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大学受験に失敗して就職もせず、気づけば五十歳ニートになっていた  作者: マルコ


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第4部-第49章 母の沈黙の圧力

不採用通知を受け取った翌日から、家の中はさらに静かになった。

 母は必要最低限のことしか話さず、目が合ってもすぐに視線を逸らすようになった。


 朝食のトーストを齧る間も、テレビの音だけが部屋を満たす。

 ニュースキャスターの明るい声と、母の沈黙の対比が痛かった。


 台所に立つ母の背中は、小さく、しかし硬く見えた。

 何も言わないその沈黙が、かえって「また何も進んでいないじゃない」という言葉より重くのしかかる。


 午後、母は家計簿をつけていた。

 ペン先が紙を擦る音が、部屋の隅まで響く。

 その音の中に、責めるような気配を勝手に感じ取ってしまう自分が情けなかった。


 「……次はいつ動くの?」

 夕食後、母がようやく口を開いた。

 その声は低く、感情を押し殺している。

 浩一は「探すよ」とだけ答え、箸を置いた。


 母はそれ以上何も言わず、食器を片付け始めた。

 食器同士がぶつかる乾いた音が、やけに耳に残った。


 自室に戻ると、不採用通知の封筒がまだ机の端にあった。

 それを見ないようにしながら、布団に潜り込んだが、胸の奥の重さは消えなかった。

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