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明日のうたが聴こえる  作者: 人見くぐい
第三章 中学生編
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24 修学旅行(2)

「おはよう」


周りのみんなは眠たそうな顔だったけど、私は比較的スッキリしていた。


「そりゃあ、吉山ちゃん一番に寝ちゃうんだもん」


「うちら2時までは喋ってたよ」


「先生が早く寝ろって来たの、知らないでしょ?」


「うん」


同室の友達は言う。2時なんて家でもそんなに遅く起きてた事はない。


「見た目は一番オトナなのにねぇ」


「中身はお子様ですねぇ」


そう言われて頭を撫でられた。



大広間には生徒が続々と集まり朝食をとっていた。みんな眠たそうではあったけど、ご飯を目の前にすると段々活気が出てくる。


この後9時から16時まで自由行動だ。


その前にもう一度班長が集められた。


「美紀ちゃん、おはよう」


集合部屋の前でカズ君と会った。


「おはよう、寝られた?」


「うん、僕はね。部屋で一番早く寝たみたい」


それを聞くと、つい吹き出してしまった。


「私も。寝たのは部屋で最初だったよ」


「あははは……男子なんか騒ぎすぎて、僕以外に何人も廊下に正座させられてた」


「え~」


「レイ君もね」


「えっ!」


レイ君は積極的に騒ぐタイプではないのだけど、昨日の電車の中といい何か違う。


「修学旅行だからね」


「あぁ、そうかもね」


家族旅行とは違う楽しさだし、実際レイ君はピアノや勉強に忙しい。羽目もはずしたいのだろう。



9時前にはロビーに集合して班ごとに出発する。


私達の班は清水寺から始まり、知恩院へ行くコースだ。ガイドブックを読んだり、お兄ちゃんから話しを聞いたりしてまわる場所を色々考えた。


時間になったのでホテル近くの駅からバスに乗り、清水寺へ向かった。



「うわ~いい眺めだね」


『清水の舞台から飛び降りるつもり』の清水寺。


早速その舞台からの景色を眺める。今日は天気も良く、木々の緑が眩しいくらいだった。


その後音羽の滝でお水を飲んでから、同じ境内にある地主神社へ向かう。女子は絶対に寄りたいと主張した場所……縁結びのご利益があるからだ。


特に国分さんと上野原さんはそれぞれ片思い中なので、相当気合が入っていた。


お参りはもちろん一番の目的は恋占いの石。二つの石から石まで目を閉じたまま歩ければ恋が叶うと言われていて、それに挑戦するのだ。


「人が多いね」


さすが京都でも有名な場所。観光客も多い。


「どうする?」


「も、もちろん……」


私が聞くと二人とも頷いた。でも見物人も多く少しひるむ。


「俺、行きます!」


その時同じ班の高井君が手を上げ、私達が唖然としている中目を閉じたまま走り出した。


高井君は陸上部だけあってフォームがとても良いけど、たしか走らなくていいはず。


「危ないよね」と言っていたら……やっぱり転んだ。


「大丈夫?!」


みんなで高井君に駆け寄る。


「難しいね~」


高井君は座り込んだまま頭をかいて笑っていた。


「走らなくてもいいんだよ」


「いいや。二人共、こういうのは勢い!」


動けずにいた二人はその言葉に笑い出す。それで緊張が解け、やっと挑戦を始めた。

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