ー1ー 新しい朝の光
朝日がまぶしい。布団の中のぬくもりはそれ以上に心地よく、ロイは思わず目を閉じたままうとうとする。
「お兄ちゃん! いつまで寝てるの! いい加減起きてよ!!」
台所から妹・ユームの声が飛んできた。朝から元気いっぱいで、家事もテキパキこなす彼女は、ロイとは正反対だ。
「……あと五分……」
ぼんやり答えながら、ロイは今日が灯花祭の日だということを思い出す。
「灯花祭だよ! お手伝いに行くんでしょ? 遅れちゃうよ!!」
――その瞬間、バンッという音と共に背中に衝撃が走る。
「おはよー! ロイっ!」
村長の孫、ビットが勢いよく飛び込んできたのだ。押しつぶされる形でベッドに沈むロイに、にこやかに声をかける。
「いつまで寝てるんだよ! ほら、このビット様直々に迎えにきてやったぞー!」
「もうビット! 起こしてくれるのはありがたいけど、玄関から入ってきてっていつも言ってるでしょ!」
ユームはぷんぷん怒りながら言う。
「ごめんごめん、ユームちゃん」
ビットは軽く謝るだけで、全く反省の色はない。
「じゃあ、私はもう行くね。リハーサルがあるから!」
小さなカゴを手にしたユームは、長い髪を後ろでひとつ結びにして、軽やかに駆け出していった。
「おーい、ロイ。ユームちゃん行っちゃったぞー。俺たちも早くいこーぜ」
ビットはせかすように声をかける。
ロイは布団の中でうめいた。
「……起こすなら、普通に起こしてよ……」
「普通で起きないのはどこの誰だよ? 俺じゃなきゃ、まだ寝てたぞ?」
二人の掛け合いは、布団の中に残る朝の空気を軽く揺らす。
声の勢いはまるで朝日のように明るく、寝ぼけたロイの頭にも覚醒の光を届けていた。




