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もう一つの選択肢

決断しなきゃ…

そう何度も思い、何度も悩んだ


それでも…


「誰か決めてくれればいいのに…」


優柔不断でズルい私は思わず出てしまった本音に苦笑するしかなかった


ここでの優しく甘い生活はとても居心地が良くて

それでも現実の世界に未練がたっぷりで


差し出された二つ手、二つの選択肢

さぁお好きな方をどうぞ

と言われても、戸惑うばかりで選べない…


今まで必要とされたことなんてなかった

乞われたことなんてなかった

それがどんなに心地よくて離し難いものなのか知らなかった


本当に私最低だなぁ


流されてただけの人生

流されて生きるのは楽だった

決断なんて知らない

指示されたことだけやっていれば良かった

私一人がいなくなったところで

誰も困ることなんてないと思ってた


現実の世界に両親以外に私を待っててくれる人なんて

いないと思ってた


こっちの世界だって少しの間だけの居候感覚だった


どちらの世界にも私を必要としてくれる人がいるなんて

知りたくなかった


あんな目で私を見ないでほしかった

あんな熱、私は知らない


恋なんて知らない


選べなんて言われても、そんなの知らない


手を取りたくても

どっちも知らない


まだ、私は知らないんだよ…


ねぇ神様


こんな私は残酷ですか




決断をしない私に神様はチェシャ猫のようにニンマリと笑って



「じゃ、延長戦だね!」



そう言ってフッと消えた



そして次に現れたときには何故か横に成瀬さんを連れていた


「…え?ここどこ?ってか皆藤?え?何?」


急に知らないところに連れられて軽くパニックになっている成瀬さん

当たり前だ

私だって意味わからない


「前からねーちょっと彼は夜お話するだけとか不利かなーって思ってたんだよね

だからね、延長戦は特別にこっちで過ごしてもらう方が良いんじゃないかなーって思って!

あ、それとね、君なんかゴールデンレトリバー?っていうんだっけ?ふさふさしているやつ!

あれに似てるよね?だからね、昼間はその姿で過ごしてねー特別だぞ☆

じゃ延長戦頑張ってねー

っとそれから、向こうの世界は私がなんとか辻褄合わせておくから心配しないでゲーム頑張ってね

私本当に気が利くでしょ?だって偉いもん!」


言いたいことだけ早口で捲し立てて神様は去っていった…


神様が去っていったと同時に月は雲に隠れ

私の姿を柴犬に戻す

と同時に成瀬さんの姿もゴールデンレトリバーに変わった


変化した私の姿と自分の姿にびっくりしている成瀬さん

そうだよね 驚くよね

何も聞かされず埒られてたようだし…


取り合えず私がわかる範囲で説明してみた

おぉさすが犬同士!犬語が通じる!


事故にあった後、神様にこっちの世界に連れてこられたこと

こっちの世界では柴犬で過ごしていること

クロムさんにお世話になっていること

満月の夜だけ人間に戻れること

そして…

帰れるチャンスだったのに

帰ると言えなかったこと…


「ふーん…それで延長戦…ね…」


上等だ


そう呟いてニヤリと笑った成瀬さんの顔は

同じ犬なのに(なんか格が違うけど)どうみても

猛犬注意のステッカーを貼りたくなるような肉食的な何かを感じたのは気のせいだと思いたい


※※※


あれから私を探しに来てくれたクロムさんに

私だけ抱っこされたときに

クロムさんと成瀬さんの視線が殺伐として怖かったとか

成瀬さんは王子さまにドナドナされて王宮でお世話になってるとか

肉食系のお姫様に毎日熱いプロポーズを受けまくってるとか

お姫様に寝込みを襲われそうになったとか

それでも毎日王宮を抜け出して私に会いにきてくれるとか

何気にちゃっかり王子さまも混ざってるとか

それを受けてクロムさんの私に対する甘さが

更に増して砂糖を吐きそうになるくらいだとか

色々あるけど



延長戦はまだまだ続きそうです



これで一応完結とします。ここまでお読みいただきありがとうございました。

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