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12話 集合

少し都合が良い展開ですがタグにご都合主義があるので大目に見てくれると嬉しいです。

 


「フォン。今何時だ?」

「20時40分ニナリマス」

「わかった」


 寝ている間、そんな声が聞こえました。

 私は、今日の朝に緑色の怪物に捕まってめちゃくちゃにされました。

 とても気持ち悪くて、とても悔しくて、死にたくても怖くて死ななくて、誰でもいいから早く助けに来てと何回も願いました。


「すみません」


 暖かく優しい声が聞こえました。

 その言葉は、すごく謝罪の感情がこもっていて、私は頭を撫でられました。

 本当に申し訳なく思っているのだと思いました。

 きっと意識があったら私は反論していたと思います。


 もっと早く、助けに来てほしかったと……。


 助けてもらったのに……こんなにも本気で謝ってくれていたのに……。

 しばらくすると、私はまた意識をおとしました。



「ぅ……う〜ん、これは?」

 目を覚ました私は横に置いてあったキャラメルと水、そして手紙に気づきました。

「起きた?」

 隣に寝ていた人が話しかけてきました。

 どうやら私より先に起きていたみたいです。

「あの怪物は? あと私たちを治してくれた人は?」

 私は辺りを見回し、彼女に問いかけます。

 他の女性達にも布団がかけられていました。

「あんた、ファンタジー小説は読まない?」

 ……ファンタジーですか。

「……はい。推理小説は何冊か」

「そっか。あれは『ゴブリン』っていうんだ。それと、その手紙」

「手紙?」

 彼女に言われ、近くに置いてある手紙を開くと


『起きたら食べるといい、落ち着く。体の傷は治した。心の傷は自分で治せ』


 そう手紙に書いてありました。

 私はキャラメルを口にいれます。

「このキャラメル美味しいです。……なんだか落ち着きます」

「そうだね……」

 彼女の表情は暗いです。

「ねぇ、あんたはこれからどうするの?」

「わたしは……」


『すみません』


 思い出すのは、寝ている時に聞こえたあの言葉。

「私は、助けてくれた人に会いたいです。そして、助けてくれたお礼を言いたいです。あんなに酷い目にあっても、死にたくなくて、助けてほしくて、助かった……だから、会ってお礼を言います」

 私がそう言うと、彼女は少し驚いたような顔をしたあと

「……そうだね。ごめん。あたし、ここにいる皆で助けた奴に文句を言おうとしてた。あんたと同じだったのに……」

 落ち込み気味にそう言いました。


「なら言いましょう! ついでに、遅くなった責任を取ってもらいましょう!」

 元気になってもらいたくてつい適当なことを言ってしまいました。

「アハハハ。そりゃいいや。でも男なの? 字を見る限りじゃ男だけど……」

「男です! 私、声を聞きました!」

 声は覚えました!

 推理小説好きを舐めないでください!


 そして後日、運も味方し彼女は簡単に蓮を特定するのだった。



 ◇



 最初に保護したのは7歳の双子の少女だった。

「「ママもパパも死んじゃった〜わぁぁぁあああ」」

 見事なシンクロだ。

 ショッピングモール(ホープ)の休憩所に来るなり俺にしがみ付いて泣き出した。

「ちょ……ちょっと……離して」

 ……仕方ない。

「【スリープ】」

 悪いな。

 すぐに戻るから。



 おっ、家具屋にいる子たち全員起きたー。

 じゃあ早速。

「あーあー。テステス……」

 やばっ!

 家具屋の放送機が壊れてる。

 でも気づいてほしいし〜。

「おーい! ちょっとー! 家具屋の子たち来ーい!」

 仕方なく大声を出して無事な放送機から呼びかける。


「あの? 何か聞こえませんか?」

 良し1人気づいた。

 アタシはさらに大声で呼びかけた。

「本当だ。聞こえるね」

「こっちに来いって言ってますね」

「行くんですか?」

「いや、こんなに暗いと無理でしょ」

 そうだった。明かりがないんだ。ええい、しょうがない。

 アタシは廊下と声が届いた放送機の場所を照らした。



「明かりがついた。どうしますか?」

「行ける人で行きましょう」

 そうそう。来てくれないと困るんだよね〜。

「あ〜。元気? 元気ならちょっと手伝ってほしいことがあんだけど〜」

 私は女の子たちにそう言った。

「えーと、すみません。どちら様ですか?」

 そうか、その質問か〜。

「あーと、アタシはこのショッピングモール。アンタたちを助けたのがアタシのマスターだよ〜。細かい説明は明日マスターからあると思うから〜。とりま手伝ってほしいことがあんだけど、できる?」

 面倒な説明は全部マスターがしてくれるよね?

