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第4部-第48章 不採用通知
面接から三日後の午前中、郵便受けの中に一通の白い封筒が入っていた。
宛名は自分、差出人はあの倉庫の会社名。
封筒を手に取った瞬間、重く冷たい感覚が指先に広がった。
母は居間で洗濯物を畳んでいた。
浩一は封を切る前から、すでに中身が分かっていた。
――「このたびは……誠に残念ながら……」
活字の冷たさは、面接官の事務的な声と重なって胸を刺した。
最後まで読む必要はなかった。紙を二つ折りにして、テーブルの端に置く。
「どうだったの?」
母の声は静かだが、わずかに期待が混じっていた。
浩一は答えず、視線を落としたまま首を横に振った。
母はしばらく無言で洗濯物を畳み続けた。
その沈黙が、言葉よりも重くのしかかる。
午後、窓の外では子どもたちが遊ぶ声が響いていた。
自分にはもう、ああいう明るい音のする世界はない――そう思うと、胸の奥がじわじわと冷えていく。
不採用通知はそのまま机の端に放置され、夜になっても片付ける気にならなかった。
薄い紙切れ一枚が、自分の価値をはっきりと証明しているように思えた。




