第八話 劇
*今回短めです⭐︎
*別大陸編の最中です。
*ミコ、カイ、オースは不思議な人形劇を観ます。
*物語の過去に触れる内容の劇です。
*オースはすこし揺れます。
*今回短めです⭐︎
*別大陸編最中です。
*では、お楽しみください。
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とある昼下がりだった。
ーー別大陸市場エリア裏路地の通り。
ミコは、路地裏の骨董品や民芸品のお店をオースと見ていた。
様々な骨董品やら日常品、アクセサリー、服など屋台が並ぶ。
2人は歩きながらキョロキョロ物珍しそうにしていた。
異国情緒溢れる空間では、風に乗って不思議な香りや外国の雰囲気が漂う。
狭い裏路地は、沢山の買い物客や露店商人で賑わっていた。
ミコがあたりを見回しながら、気付いたように言った。
ミコ「あ、カイを置いてきちゃった!!」
オースも後ろを見て言った。
オース「あ…ミコが飛び出したから…声かけてる暇なかった。」
ミコとオースは、しばらく歩いた。
そして、路地裏の一角にある小さな劇場の前に立ち止まった。
何の看板も出ていない。
クリーム色の建物で、両開きの木の扉が開いていた。
背が高い民族服を来た、フードを被った男性がいた。
往来の人々へ、明るく呼び込みをしていた。
フードを深く被り、顔は見えない。
「さあさあ、人形劇が始まるよ。そこのお嬢ちゃん、お坊ちゃんたち、見ていくかい?」
ミコ「人形劇?」
オース「面白そうだね、ミコ。すこし観ていく?」
その時、カイが路地の向こうから走って来た。
だいぶ息切れしていた。
カイ「探しましたよ…。良かった。2人ともここで何をしてるんですか…。」
ミコ「あ、カイ!あのね、いまから人形劇見ようかなって。」
カイ「え?」
オース「カイも行こう!!」
3人は劇場へと入って行った。
呼び込みをしていたフードの男性は、振り返って3人を見た。
変わらずフードで顔は見えない。
ーー左耳に、水色に点滅するピアスが光っていた。
ーー
ーー
劇場内は、観光客や子どもやら大勢で賑わっていた。
小さな舞台が設置され、赤の幕が覆われていた。
頭上からライトが当てられていた。
舞台上では、黒ローブを着た人形師がいた。
黒いフードを深く被り、顔は見えない。
人形師がお辞儀をした。
それから、舞台上でゆっくり話しを始めた。
『お集まりいただき、光栄です。』
『では…古からこの地に伝わる物語を…ひとつ皆様にお聞かせしましょう。』
『今は忘れられた、〝鉄の命〟の伝説を…。』
赤い幕が左右にゆっくり開いた。
ーー
ーー
『むかしむかし。はるか昔のこと。』
『この大陸には大きな四つの国があった。』
舞台上に四つの国の絵が、スクリーンに映し出された。
『四国は、固く同盟を結び、長きに渡り大陸全土の平和を守っていた。』
『それぞれの国には、〝鉄の命〟と呼ばれる、四体の美しい神の遣いがいた。』
舞台上に四体の人形が現れた。
それぞれが違う見た目をしている。
ミコ「〝鉄の命〟…?」
思わず、ミコは小声で呟いた。
『四体の〝鉄の命〟は、神、または失われた太古の文明が創り上げたと考えられていた。人々は、大切に崇め奉っていた。』
『彼らは、国の守り手として、それぞれの国を慈しみ、不思議な力により、人々を守護していた。』
次の瞬間、フッと舞台上が暗くなる。
『ーーしかし、
ある日突然…そのうちの一体が…闇に呑まれてしまった。』
舞台上に映された、一つの国が黒くなり燃えていく。
『…闇に堕ちた守り手は、強大な力により、自国を一夜にして滅ぼしてしまった。そして、
ーー〝災厄〟として世界を混沌に陥れた。』