 マスター優しいし〜。

「何をするんですか?」

「さっき休憩所に子供が運ばれてきたんだけど〜。布団も何もないんだよね〜。これからもっと人数が増えると思うから〜着替えて手伝ってほしいんだけど〜ダメ?」

 今放送を聞いているのは10人。

 後の10人も手伝ってくれるといいんだけど〜。

 何か相談もしてるし〜。

「わかりました。準備するので少し待ってください」

 ふぅ〜。よかった〜。

 この後、着替え終わった20人に布団や毛布、無事な服や食料を用意してもらった。



 ◇



「くそっ。おい! あと何匹だ?」

「暗くてよくわからない。向こうはオオカミの魔物だ。隠れても臭いでバレる」

「ファイアボール。先輩たち。ちょっと……厳しいです」

 ある所では社会人の20〜40歳までの人たちが集まって魔物と戦っていた。

 ここにいるのは30人の人たち。

 魔物の数も、だんだん多くなっていた。

「さっきのアナウンスで、ダンジョンからの行進は収まったんだろう? 何でこんなに集まってるんだ?」

 攻めてきている魔物は約100匹。

 非戦闘員もいるため、この暗闇では圧倒的に不利であった。

 そしてここは、魔物たちの『目的』でもある。


 今回の魔物行進(モンスターパレード)

 魔物たちに命じられたことは……


 ・人にとって重要な施設、生活基盤の破壊。


 ・26歳以上の人間の優先殺人。


 ・15歳以下の意図する殺傷禁止。


 この3つである。


 ※主人公は1つ目しか特定していません。


 ――ドゴンッ!――


「東側が突破されました!」

「くそっ、これじゃ【内職者】の人たちが……」


 ――シュパッ――シュパシュパシュパ――


「何だ? 新手? いや、どこかから応援か?」

 突然、魔物の首が飛んだのだ。

 そして……


「先輩! 紙が……」

 多くの紙が上から舞ってきた。

 1つを取り見ると


『ショッピングモールの拠点化に成功。明日の11時までに集合。これは強制ではない。気に入らない者は来なくていい』


 魔物も全ていなくなったようだ。

 急いで建物の中に戻る。

「おい。どうなった?」

「2人死んだ……それから、奇妙な仮面を付けた奴がこの紙を置いていった」

 仮面?

「死体は?」

「あぁ、なんでも、アンデッド化するといけないから貰うと言って持っていったよ。他に死体を見つけたら処理してくれとのことだ」

「わかった」

 ショッピングモールか……

「夜が明け次第ショッピングモールを目指します。異論のある人は言ってください」



 ◇



「やれやれ、まさか死んでから24時間経つとアンデッドになるとは……」

 ショッピングモールの中にあった死体も後で処理しないとな……。

「フォン。ちゃんとマッピングしてるよな?」

「モチロンデス。ココハ住宅街デスネ」

「あぁ、ちょっと時間がかかるが、一軒ずつ回るか」


 この後は住宅街と休憩所を行ったり来たりした。

 途中からゴブリンの被害に遭った女性たち20人が手伝ってくれたのでよかった。


 そして……


「月野……」

 表札に『月野』と書かれた家を見つけた。

 家の中に反応がある。

 どうやら本人と弟、妹は無事のようだ。



「おねぇちゃん。怖いよ……」

 妹が震えている。

 私たちは姉弟妹(きょうだい)で狭いタンスの中に隠れていた。

 今日のお昼頃、ここの住宅街に魔物が現れたのだ。

 大人の人たちは、自分の家族を守ろうとして魔物に向かっていった。

 どうなったかはわからない。

 私の両親も仕事先から帰ってきていない。


 ――ガチャリ――


 その時、私たちの隠れている部屋の扉が開いた。

 足音は聞こえない。

 何かのはずみで開いたのだろうか?

 弟と妹は私にしがみ付いて震えている。

 そして……


 ――パッ――


「……っ……」

 タンスのドアが開いた。

 怖くなって私も目を瞑ってしまった。


「大丈夫ですよ。ここはもう安全です」

 そう言われたので目を開けると女の人がいた。


「ここはショッピングモールの休憩所です。説明は明日あると思いますので、今は寝てください」


 助かったのだ……。

 その言葉を聞いた瞬間、緊張感や疲労感が身体の中から一気に弾けて私は気を失った。




読んでくださりありがとうございます。

すみません。次回の更新は21日の水曜日になります。

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