜索

 広範囲に流れる水を探知することが出来る。


 魔法数はエリオよりも少ないがその分魔力量は非常に多い。それに加えて加護持ちとはなかなか侮れないかもしれない。


 「ジョンソンだ。鍛え抜かれたこの肉体で敵を叩きのめす拳闘家だ」


 次はドワーフ族の中年男冒険者か。ドワーフ族故か背丈は低いが強面の表情と鍛え抜かれた肉体は猛者の雰囲気を感じる。


 名前:ジョンゴー

 種族:ドワーフ族

 適性:火属性

 魔力:300

 魔法:なし

 加護:なし


 魔法も加護もないが鬼人族にに匹敵する程の筋力があるので接近戦が得意のようだ。ドワーフ族は殆ど鍛治しているイメージが大きいが、認識を改めよう。


 「アタシはニャルマだにゃ。弓を得意としているにゃ」


 最後は猫人種の獣人族である女冒険者。猫人種特有の耳と尻尾、スラリとした身体は抜群の身のこなしを想像させる。


 名前:ニャルナ

 種族:獣人族(猫人種)

 適性:風属性

 魔力:500

 魔法:ウィンドカッター(小)

 加護:なし


 魔力はそこそこで風属性の小魔法を使える程度で、加護はなし。その代わり弓の腕前には自信があるそうだ。


 「よし、これで互いの情報を知れたな。それでは早速今回のC等級昇格試験の内容を発表する。今回の試験内容は『盗賊狩り』だ!」


 ゾールさんは詳しい内容を説明し始める。


 最近『炎刃』という新手の盗賊達がオルフィン付近の村や行商人を襲う事件を起こしているそうだ。


 冒険者ギルドの調査によると『炎刃』はここから馬車で 1日もかからない距離にある洞窟を拠点にしているそうだ。


 今はまだ小規模だがこのまま勢いをつけさせると盗賊の数が増えて厄介な存在になることは目に見えている。だからそうなる前に根絶しようということになったらしい。


 「今回の標的となる盗賊達は当然全力でお前達を殺しにくるだろう。そうなった時は覚悟を決めろよ」


 ゾールさんの言葉に冒険者達の雰囲気が一瞬で変わる。『覚悟を決めろ』という言葉の意味--つまり『人を殺す』という意味だと理解しているのだろう。


 「ちなみに経験のある者は挙手を願おう」


 その言葉を聞いて経験のある俺は小さく挙手をする。他に挙手をしているのはドワーフ族のジョンゴーと猫人のニャルナだった。


 「分かった。ではこの中から今回の討伐隊のリーダーを決めるとしよう」


 ゾールさんの言葉に息を呑んで待ち受けていると、再び挙手をする者がいた。


 「俺はそこのルイという男がリーダーに相応しいと思う」


 何とドワーフ族のジョンゴーが俺を指名して来たのだ。彼の予想外の発言に俺だけでなく他の冒険者達も驚いた表情を浮かべている。


 「ほう、何故そう思う?」


 わざわざ俺をリーダーに推薦するとは、何か裏があるとゾールさんは思ったのか、その理由を問いただす。


 「簡単な話だ。此奴は今回のC等級昇格試験を受ける冒険者の中で断トツに強いからだ。おそらく試験官である其方よりもな」


 ジョンゴーの言葉に全員が息を呑んでいた。試験官であるゾールさんでさえ呆気に取られている状態だ。


 「以前この男は闘技場でタイラントリザードを倒したのを儂は見た。その時はエルフ族の女と共闘していたが、それは些細なことだ。殆どこの男によって葬られた」


 どうやら闘技場の出来事を見られていたようだな。観客の中にでもいたのかな?


 「タイラントリザード……」


 「それってB等級魔物の筈にゃ、有り得ないにゃ……」


 「いや、ルイなら有り得るね」


 「だな」


 魔法使いのリーナと猫人のニャルナはまるで信じられないと言った様子だが、共に戦ったことがあるエリオとルードはどこか納得している様子だった。


 「それに此奴は既に他の者とパーティを組んで多くの依頼をこなしていると聞く。リーダーとしての経験は十分にある筈だ」


 「ふむ……」


 ジョンゴーの言葉にゾールさんはなるほどと言った様子で考え込む。そして小さく頷いた。


 「よし、そこまで言うのなら今回のC等級昇格試験のリーダーはルイにするとしよう。異論は認めんからな」


 「……分かりました」


 こうして俺はC等級昇格試験のリーダーを務めることになった。正垣言って荷が重いのだが、決まってしまったものは仕方がない。全力でやらせた貰うだけだ。


 「さて、昇格試験は2日後に決行することにする。盗賊達のアジトまでは俺が付き添うが決して手助けはしない。そこからはお前達だけで戦って貰う。そして出発は明日の明朝6時に馬車で行くことにする。それまでには必ず集合するように。試験内容の説明は以上だが、何か聞いておきたいことはあるか?」


 「ちょっと聞きたいことがあります」


 俺は挙手をしてゾールさんに幾つの質問を問う。


  1つ目は物資について。


 先程の発言によれば馬車は用意してくれるらしいがそれ以外はこちらで用意する必要があるらしい。当然、馬車とそれを引く馬はいるがそれを操る御者人はいないらしい。なので御者人には馬を扱ったことがある俺とエリオ、リーナの3人が交代ですることになった。


 それと食料やポーション等と言った必需品は各自で用意することになった。以前のD等級昇格試験ではそのことで色々と問題が起きたからな。必需品の用意も審査に関係あると事前に言われたら嫌でも自分で用意するしかないだろう。


 2つ目は『炎刃』についての情報。


 先程の説明で『炎刃』の詳しい情報は奴らの拠点のみ。なので盗賊の数やそいつらに指示を出している親玉の情報を聞いてみると、案の定、審査の為にわざと情報を言わないでいたそうだ。


 冒険者ギルドが掴んだ情報によると、『炎刃』の親玉は仮面をつけているので正体は分からないが、炎のマジックアイテムを使うらしい。そして盗賊の数は最低でも30人だと言う。情報はこれが全てのようだ。これだけでも十分対策のしようがある。


 3つ目は報酬の分前について。


 今回はあくまで昇格試験なので冒険者ギルドからの報酬はない。


 しかし盗賊達に懸賞金が懸けられていたり、お宝を隠して持っていた場合は話は別だった。もしそうだった時に備えて、分け前について問題にならないようにその辺はちゃんと決めておきたい。


 話し合いの末、盗賊に賞金が懸けられていた場合は討ち取った人がその賞金を貰えることになり、盗賊が集めた宝については一度冒険者ギルドに身元の確認をして貰った上で全て現金化し、それを平等に分けることになった。


 これで一通りの質問は聞き終えた。ゾールさんも感心したように頷いているので、リーダーとして及第点は貰えたかな?


 「それでは説明会は以上となる。解散!」

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