人形の一体が黒くなり、紫に光を帯びた。
ミコがオースの袖を摘んだ。
オース「…!」
オースはミコの手をぎゅっと握った。
オース「…ミコ大丈夫?」
オースは小声で囁き、ミコの顔を見た。
ミコ「少し怖い…。」
オースは、ミコの手を握りながら小さく笑って言った。
オース「大丈夫、僕がいるよ。」
ミコはうなずいた。
カイは何も言わない。
ーー無表情で劇を観ていた…。
カイの目は、とても…遠い過去を見るような眼差しだった。
人形劇は続いていた。
ーー
ーー
人形師は語りを続ける。
『…世界は戦火に呑まれた。災厄は広がり、世界は混乱に陥った。闇に堕ちた〝鉄の命〟は、絶大な力を使い、悪の大軍勢を率いて…世界を滅亡させようとした。』
舞台上に映された、三国の絵のまわりに黒い炎が燃え広がる。
『三国、及び周辺諸国では、迫り来る災厄に対抗するため、〝鉄の命〟を古代技術により、人工的に〝再現〟した。』
ミコ「…!?」
『そして…新たな〝鉄の命〟を造り上げた。彼らは人間に味方し、国を守護した。』
舞台上に、三体の人形が出された。
『黒影の支配者』
『氷雪の騎士』
『赤い死神』
『大国である三国を治める、強大な力を持つ三体の〝鉄の命〟がいた。』
人形が出されるたびに、劇場内を影が動き、冷たい風が吹き、赤の光が舞った。
『三体の〝鉄の命〟は、世界の守り手だった。迫り来る悪に怯える国々をまとめ、世界を脅かす災厄に同盟を結び、共闘し立ち向かった。』
ミコ「え?」
オース「…!」
カイ「…!」
カイは、オースを不安げに見ていた。
舞台上の三国の絵が変わり、白の美しい国絵に変わった。
人形師は話し続けた。
『…別の大陸に、美しい白の都があった。古代の科学と技術、兵器の全ての粋を集め、治めていた。』
ミコ「これって…今の〝未来都市〟?」
カイ「…!!」
少しはっとした顔をし、カイはミコを見た。
ミコとオースは手を繋ぎ、人形劇に集中していた。
ーー
ーー
人形師の話は続いていく。
『…白の都にも、災厄の悪の手が伸びた。』
舞台上の白の都の絵がだんだん…黒くなっていく。
『闇に堕ちた〝鉄の命〟は、白の都の力により、更に強大な悪の大軍団を率いた。』
白く美しい都市が、黒色に染まっていく。
『世界は終わるかと思われた。しかし…』
一体の人形が舞台上から出た。
『突然、一体の〝光の鉄の命〟が、白の都に迫る災厄を抑えた。』
舞台上の一体の人形が、白くまばゆい光を放った。
『強大な力をもつ、一体の〝光の鉄の命〟は…その身を犠牲にし、迫り来る災厄を…1人で食い止めた。』
だんだん人形の光が消えていく。
人形が、白の都の地下へと退出していく。
『しかしながら、白の都は崩落し終わりを迎えた。〝光の鉄の命〟の力は…全てを破壊してしまう力だった。
その〝光の鉄の命〟は、力を使い果たし…地底奥深くに眠りについた。』
白の都の絵が消えていく。
ミコ「…!」
ーー
ーー
人形師の話は続く。
『光の〝鉄の命〟が眠りについた後、三体の〝鉄の命〟が、大軍を率いて残る災厄へと勇敢に戦った。そして、
ーーとうとう災厄へと打ち勝った。』
三体の人形がまた舞台上に現れた。
舞台上に影が揺れ、冷たい風が吹き、赤い閃光が舞う。
大陸に描いた、三国の絵が再び舞台上に現れる。
ミコとオースは、目を丸くし見ていた。
カイは、表情は変わらない。
俯いていた。
ーー
ーー
人形師は続けた。
『そして、再び世界に平和が訪れた。』
『…時代とともに、〝鉄の命〟たちは…人間達の前から姿を消し…次第にその存在を…忘れられていった。』
三体の人形達が、舞台上から姿を消した。
『この地に古くから伝わる〝鉄の命〟の伝説です。…本日はお楽しみいただきありがとうございました。』
