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怒っているのは忘れたことじゃなくて今までの態度よ

極悪ホステス第九話です。

楽しんでいただければ幸いです。

そしてそんなことがあったのも忘れたある日、朝っぱらから私の部屋にプレゼントがどんどん届けられて、私は寝ぼけ眼でなんだよって積みあがっていく包装された箱を見ていた。


「マチルダ、これはなに?」

「クラリス様へのお誕生日プレゼントでございます」

「私の誕生日先月だけど?」

「そこはまあ、来年からはきっとお祝いいたしましょうからどうぞお許しに」


そうじゃなくて、なんで今なんだよ。来年でいーじゃんってマチルダに問うと、マチルダは困ったように首を傾げ、「皆さま、クラリス様の喜んだお顔が見たいのやも」と言ったので私はハッて笑った。


「まさか」

「しかし実際、観劇には何度も行かれておりますでしょう?」

「あーあれね。めんどうね。放っておくわ」

「よろしいのですか?」

「こんな時期外れにプレゼント大量に貰って喜ぶなんて犬か猫くらいじゃない」


私は顔を洗い、服をパジャマからラピスラズリの色のドレスに着替え、髪を今日は編み込んで結い上げた。まああれよ、夜会巻きみたいな感じ。

そしてメイクして、それでプレゼントは開封しないで運ばれてきた朝食を食べて、本読んだり、舞踏会や夜会への招待状に返事を書いてた。


知らんメイドがやってきては開封されてないプレゼントを確認して帰ってくの大変そうだな、と思ったが、私はなんかやる気が出なかったので放っておいて、昼食食べて、昼寝して、散歩して読書して、夕食ウゼーから今日は部屋で食うっつって部屋で魚料理を食べて、風呂に入ってストレッチして寝た。


そんな感じの生活を1週間続けていたら、とうとうマチルダに命令が行ったのか「クラリス様、1つでも開けてみては...?」と言ったので私はしょうがねえなって思って本当に1個だけ開けた。

オパールのイヤリングだった。


これ以上メイドが入ってくんのもめんどくせーから今日はこのオパールのイヤリングをつけて周りに見られるように耳が見えるヘアスタイルで散歩と称して歩いてた。


あーチェスターがこっち見てんな。それじゃあ公爵に話行くから大丈夫だろって思ってたら午後にそのチェスターが部屋にやってきて、「今日は必ず夕食の席に出席してほしいとのことです」って言って帰ってった。ウゼー。

チェスターは部屋の開封されていないプレゼントを見て少し驚いたようだが、すぐにいつもの態度に戻って静かに上記のセリフ言って帰ってった。


どうせなら全部開封していけよ。手間かかんだよ。

というわけで私はめんどくせーと思いつつ夕食を食べに広間へ向かった。



「失礼いたします」


そう言っていつも通りのテーブルに座り、フツーに令嬢らしく音を立てず、お喋りもせずに食事をとっていると、公爵が溜息を吐いて「クラリス、いつまでそうしている気かね?」と尋ねてきてマジ意味が分からなくて私は「は?」って言ってしまった。


「そうしているって、なにがですか?」

「その態度だ。誕生日を祝うことを忘れていたのは悪かったが、あまりに」

「わたくし、誕生日を祝われたことなど生まれて一度もございません」


今度は公爵が「は?」みたいな顔して「一度も?」って聞いてきた。私は頷いた。


「シャムロック伯爵家でも一度もありませんし、ここでも一度もございません。お義父様、一体何のお話をされていらっしゃるのですか?誕生日を祝うってどなたを祝うのでございますか?」

「...ああ、そうか、いや、いい。勘違いだった」


公爵はそう言って食事に戻った。私は意味が分からないって顔して食事を続けた。

こういう時毒親育ちって助かるよなー。

私はなんか同情が集まってたけどめんどくせーから普通に肉を食べて、ワイン飲んで、さっさと挨拶して部屋に戻った。


ーで、昨日の発言でご機嫌取りのプレゼントが無効になったために、皆どうしよっかなーとか思ったのか、お茶の時間のお菓子がなんか豪華になった。

フルーツタルトとか果物の盛り合わせとか、よく食べるチーズケーキとか。


それで私はあ、菓子も手を抜いてやがったんだって気が付いて、今日のお菓子のオペラをヤケ食いしてやった。

だっていつもはクッキーかビスケットだったし。

ムカついたから3つくらい食ってやって、紅茶にも砂糖入れて飲んでやって、最後にマチルダに言った。


「今度私への扱いを雑にしたらブチ切れるみたいなことをメイド連中に流しといて」

「かしこまりました」


マチルダはそう言って完食したケーキと茶の盆を持って部屋を出て行った。マジ気分わりー。



お読みくださりありがとうございました。

次の更新は明日になります。


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