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現実
目を覚ました時、そこは白い部屋だった。
「あ、起きました。先生、起きましたよ」
私はゆっくと上半身を起こした。
「大丈夫ですか?」
その声は、間違いなく女神だった。
「あの、女神。私は現実に――」
「私は矢神です。まだ、頭が混乱しているみたいですね、先生」
「あなたは過労で、倒れたみたいです」
「あれ、天の声」
そこには、白衣を着た男性が立っていた。
「天野です。点滴をうってますから、もう少しここでお休みになっていてください」
「あの、ここは異世界ですか?」
天野医師は鼻で笑った。
「ここは現実です。あなたは過労で倒れただけです。しっかりしてください」
見渡す。医療器具があり、目の前には、男女の人間がいた。確かに現実だ。
一時間後、私は退院をした。スマホを取り出す。上司からの電話が、十数件も来ていた。
「もしもし」
「何やっているの? どこよ」
「今、過労で倒れていまして。異世界に行っていました」
「……早く会社に来い」
電話を切った。私はこれから、どんな処分が下されるのだろう。まだ、あの異世界の方が良い。
以上で終わりです。ご愛読、ありがとうございました。




