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合流

拙作をお読みいただきありがとうございます。

久しぶりの更新となります。


「皆さん! このまま大ホールで待機していてください!」

麗華たち修学旅行に来ていた清明学院の生徒一同は引率の先生の指示の元、各自必要最小限の荷物を纏めて大ホールに集まっていた。

修学旅行に来てまで大規模な悪魔事件に巻き込まれているのだ。

幸い麗華たち一同はおろか他の宿泊客にもパニックはみられない。

麗華は既に何度か悪魔事件を経験しているがそれでも落ち着かない。

冷静な対処は出来るだろうが安心が出来ない。

愛する人からもらったアクアマリンのペンダントを制服の上から握りしめる。

不安な理由はただ一つ。

(優様がいてくれたら・・・。)

何度も窮地を救ってくれた麗華にとっての救世主。

天川優。

世界でも数えるほどしかいないSクラス悪魔狩人。

さらにその中でも最強と言われている存在。

その優がいない遠いヨーロッパの地でこんなにも心細い思いにかられる。

麗華たちが宿泊している施設は対悪魔用に色々な防護が施されているがそれでも万全といえない。

警察と軍による掃討戦が始まっているのだが未だ終結宣言がされていない。

ホテル周辺にはギルドの狩人や魔術結社に所属する魔術師たちが配置されているが

不安は募るばかりであった。



『クソ! 一団を率いるリーダーを討ち漏らすなんて! ただでさえ今は厳戒態勢が敷かれているはずなのに!』

『誰か! 逃亡先に心当たりは!』

『この忙しい時期に何でこんなにも悪魔事件が重なるんだ! クソ!』

『例の魔界事件が絡んでるんでしょ! そうでなければこんなにも頻繁に悪魔事件が起こるはずないでしょ!』

『少し席を外すぞ?』

『Black Knight! この非常事態にどこに行くんだ!?』

『野暮用だよ。上位悪魔討伐っていうな。』

『!! 行先に心当たりがあるのか!?』

『な〜に。捜査で一番最初に除外された場所を捜しに行くのさ。』

『そんな場所があるのか!?』

『生贄に使える人がある程度集まっていて尚且つ普通の悪魔なら寄り付きもしない場所なら心当たりがある。』

『そんな都合の良い場所がある訳ないだろう!』

『あるさ。避難所だよ。』

『! 馬鹿な! そういった所には対悪魔用の結界が張ってある! 上級悪魔が入り込めるわけがない!』

『仮にだ。その結界に仕込みがされた物だったら?』

『! ・・・入り込まれるな。』

『近くに歴史と伝統を重んじる格式高いホテルがあったよな? 最近になって海外の団体旅行を受け入れる事になって結界を張りなおしたそうだ。その結界張った奴が聞かねぇ名前だった。時期としてあまりにタイミングが良すぎる。』

『それだけで・・・!』

『理由ならもう一つあるぞ。』

『どんな理由だ?』

『俺の使い魔の黒獅子<レグルス>が追跡している。悪魔の痕跡がホテル周辺で途切れている。それなのにホテル周囲で警戒しているギルドの狩人や魔術結社の魔術師たちと一戦やらかした後が見当たらねぇ。おそらくホテルに潜り込まれたんだろうよ。何にせよ、このまま俺を遊ばせておくわけにもいくまい? 捜査の手伝いぐらいするさ。』

『・・・分かった。では捜査に協力してくれ。』

『ホテルがハズレだったら一旦捜査本部に戻ってくる。』

全身を黒一色の装備でまとめているまだ十代の少年は表にでた。



ホテルは大パニックに陥っていた。

人の言葉を理解する上位の悪魔が立てこもったのだ。

どのような方法を用いて侵入したのかは分かっていない。

だが、それでも狩人と魔術師による厳戒態勢にあるホテルを乗っ取ったのは間違いはない。

麗華を筆頭に何名かが生贄に選ばれた。

上位悪魔は己が眷属を増やすために儀式を開始した。



(この結界は一見強固な物に見えるが特定の存在を認識できなくするだけでなく出入りを簡単にさせる複雑な代物だ。この結界を張った奴はおそらく悪魔信仰者だ。悪魔事件が失敗した場合ここを逃げ場所にするために仕込んだんだろう・・・。)



『貴様! 何故そんなに落ち着いている!』

上位悪魔は一人平然としている一之瀬麗華に詰め寄った。

通常このような目に遭えば嘆くなりするのに落ち着き払っているその姿が気に入らないからだ。

なにか策でもあると勘ぐってしまうのは仕方がない。

「・・・悪魔事件にかかわるのが初めてではありません。今回で三回目です。だから他の人たちに比べて落ち着いているのだと思います・・・。」

『・・・そうか。トコトン運が無かったな。それも今日で終わる。お前は生贄として新たな同胞の苗床になってもらう。』

「・・・それでも私は希望を捨てません。白馬の王子様は希望しませんが漆黒の戦士が助けに来てくれると信じます。」

『漆黒の戦士?』

「黒騎士と呼ばれる悪魔狩人です。」

『! 世界最強の悪魔狩人か! だが、何故そいつが来ると思う? 来るのは有象無象の雑魚共だぞ? 俺が張ったこの瘴気の結界を乗り越えて来るなど出来るモノか!』

「・・・・・・。」

麗華は答えられなかった。

ただ、なんとなく来てくれるような気がしたからだ。



(クソが! エレベーターが使えねぇ! 一階から順番に攻略しねぇといけねぇってか!)

