better half もう1つの翼
「今日のお茶会は、どうでしたか?」
「気になる令嬢はいましたが、将来の王妃としてと言われるとフローラ嬢が、安心かと」
「そう。では、フローラ嬢を婚約者としていいかしら?」
「はい。いえ、もう少し、考えたいです」
「レイベルト、王家の者、特に王太子である貴方は生身の人間であっても、人生そのものに役目をいただいている特別な立場にあります。
婚姻相手には、王家に入るのに相応しく、将来の王を生み、その血筋となり、子供を正しい王に育てることのできる人を選ぶ必要があることは、分かりますね」
「はい」
「ですが、良い伴侶は、完璧な人と同じ意味では、ありません。良い伴侶は、人生を乗り切るためのもう一つの翼です。
空を飛ぶ時には、様々な試練があるでしょう。嵐が来たり、灼熱の太陽に晒されたり、吹雪の中で体温を失ったり、怪我をしたり、不当に扱われることや、孤独で助けを得られない時もあるでしょう。
そのような時でも、あなたのもう一つの翼となり共に乗り越えられると思える相手かどうか。
それを決める最終的なものは、王家と言えども、愛だと私は思うのですよ。
愛する人と共にいることほど、強くなれる方法はないと思っているわ」
「今日は、メアリー嬢を気にしていたわね。あなたの言うとおり面白い娘ね」
「ーーーーはい」
「家柄も容姿も申し分ないわ。
頭も良いし、
あなたとの年齢差は、今は大きく感じるでしょうけれど、あと三年もすれば、立派な淑女になるでしょう。
メアリー嬢なら、申し分ない有力候補のはずなのだけれど、サザーランド公爵は、以前から、彼女を隠しておられてね。
体が弱いのか、公爵が手放したくなくて表に出さないのかと思っていたのですけれど、今回のお茶会にお誘いした時には、自由奔放すぎて王室に推薦したいような娘ではないと暗に断られたわ。 ステラ夫人からもよ」
「はい。メアリー嬢の兄からも、今回のお茶会に招待した際に釘を刺されました。
メアリー嬢は、天真爛漫で、伝統的なものに重きを置く環境では、彼女自身も周囲も苦しい思いをするだけだろうと 」
「ご家族が揃って、そう言うのであれば、余程自由奔放な令嬢なのね。
それだと、確かに王家に入ると、苦労するか、彼女の才能を潰してしまう結果になるかもしれないわね」
「それは、よくわかります。でも、母上の例えを考えるならば、もう一つの翼は、あのような創造力や大胆さ、周囲に惑わされず行動する精神力を持つ女性であったらどんなにいいだろうかと。もしメアリー嬢のような人が、片翼となるならば、激動と言われる時代にあって、私自身が、最も王家に必要で相応しいものとなることができるのではないかと思う部分もあるのです」
「そう。 彼女を選ぶ大義名分としては、それで通用する可能性は、あるかもしれないわね。
でも彼女の方は、あなたのことを何とも思ってなさそうね」
「母上!」
「前途多難かしらね。 いづれにしても
婚約者の発表は、もう少しだけ伸ばしましょう」
「はい。 ありがとうございます」




