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動き出す歯車と古からの決意 9
ラシュフェーニカがガタッと椅子から立ち上がる。
本来の優雅さと上品さを失わず、勢いよく立ち上がる。
ソノ表情にも、目にも、それまでの悲しさや迷いは一切なく、本来の力強さが宿っていた。
「しかし…、それではアノ血は誰のモノなの…?」
辺りが一瞬、冷りと静まり返る。
一人の役人の小さな声が、辺りをシーンっと伝うように揺らした。
そんな中、弦の音を弾いたような、柔らかくそして芯のあるポロン…とした音で、風蘭が口を開いた。
「光科魔金を近づけた時でございますが、気づいたことがございます。
神殿の前には…、二種類の血の跡がございました」
「二種類だと?」
上級役人の厳し気な声が辺りを貫いた。
風蘭がソレに当てられたのか、厳し気な表情で頷き、言葉を続ける。




