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兄と妹と招かれざる客2

突然訪れた、招かれざる客。

客と呼ぶのも甚だしい。

その男、兄と同じ年頃の美形。

兄を『友人』と言って憚らない、忌々しい女好き。

否、女狂い。

群青色のサラサラヘアーに土色の瞳をした宰相子息。


一体、そんな男が北の侯爵家(我が家)に何をしに来たのか。

てか、誰よ!?

家の中に招いたの!!


「まあまあ、ようこそいらっしゃいました。イリアの母ですわ」


はい、そうです、母でした。

うぅ、お母さま。余計なことを……。

でも、何も言えません。

先程の淑女にあるまじき発言をお母さまはお聞きなのだから……。

後が怖いっ。


「これはこれは、麗しきお方。お姉さまかと思いました」

「まぁ」


母の手の甲に恭しく口付けをする男。

うわぁ……確かにお母さまは美人ですが、人妻なんですけど。


「お二人にはいつもお世話になっております」


お兄さまに世話をさせるなんて、ホントどうしようもない男ね。

お世話料でも、取ってやろうかしら。

いやいや。

お兄さまだって、こんな男の世話なんてしたくない筈!

もう、お役ゴメン!ってことで縁を切ってもらいましょう!!

ん?


お母さまが眉根を寄せて、じっとわたくしを見ている。

何かしたかしら……いや、はい、言いましたけど。


「お嬢さんは私にとって妹みたいなものですね。私には妹はおりませんので楽しく過ごさせて頂いております」


ああ、そうか。

お母さまも宰相子息の女好きの噂を知っているのだ。

わたくしがそんな男の毒牙に罹ったのかと心配になったのね。

無論、杞憂ですわ!

こんな女狂いな男、わたくしが好きになる筈ありませんわ!!

まあ、お母さまの憂いを取ってくれたのはグッジョブ!!!

褒めて差し上げましょう。


「そうですの……そうですの。では、妹の様に可愛がって下さっているのね?」


お母さまは念を押して確認する。

宰相子息はそれににっこりと頷き、お母さまもにっこりと頷き返し……。


「まあ、わたくしったら玄関(このような所)で。さあ、どうぞ。お茶を用意させますわ」


…… なんて、宰相子息を応接間まで招き入れる。

宰相子息は、多分青い顔をして突っ立っているわたくしを振り返って、口角だけ上げて微笑んだ。

なんか、『勝ったぁ』って書いてあるような顔。

ホント、この男。

ムーカァツークー!!



応接間のソファに向かい合って腰掛ける。

何故わたくしも座らされているのだろう。

お兄さまに用があると言うのだから、わたくしは部屋に戻りたい。

でも、お母さまと宰相子息を二人っきり(メイドも居るけど)にはさせられないし。

宰相子息は人妻でもオッケーなのかも知れないし。


なんて事を考えながら、出された紅茶を口にする。

お母さまがそっと耳打ちしてきた。


「イリアちゃん、お兄さまがもう一人出来て良かったわね」


いやいやいや!

お兄さまは一人て充分ですっ!!

こんな兄はイーヤーッ!!!




読んで下さって有難うございます♪


宰相子息の「姉しかいない」を「妹はいない」に変えました。姉二人弟一人の四人姉弟なので2016.9.2


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