人形師が、ほんのすこし顔を上げた。
フードで顔は見えないが、左耳にオレンジのライトが点滅するピアスが見えた。
カイ「…!」
思わず、カイは立ち上がりかけた。
しかし、ミコとオースを見て再び座った。
ーーゆっくりと人形が退出し、人形劇の幕が降りた。
ーー
ーー
劇が終わり、照明が場内に明るく付いた。
観客がざわざわとしながら、後ろの扉から退出していく。
3人は、しばらく椅子に座ったままだった。
ふとミコは、隣のオースを見た。
オースは、幕が閉じた舞台を見ながら、静かに泣いていた。
重厚な機械の眼帯のない、左目から涙がぽろぽろ落ちる。
ミコ「!!!」
オース「…。」
ーーオースは、言葉に出来ない何かが記憶に揺らめいていた。
胸がいっぱいになっていた。
カイ「オース、大丈夫ですか?」
カイは心配だった。
泣いているオースの肩をそっと支える。
素早くカイは、劇場を見渡した。
3人以外、誰も残っていなかった。
オース「うん…平気。ノクティス隊長や、レグリア副隊長、テト中隊長が待ってるかも…。行こう。」
オースは、ウサギ柄のハンカチで涙を拭った。
ミコ「…大丈夫?オース…。」
ミコは心配そうにオースを見上げた。
オースはミコに笑って言った。
オース「うん、平気だよ。ちょっと怖かっただけ。」
3人は立ち上がった。
劇場を出て少し歩くと、テトとレグリアが前から走ってきた。
テト「おい、心配したぞ!どこ行ってた!?」
レグリア「ミコ、カイ、オース!めっちゃ探したぞ〜!?」
テトとレグリアは、汗だくだった。
かなり走り回って、3人を探したようだ。
3人は、近くで人形劇を観ていたことを伝えた。
レグリアとテトは、顔を見合わせた。
テト「何言ってんだ?…この辺りに人形劇なんかないぞ。」
ミコ「え?」
レグリア「…どこで観たんだ?」
レグリアは顔つきが変わっていた。
いつになく真剣な顔をしている。
3人は、人形劇の劇場を探した。
しかし、壁があるだけで劇場は…跡形もなくなっていた。
カイはすこし辺りを警戒していた。
一同の前から、ノクティスがマンゴーかき氷を食べつつ歩いてきた。
ノクティスは、かき氷をスプーンで掬いながらもぐもぐしている。
ノクティス「…。」
一同を見てから、淡く光る紫の目を、何もない壁に向けた。
それから、静かにオースを見た。
オースは、ノクティスを見上げる。
オース「…?」
オースを見下ろしながら、美しく揺れる紫の目を、ノクティスは少し細めた。
それから無言で3人に、いま買ったばかりのマンゴージュースを手渡した。
3人「あ…ありがとうございます!?」
ノクティス「…そろそろ行くぞ。」
ノクティスは、車の方へ歩いていく。
ミコ、カイ、オースは顔を見合わせたがうなずいた。
3人はテト、レグリア、ノクティスの後ろを歩いて行った。
オースは、後ろの路地を振り返った。
ーー遠い遠い過去の記憶に…
誰かに…呼び止められた気がしたからだった。
しかし、路地には誰もいなかった。
ミコ「オース!次は森林エリアに向かうよー!!」
オース「…うん!」
オースは、ミコたちを追いかけて走って行った。
建物の屋根上から、一同を見下ろす二つの影があった。
しかし、砂混じりの風が吹き、その姿は幻影のように、すぐに見えなくなった。
路地裏前には、微かに…ふわりと砂塵が舞う一筋の風が吹いた。
砂塵は、先へ走っていくオースのリュックのうさぎの耳を、少しだけ揺らした。
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*長文読んでいただきありがとうございました。
*長文読んでいただきありがとうございました♪




