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明日のうたが聴こえる  作者: 人見くぐい
第三章 中学生編
49/88

20 バスケットボール大会で

中間テストは無事に終わり、週が明けると上位100番までの順位が発表された。掲示板の前にはすでに人だかりが出来ている。


「はあ、吉山さんは相変わらずだねぇ」


「お兄ちゃんの教え方が上手だから」


部活が忙しかったが、10番台をキープすることが出来た。しかも今回はレイ君より順位が上だったので6勝5敗だ。


カズ君はどうだったろうか。密かに目で追っていた。


(48番だ。あがってる!)


テストが終わった後カズ君は「前回以上に手ごたえはあった」と言っていたので、猛勉強の成果は出ている。夏休み前は100番以内に入っていなかったから大躍進だろう。


「辻村、またあがったな」


「うん、でもまだまだ……」


カズ君もクラスメイトと見に来ているようだ。そしてカズ君が答えたとおり、西高は20番以内が望ましい。しかしこの調子ならカズ君は大丈夫。一緒に西高へ行ける。


努力家だし、頑張った分ちゃんと力をつけてくるのだから。



テストが終わった日の放課後から早速バスケの練習が始まった。県大会は初めての出場なので色々不安はある。それを解消するために部員が一丸となって練習をした。


3年生も受験勉強が追い込み中なのに、顔を見せに来てくれたのがとても嬉しかった。





大会当日、私も含めみんなのコンディションは最高だった。


第一試合は抜きつ抜かれつの接戦だったけど、最後に流れをつかんで勝つ事が出来た。


「第二試合もこのいい流れでいこう!」


そう気合を入れて試合に臨んだ……のだが、対戦相手はシード権を持つ強豪校。さすがにレベルは高くて、精一杯頑張ったのだけど残念ながら敗退してしまった。


「反省点は多いけど、それは春季大会への課題。ミーティングは明日ね」


控え室に戻り肩を落としている部員達の前で大賀(おおか)さんは元気に言った。試合終了直後は唇を噛み締めて暗い表情だったのに切り替えが早い。さすがキャプテンだ。


私も落ち込んでいる場合じゃない。


「それぞれケアを忘れずに。今日はゆっくり休んで、また明日から頑張ろう」


そう声をかけ率先して立ち上った。



閉会式後、帰宅する途中まではたくさんいた仲間も少しずつ別れ、最後は大賀さんと二人になった。


その時大賀さんが思い出したように切り出した。


「会場で鳴海君を見かけたかも」


「いつ?!」


私は驚いて声が少し大きくなった。


「2試合目が終わって控え室に引き上げる時」


他に誰も言わないので気が付いたのは大賀さんだけのようだ。


「女の人と一緒だったけど、確かお母さんは居なかったよね?」


「……うん」


その女性はどうみてもおばあちゃんという年代ではなかったそうだ。


「他人の空似かもしれないし、騒ぎ立てるのもどうかと思って誰にも言わなかったんだ」


「そうだね」


やっぱり大賀さんは気がまわる。


しかしもしレイ君だとしたら、どうして来ていたのだろう。


そして一緒にいた女性は誰なのだろうか。

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