29話 閑話休憩
日差しが眩しい。後クソ暑い。
「日本の夏もひどいもんだったが、こっちも大概だな」
汗を拭いながらふうと一息つく。
暑いのは苦手だ。
いくら脱いでも暑いもんは暑いし、寒いのは着こめば何とかなるが酷暑だとそうはいかないからな。
俺まぁまぁ汗っかきなんだぜ!?ったく・・・
「このあたりか」
俺は一本の巨大な樹木がそびえたつ丘の上にやって来ていた。
「おお、確かに絶景だなこれは」
俺は大木の陰に腰を下ろし、買い出しのついでに買ってきたサンドイッチをむさぼる。
エルにおすすめされてやってきたが、なかなかいいとこだな。風も気持ちいい。
眼下には俺たちの住む東都の町が広がり、隅っこのほうには教会もチラッと顔をのぞかせている。
「ふう」
果たしてあの二人はうまくやっただろうか。
・・・エルもシスターも変なとこで不器用だからな。こうでもしてお膳立てしてやらないと、二人水入らずで話すことなんてできなかったろう。
今回ばかりは気の利いた自分を褒めてやらないとな。
えらいぞ俺~。
「うめぇなこれ」
・・・それはさておきだ。
気になるのはシスターの祝福、それに精霊の知らせとやらである。
懐から石英管一つと現代魔法解体を取り出し、中の血液を太陽にかざしながら本をペラペラめくっていく。ええと該当ページは・・・
「ここか」
精霊魔法(詳細、その他)と書いてあるこのページだ。
精霊魔法とは口伝や精霊との対話によってその体系をなす場合がほとんどである。よって、行使者によりその詳細や概要が異なるため、本書ではこれを最低限に扱うものとする。
また、精霊魔法を行使できる者は非常に希少であり、先天的才も関係する非常に不安定な魔法体系であるため、諸君はこれについて先ず考えなくてもよろしいだろう。
「はぁ?」
つまり母数が少なすぎるから調べるのも面倒だし、お前らどうせ使えないから無視していいよってことか?
なんて無責任な本なんだ。
その後、「祝福」とやらについても調べてみたもののこれも記述は無かった。
いよいよ使えない・・・
「著者は誰だよ全く」
一番最後のページをめくると沢山の魔法学者と思われる者の名が記されている。
「ええと原案、編集は・・・」
原案・編集・検閲の欄にはひときわ大きな字で「シーザー・ブライト」と書かれている。
よほど自己顕示欲の強い人なのだろう、でかいだけではなくかなりの太字で名前を示していた。
「どこにでもいるもんだな。こういうやつって」
いましたねぇ、俺の会社にも。
「ああいかんいかん」
前世の記憶がよみがえってきてだいぶ絶望しそうになったが、何とかこらえてサンドイッチを飲み込む。心地よい風が髪を撫で上げた。
さて、向こうは進んでるかな。




