39 とある招待状
フウマとこの街の内情について核心に迫りつつあったその時。
何者かが、ドアを蹴破って室内に侵入して来た。
俺とユズリは慌てて椅子から立ち上がる。
「おふたり様。パーティーの招待状をお届けに参りました」
黒い燕尾服を来た、初老の男性が一礼の後に二通の手紙のようなものを前に出す。
罠だろうと思い近付かないでいると、見兼ねた執事っぽい男性は手紙を美麗な手際で投げ放った。
吸い込まれるように手の中に収まると、男性は踵を返して歩き出す。
後ろから攻撃するか迷うが、ここは下手に攻撃して敵の反感を買うのは得策では無いと判断した。
「パーティーは二日後になります。旦那様も期待されております故、何卒足をお運び下さい」
アグレッシブなじいちゃんだなぁ。と思いながら、呆気にしつつもその姿が見えなくなるまで男性を凝視する。
その姿が雨に阻まれ見えなくなった所で、俺は手元に視線を移した。
「パーティー……か。一体何が目的なんだ」
顔を僅かに顰めて呟くと、何も無い空間から突如人が現れる。
もしかしなくてもフウマだ。
「あくまで遊びのつもりなんだろうね」
彼の言葉に、俺は納得と違和感のふたつの情念が浮かび上がる。
「どうしたの?」
「いいや……」
ユズリの声に対し煮え切らない返事をしてしまうが、確証の無い事を話しても不安にさせてしまうだけだろう。
「とにかく、俺とユズリは一旦レジスタンスのアジトに戻るよ。あまり長い時間帰らないと心配させちゃうから」
「分かった。僕も君たちから貰った情報を元に、もう一度探ってみるよ」
フウマはそう言うと、その姿を消した。
そういやなんであのおじいちゃんが来るのを悟ったんだろうと思ったが、それはまた今度聞くこととする。
今日はとにかく、レジスタンスへと戻ることとした。
「戻りましたー」
室内にのみ響くよう伝えると、左方向にある扉からユフネさんが飛び出した。
「二人とも、大丈夫だったか!? 先程、こんな手紙が届いたんだが……」
彼女の手には、俺達に渡されたものと同じ招待状が握られてる。
「はい、俺達も道中変な男に絡まれましたが……これを渡されただけでそれ以外は何も……」
ポケットから招待状を取り出して見せると、ユフネさんは安堵の息をついた。
「よかったよ。それしても……これからは外出する時は最低でも二人で移動しなくては。いつ襲われるか分からないからな……」
「そうですね。それと、二日後のパーティーとやらについても色々考えないと」
思案顔をする俺に対し、ユフネさんもうんと頷く。
「そうだな。明日の朝、集まり次第皆で会議をしよう」
彼女の提案を了承した俺達は、夜も遅いので一旦睡眠をとる事にした。
レジスタンスのアジトという信頼出来る場だからか、今日は安心して寝る事が出来た。
翌朝。
全員が揃った所で、早速今後についての会議が行われる。
先ずは招待状の中身のチェックを行い、検証の結果全員同じ文面だということが分かった。
因みに内容は簡素で、明日領主邸にて食事会が催されるので来るよう書かれていただけだった。
「なぁ、何も明日まで待つ必要はねぇ。今すぐカチコミに行ってやろうぜ」
自らの掌に拳を打ち付けるバスターヴさん。
たしかに、何故パーティーが今日ではなく明日なのから疑問に残る所だ。仮にこれが“何か”の準備期間だった場合、待っているのは得策では無い。
「でも、あいての人もそれくらい分かってる……と、おもう」
珍しくフーロちゃんがそう言うと、セントさんもそれに続いた。
「確かに、逆に今日仕掛けてくる様に仕向けているのかもしれないな。その場合最っ低な事になる」
「ふむ……。やはり相手の誘いに乗らないのが得策だな。奴らを一網打尽に出来る可能性も僅かにあるが、リスクがあまりにも大き過ぎる」
ユフネさんの意見は最もだし、俺もそれが良いと考えていた。
「私も賛成です。二日後のパーティーとやらは無断欠席するのが一番かと」
ユズリの賛成を皮切りに、他のメンバーも納得したようだ。
こうしてパーティーには参加しない事が決定されたが……。
明日、俺達はこのパーティーに参加させられる事となる。
そろそろここに書くネタが尽きてきた作者です。
なので裏の話を少しさせて頂きますが、実は風の都編では親方をラスボスにしようと当初は考えていました。
ただそれだとめちゃくちゃ長編になりそうだったので、だいぶ縮めた話に。
なので今回も結末は既に決めておりますが、途中のノリとかで変わるかもしれません。勿論どんな結末になろうとそれなりのオチはつけさせていただきますが。
長くなってしまいましたが、読んでくれた方は是非評価とブックマークの程よろしくお願いします!