「レグルス! この手紙を捜査本部まで届けてくれ。俺は悪魔の討伐に勤しむ。」

「グルォ!」

レグルスと呼ばれた巨大な黒獅子は優の手紙をくわえると踵を返し走り去る。

それを見送り優はホテルを見上げる。

「さぁて、狩りを始めるか。」



時間はかかったが自らの位を「将軍」に高めるための魔法陣を完成させた悪魔は麗華たち生贄を魔法陣の中に放り込んだ。

口々に嘆く人々を見ながら上位悪魔は口を歪ませる。

自分の力を認めない魔術結社に見切りを早々に付けて悪魔信仰に切り替えた。

革命を起こすための下準備を色々とそろえた。

このホテルもその一つだ。

万が一に備えて生贄の補充と立てこもり先として目をつけていた。

『くくく、今度は私が帝国を築く! 夢物語で終わらせはせんよ!』

「夢物語で終わらせろ。」



ズダン ズダン ズダン ズダン ズダン ズダン



青白い雷光の尾を引く銃撃と緋色の尾を引く炎の銃撃が上位悪魔の体に炸裂する。

『グォォォォォォォォォ!』

優はベレッタM92Fの弾丸が尽きるまで銃撃を続ける。

総合計、三十発に及ぶ銃撃と込められた魔力の炸裂の衝撃で上位悪魔は吹き飛ばされる。

人々は呆然と黒一色の少年を見やる。

その中の一人の少女だけは顔を輝かせる。

「優様!」



『おのれ! 狩人が! 我が野望の邪魔立てなどさせん!』

「身の程を弁えろ! 夢見てんじゃねぇよ! カス!」

立ち上がる上位悪魔。

刀を抜く天川優。

静寂の中で対峙する悪魔と狩人。

しかし、所詮は経歴が違う。

悪魔化して己の力に慢心して力の差を考える事が出来なくなった元魔術師。

幾多の死線を乗り越えて慢心することなく鍛錬を積み続けた狩人。

勝負は一瞬。

剣が閃いて上位悪魔の首が落ちて決着がついた。



「優様!」

麗華は満面の笑みを浮かべて救助に来た黒一色の装備をまとった少年、天川優に抱き付いた。

「何でこんな所にいるんだよ。」

げんなりとしながら優は飛び込んで来た一之瀬麗華を受け止める。

「私達の修学旅行先はヨーロッパだからです!」

「学生の身分で海外かよ! 国内に留めろよ!」

「でも、こうして優様にお会いすることが出来ました!」

そう言って麗華は優の胸に頬ずりする。

片手でその頭を撫でると嬉しそうに目を細める麗華を可愛いと思いながら周りの視線に気が付く。

(? 何だ? 清明学院の生徒がこっちを凝視している?)

「なぁ、麗華のお嬢。」

「何ですか?」

未だに頬ずりを止めない麗華を引き剥がす。

途端に麗華はむくれる。

「むくれてねぇでさっさと先生の所に行って来い!」

「では、紹介もいたしますので一緒に来てください!」

「めんどくせぇ!」

「なら警察や軍が来てくれるまで私の相手をしてください! この一月お会いすることが出来なくてすごく寂しい思いをしました!」

「フザけるな! こっちは仕事なんだよ! これからやらにゃあならん仕事があるんだよ!」

傍から見れば優と麗華がじゃれあっているようにしか見えない言い争いに清明学院の教諭が割って入る。

「失礼します。一之瀬さんは皆の所に戻っていてください。そして貴方にもお話を聞きたいのですがよろしいですか?」

「佐藤先生・・・。分かりました。優様には色々とお話ししたい事がありますのですぐに帰らないでくださいね?」

「分かった、分かった!」

麗華はすぐにクラスメイトの元に行くとすぐに人の輪が出来る。

「慕われてんだな。」

なんとなく呟いたこの言葉を麗華の担任教諭である佐藤節子が拾う。

「相談があれば嫌な顔一つせず真剣に聞くから慕われているんですよ。」

「・・・初めまして。ギルドに所属する悪魔狩人の天川優だ。知ってるかもしれないが麗華のお嬢が誘拐された時に救助にあたった。」

「! そう、貴方が・・・。始めまして。私は佐藤節子。清明学院の教師です。」

そう言って握手を交わす。

一方で麗華は質問攻めにされていた。



「麗華様! あの方と随分仲がよろしい様に見えましたが一体誰ですか!?」

「人目があるにも係わらず抱き付くなんて!」

「麗華様の恋人ですか!?」

などなど答える暇も無く矢継ぎ早に質問の雨が降る。

「・・・ちょっと優様の元に行ってきます・・・。」

逃亡しようとするがこの一言が火に油を注ぐことになる。

「優さんと言うのですか!?」

「名前で呼び合うなんて!」

麗華はしばらくの間逃げる事も出来なくなった。



見るに見かねて優は救いの手を差し伸べる事にした。

「質問攻めにしたい気持ちは分かるがこの後警察と軍関係から事情聴取があるから長い時間拘束されるぞ? 今のうちに休んでおけよ?」

飛んで火にいる夏の虫。

矛先は麗華から優に向けられた。



結局、警察と軍による事情聴取が始まるまで優は質問攻めにあった。


誤字脱字ありましたら教えてください。

次回のサブタイトルは「質問攻め」。

少しはイチャイチャさせる事が出来るかな?

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