決壊したが、大惨事は免れた……な訳ないっ!!
本日、2話目です!
イリアが振り向いた先に立って居たのは……。
「……南、の、なんでここに……?」
黒衣に身を包んだ南の次男坊が表情硬くイリアを凝視していた。
イリアは泣いていた事を思い出し、手の甲で慌てて涙を拭い、キッと南の次男坊を睨んだ。
「何故こんな所に居りますの?北の森は貴方に関わりの無い土地でしょ!?」
いつものように声を荒げて問い質す。いつもなら南の次男坊もイリアと同じ声の調子で反論なりするのだが、今日は少し様子が違った。
顔を背け長い息を吐くと何も言わずにイリアに近付いて来た。
イリアは驚いたやら訝しいやらで、上擦った声を上げながら身構えた。
「なっ、何なんですのっ!?」
南の次男坊の手が上がったので、思わず目を瞑ってしまう。
何故か打たれる!と思った。過去に打たれた事がある訳でも無いのに。
もしかしたらイリアは打たれたかったのかも知れない。
兄をマッチョにしなかった事を責めて欲しくて。
誰かに、アホバカ愚か自分勝手我儘、と罵られたくて。
でも。
その手は優しくイリアの頬に触れただけだった。
乾いた涙の跡を撫で、まだ目尻に残る涙を掬った。
「お前に会いに来た」
イリアは目を開けられなかった。
何の関係も無い南の次男坊に責めて欲しいと思った事を恥じた。
己の浅ましさを恥じた。
同時に、イリアの頬を離れず撫で続ける指が恥ずかしかった。
真っ直ぐな言葉が恥ずかしかった。
イリアは意を決して目を開けた。当たり前だが目の前に南の次男坊の顔があったので、瞬間的に目を閉じてしまう。
(うう……何やってんの)
羞恥に赤く染まる頬を南の次男坊は更に撫で続ける。イリアは深呼吸して再び目を開けた。開ければ南の次男坊の赤く真っ直ぐな瞳とぶつかり、何故か逸らせないイリアの視線とが絡み合う。
逸らしちゃ負けな様な気がして、イリアの視線は鋭くなる。
頬を撫でる指が離れて、顔を反らした南の次男坊が、クッと笑った。
先に逸らしたのは向こうなのにイリアの方が負けた気分だった。
「――アッ!イリアッー!!」
イリアは体を震わせて来た道を見た。兄の声がする。非難するような叫ぶ声。
悲壮な表情のイリアを南の次男坊は抱き寄せた。
文句を言う前に聞きたく無い言葉を言われて押し黙ってしまう。
「喧嘩、してんのか?」
ケンカ、なら良いのに。
ケンカでは無い。ケンカでさえ、無い。
兄がイリアを嫌って、イリアが兄を避けているだけ。
ただ、それだけ。
兄の声が近付いて来た。
イリアが俯いて南の次男坊の逞しい腕を押すと、彼は簡単に離してくれた。イリアはそのまま山道を逸れ森の中へ入って行った。何も言わずに南の次男坊はついて来る。
イリアはそれも、いいやと思った。
独りで居るよりは――と。
前話で筆が止まっていたのですが、書き出せば、出てくる出てくる!
わーい(*^O^*)勢いに乗って2話も更新しちゃった!
この続き、出てくるかな?




