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Witch Squadron  作者: Se-34gu-0
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FILE 001

かつて人類は自由に空を飛んでいた。


しかし今、空は敵に奪われた。


これは、空を失った世界で、

人類と魔女たちが再び空を取り戻そうと戦う物語である。

Witch Squadron FILE 001 『空域喪失』



敵性飛行体の侵攻開始より、七十八日。


既存の航空戦力は壊滅し、人類は完全に制空権を喪失した。


地下統合作戦司令部。


コンクリートの壁に囲まれた会議室の重い沈黙の中、敗戦の報告だけが容赦なく積み重なっていく。


「……現行兵器では、上空の奪還は不可能です」


誰も反論しない。それが残酷な現実だった。


――その時だった。


重厚な会議室の扉が、不意に開く。


現れたのは、軍服ではない衣服に身を包んだ、一人の少女だった。


黒いゴーグルを額に掛けたまま、彼女は静かに、しかし毅然と言い放つ。


「私は魔女です」


室内にざわめきが走る。


「空を飛べる私なら、あなたたちに協力できるはずです」


再びの沈黙。


やがて、誰かが信じられないといった風に低く漏らした。


「……魔女だと?」


「歴史の闇に滅びた種族のはずでは?」


少女は少しだけ目を伏せた。


「滅びてはいません。……数は、多くありませんが」


その声には、年齢に見合わない覚悟が宿っていた。


「またあの空を飛べるなら、私たちはあなたたちに協力します」


一人の男性士官が、不機嫌そうに眉をひそめる。


「本当かどうかも怪しい。かつて滅ぼしたはずの種族を、今さらどう信じろと言うんだ!!」


少女は真っ直ぐに士官を見つめ返した。


「私の能力を、その目で見ていただければ」


会議室がシンと静まり返る。


やがて、上座の士官が口を開いた。


「……何が必要だ。テストを行う」


少女は迷いなく答える。


ほうきさえあれば、飛べます」


一瞬、室内の空気が凍りついた。


「今すぐ用意しろ!」


別の士官が弾かれたように立ち上がる。


「……テスト飛行を許可する。だが、我々もまだ半信半疑だ」


少女は小さく頷いた。


「それでいいです」


そして、世界の終わりを前にして、少しだけ悪戯っぽく笑う。


「空を飛べるなら、それで」



基地のグラウンドへと連れ出され、ありふれた清掃用の箒を渡された少女。


彼女は愛おしそうに、その木製の柄を撫でた。


「あなたは初めてね。でも、怖がらなくていいのよ」


木肌に耳を寄せるようにして、優しく囁く。


「少し気が荒いかしら? 良い子ね、大丈夫。私も一緒にいるんだから」


そして彼女は、静かに箒へと跨がった。


「Don't be scared, you're strong, look, can you see? The sky is calling.」

(怖がらないで、あなたは強い。ほら、見える? 空が呼んでいる)


「Take me on, the sky is calling us.」

(私を連れて行って、空が私たちを呼んでいるのよ)


少女が凛とした声で呪文を紡いだ、その瞬間。


――ドンッ!!!


鼓膜を震わせる爆音とともに、激しい砂煙が爆発した。

士官たちが腕で顔を覆った時には、魔女の姿はすでに遥か上空へと打ち出されていた。


キィィィィンと空気を引き裂く音が響く。


雲を突き抜けるような超高速の急上昇から、重力を無視したアクロバティックな旋回飛行。


それは最新鋭の戦闘機すら置き去りにする、圧倒的な空の支配者の舞だった。


「……これなら、あいつらに対抗できるかもしれない」


地上で見上げる士官たちの震えが止まらなかった。


かつて自分たちの祖先が「脅威」として滅ぼしたはずの存在。


彼女たちが秘めていた本物の「力」を目の当たりにして、恐怖と、それ以上の歓喜に身を焦がす。


やがて、彼女は重力を感じさせない足取りで、静かに地上へと着地した。


舞い上がる土煙の向こう。


額のゴーグルを外し、涼しげな顔をする少女へ、一人の男性士官が震える声で問いかけた。

「……何か、欲しいものはあるか? 我々に用意できるものなら何でもいい」

少女は人差し指を顎に当て、少し考えてから答えた。


「私たちの能力は、それぞれ個性が強いんです。だから……あいつらと戦えるだけの、それぞれの『専用の装備』が欲しいです」

そして、青く濁った空を見上げる。


「――空を、取り戻すために」


「分かった、すぐに全力を挙げて開発に回そう!」と士官たちは胸を叩いた。

しかし、この時士官たちは致命的な勘違いをしていた。


魔女にとっての「箒」や「装備」が、近代兵器の概念とどれほどかけ離れているかを。


そしてその人類側の「盛大な勘違い」が、後に想像を絶する魔導技術革新テクノロジー・エボリューションを巻き起こすとは、誰も予想していなかったのである。


第一話読んでいただき誠にありがとうございます。


Se-35gu-0(蝉時雨)と申します。


実はこの作品は「歌」から始まっています、まずOPが出来上がりもう少し曲の内容を説明したいと思った蝉が設定資料としてUPしよう!と思い立ったのが始まりです。


第一話の流れやそれぞれFILE001などのタイトルの表記方法はその頃の名残です。


最後まで読んでいただけると嬉しく思います。



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