38 レジスタンスって響きが良いよね。
誰も近寄らない街の外れ。
その中にある苔むした家屋に不法侵入すると、そこには既に約束の人物が居た。
「あれ、もう居たのか」
こじんまりしつつ照明も無いのでかなり暗い室内。その真ん中にある真四角のテーブルの辺に置かれている四つの椅子。
そのひとつに彼は座り込んでいた。
「あぁ……僕、待ち合わせとか早く来ちゃうタイプだからさ……気にしないで」
目を合わさない様にぼそぼそ喋るフウマに頷きつつ、そうなるとだいぶ待たせちゃってたのかなー。と、若干の罪悪感が芽生える。
「そんで、情報収集の成果だけど……どうだった?」
真向かいの席に座りつつ訊ねると、フウマは小さく顎を引いた。
ユズリが俺の左隣に座ったところで、彼は話し始める。
「とんでもない事が分かったよ。色々と騎士達を操ってるのは……どうやらこの街の領主らしい」
「んなっ……!」
あんぐりお口を空ける俺に対し、フウマは特にリアクションせず続けた。
「でも……何かやり方は凄い回りくどくて違和感を持ったよ。どうやら騎士長みたいな人が、領主さんに直々に司令を受け取って、それから部下に命令する、みたいな……どうやら一週間くらい前から急にこのやり方に変更されたみたい」
「一週間前……!」
約一週間前といえば、この街で事件が起こり始めた時期と一致する。
そこら辺をもっと細かく追求していきたいが、今は別の事を確認すべく左に位置する相棒に視線を移した。
「ユズリ、街の騎士っていつもはどういう風に仕事をこなしているの?」
急な質問に驚くユズリだったが、直ぐに答えてくれる。
「基本は配属地域の治安維持に務めているわ。その為の役割がいくつかあって、先ずは門番。それから見回りね。後は騎士の宿舎で訓練を行っているわ」
「成程ね。警察と消防士を合わせて二で割ったみたいな感じか」
厳密に言えば違うのだろうが、離れてもいないだろう。
しかし、俺が知りたいのは持っと細かい内容だ。
「国とか、街の領主からの司令とかは、本来どんな感じで依頼されるの?」
「えぇっと……。重要な事であれば領主邸に出向いたり、領主様が来てくれたりするけど、大した事の無い時は手紙とか支配人とかが言伝に来る……って感じかな」
貴重な情報が入ったところで、改めて頭の中で整理する。
「じゃあ、この街みたいに特定の騎士がパイプ役をするのは珍しいって事か……ううむ、フウマはその人について何か知った?」
頭の後ろで腕を組みながら問うと、彼は一瞬背筋を伸ばしてから答えた。
「えっと……テンソーって名前の人だったかな。特徴は背があまり高くない事と、右頬に敵から付けられた切り傷が残されてるって事くらい。一度生で見てみたかったけど、タイミングが合わなくて……」
「そっか……ユズリはその人について何か知ってる?」
「えぇ。テンソーさんはとにかく規律を重んじていて、罰則とかに厳しかった記憶があるわ。あまり話した事は無いけど、たしか見た目は……茶髪で緑目だったかな」
テンソーという名の騎士とその特徴を脳内でメモり、次なる話題へ移る。
「そんじゃ俺達の集めた情報だけど……」
俺はフウマに、レジスタンスと接触した事とその時に得た情報を開示した。
「へぇ……そんな組織があったのか。何か漫画みたいでちょっと燃えるな」
「わかる! 分かるぞぉ……でも、いざ現実となると複雑だよなぁ」
そこまで口にした所で、ユズリが俺達の会話についていけてないと気づき咳払いして本題へ戻る。
「まぁ俺たちとフウマの情報を照らし合わせると……多分、この街の領主とガンゾルドって奴は繋がってる。どんな交渉の元そうなってるのかは分からないけど」
「うーん。やっぱり金かなぁ……」
フウマの何気無い一言にユズリが噛み付く。
「でも、テンソーさんがお金で規律を乱すとは思えないわ」
「え、あっ、で、でも人間意外とそこら辺脆いし、人なんて追い詰められれば何しでかすか分かったもんじゃない、ですし……」
相変わらずのキョドり具合に見てられなくなってので、助け舟のつもりで会話に割って入る。
「あくまで繋がってるのは領主とガンゾルドだけで、テンソーさんは利用されてるだけの可能性もあるし、そこら辺は考える程に色んなパターン出てくると思うから考えるだけ……」
右手で後ろ髪を掻きながら発言していると、不意にフウマが立ち上がった。
「な、何か来る……? 〈透隠密〉」
彼が呪文を唱えその姿を消した数秒後。
何者かが、ドアを蹴破って室内に侵入して来た。
「おふたり様。パーティーの招待状をお届けに参りました」
先日、友人の誕生日だったのでおめでとうメッセージ送ったら、「俺の誕生日ひと月先だけど?」と言われた作者です。
そんな失礼な事をしでかした僕が書いた作品ですが、面白いと思ってくれた方は評価とブックマークもして下さると励みとなりますのでよろしくお願いします。




