兄と妹と招かれざる客3
イリア14歳、兄と宰相子息は25歳、母?
「兄もね、ちょっとでも良いから女の子に積極的な所を見習って欲しいわ。ねぇ、イリアちゃん」
……ははっ。
何言ってんのですか、お母さま。
この女狂いを。
お兄さまが見習えと?
空耳かしら。
胡乱な目でお母さまを見れば、少し困った様に笑う。
「もぉ、イリアちゃん。『ちょっと』と言ったでしょう?お母さまもそろそろ孫の顔が見たいのよ」
紅茶を飲んでお母さまは、ほぉっと息を吐いた。
その視線は窓の外、枝に揺れている葉っぱだ。
なかなかに不吉な絵だ――ほら、病院に入院している子が「僕、あの木についてる葉っぱが全部散ったらきっと死んじゃうんだ……」的な。
そんな切な気な瞳をしないで下さい。
うう。
ごめんなさい、お母さま。
お兄さまの独身の理由がわたくしにあるので居たたまれません。
わたくしのマッチョ嫌いが、お兄さまだけではなくお母さま、勿論お父さまにも迷惑をかけていたんだと、落ち込んでしまう。
なので、イリアは、宰相子息の表情が一瞬だけだが詰まったのを見逃してしまっていた。
「堅物なのが彼の良い所ですよ。私のような積極性は必要ないと思います」
宰相子息も紅茶を飲み一息つく。なんだか真面目な表情で落ち着きのある声なので戸惑ってしまう。
「美味しいですね」
「お口に合って良かったわ。北の帝国から仕入れたのよ」
紅茶を飲んでるせいなのか、お母さまの前だからなのか。
何故かイライラする雰囲気よね。
これって外面、被っているのよね?
如何にも大人って感じ?
いや、まあ、大人ですけど!
先程までのわたくしに対する態度も見下されているみたいで、イラつきますけど。
この外面を被られると、同じフィールドにも登れていない感じ。
わたくしは相手をする価値も無いって言われているような気がしちゃう。
まあ、わたくしの被害妄想でしょうけどっ!
しかし、この男。
兄に用があると言ってなかったかしら?
兄は王宮で仕事中よねぇ?
宰相子息だって王都に居たんじゃないのかしら?
何故、態々北の街に来たのかしら。
意味分かんないわ。
分かりたくもないけど。
お母さまは楽しそうよね、さすが女好きなだけあるわ、話が上手い。
ん?
んん?
もっもしかしてっ!!
本当は兄じゃなくて母狙いなのっ!?
それで兄のいない時を見計らって!?
父も仕事で王都に居るのも知ってて……。
ななな何てことだっ!!
お母さま!
あんた、兄とわたくしの心配なんてしてる場合じゃなかったよ!!
自分の心配しないとっ!!!
ばあん!!!
と、応接間の扉が勢い良く開かれて。
その拍子かどうか知らないけれど。
窓の外の葉っぱがパラパラと散った……。
宰相子息は兄狙いでも母狙いでもなく、イリアを揶揄って兄で遊ぶ為に北の町に来ました!




