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明日のうたが聴こえる  作者: 人見くぐい
第三章 中学生編
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23 修学旅行(1)

新学期が始まった時から5月の終わりに行く修学旅行の準備が進められていた。


修学旅行は奈良と京都へ2泊3日。興味があるし初めて行く所なのでとても楽しみだ。


2日目の京都は男女4人ずつの班で自由行動するのだけど、レイ君と同じ班になった。カズ君は野球部の人と組んだので別の班だ。


「最初はグー、ジャンケン……」


「ポン!」


8人の中で私だけチョキ。後の7人は全員グーだ。


「うっそー」


私は思わずしゃがみ込んでしまった。何を決めているのかというと『班長』だ。


「吉山さんなら安心ね」


「いや~適任だよ」


みんなは言いたい放題だけど、色々めんどうなので嬉しくはない。レイ君は黙って微笑んでいた。


「うわぁ~」


すぐ近くでもカズ君が頭を抱えていた。どうやらパーで負けたらしい。私がそっちの班にいれば班長は免れたのに。





それから修学旅行の準備をしつつ部活の春季大会に中間テスト……と行事が終わったら、あっという間に当日になった。


地元駅への集合時間は『今までこんな時間に起きた事がない』という位早い。レイ君が起きてこられるか、とても心配だった。


しかし当日にレイ君の家へ行くと思ったより早く顔を見せた。でもなんだかボンヤリしている。


「おはよう、大丈夫?」


「中途半端に寝ると起きられないと思って寝なかった」


「ちょっと……」


「電車の中で寝る」


私とカズ君は顔を見合わせてしまった。



東京駅からは新幹線に乗り換え京都へ向かう。中ではずっと友達とお喋りをしていた。


『電車の中で寝る』と言っていたレイ君も珍しく少しはしゃいでいて、結局ほとんど寝てないようだった。


京都に到着すると、そこからバスで奈良へ向かった。


一日目は奈良の色々な場所をまわる予定だ。


法隆寺の五重塔を見学し、薬師寺では僧侶の方のお話しを聞いた。


途中の昼食場所でレイ君に体調を聞くと「別に平気」という返事だ。だるそうだけどそう言うので、それ以上声は掛けなかった。


それから東大寺の大仏に圧倒され、奈良公園では鹿にせんべいをあげた。鹿に頭を下げられて友達と笑い合う。



この後は京都へ戻り、夕方宿泊先のホテルへ到着した。京都の中心地にあってきれいな建物だ。しかしホテルでの時間は慌しく、班長が集められて会議があったので落ち着けたのは消灯時間ギリギリだ。


夜は部屋の電気は消えても布団に潜り込んでのお喋りは全然収まらない。そのうち『誰が誰を好きか』という話になった。


こういう話の時にレイ君の名前は出るが、カズ君の名前は挙がらない。だけどカズ君だって決してかっこ悪くないし、優しくて楽しいのに……一体何が違うのだろう。


でもカズ君もボーカルとしてステージの中央に立てばファンが出来るだろうか?


バレンタインのチョコを貰うだろうか?


…………。


あれ? いい事のはずなのに、この何かつかえる感じは何だろう。


そんな事を考えているうちに友達の話し声が段々遠くなっていった。

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