この程度で私が傷つくとでも思ってんの?
極悪ホステス第八話です。
楽しんでいただけたら幸いです。
そうそう、家での生活も快適になったわ。
仕事もなんか減ったし、私は散歩したり、本読んだり、デリアとジョアンナの弱味をこっそり2人に伝えて言うこと聞かせてわりと平和に過ごしてた。
茶会はダリーから断っていた。「ご家族でどうぞ」って言ったらヨアンが困ったように私を見てた。
だって前回出たけどマジダリーし。
私たちは名ばかりの夫婦。別にどうだっていいじゃん?
そういう風に対応していたらある日ヨアンが「君は私たちが嫌いなのか?」って聞かれたから私は何言ってんだコイツって思って首を傾げて言った。
「わたくしがあなた方を嫌いなのではなく、あなた方がわたくしを嫌っておりましょう?」
今までの態度を見ればわかります、って言うとヨアンはしばし沈黙し、「そうか」って言って去ってった。
なんだお前、いじめっ子のクセに被害者ぶってんじゃねえよ。ウゼーな。
今まで家族の行事に参加させたことあったか?毎年盛大に祝ってる誕生日パーティー、私のこと祝ったことあったか?ねえだろ?
なにを棚に上げて私を責めてんだって私は本気でヨアンのことを頭オカシイんじゃねえのかって思ってた。
そしてその日の夕食のこと。私の席が変わってた。一席近くなってた。
うわなんだよメンドーって思ってたら、なんか皆気を遣って話しかけてくる。ウゼーな。
私は別に話すことなんかねえよ。って思ってたら誕生日の話題になって、ヘレナの誕生日どうしようって話になった時、奥様が「ところでクラリス、あなたは誕生日に何か欲しいものはある?」って聞かれたので私はフツーに答えた。
「お義母様、わたくしの誕生日は先月でございます」
クラリスの誕生日はヘレナの2か月前だからそれで合っているはず、と思いつつ答えるとなんかお通夜ムードになってなんだよって思った。
ナサニエルがどうにかしようと急に今日の株価の話を始めたので、話は誕生日からそっちに移った。
私は普通に肉を食べ、炭酸水を飲み、ささっと夕食を終えて皆がテキトーに挨拶するのに挨拶を返して、部屋に戻った。変な夕食。
んで、翌日からマチルダ含めメイドや使用人の態度が妙におかしい。
部屋で菓子食べてればそれを見てくるし、なんなら「お気に召しましたか?」とか聞いてくる。
私はプロポーション維持したかったから「果物やチーズケーキみたいなヘルシーなものが好きね」って答えてた。
マチルダが困ったように「生クリームはお嫌いですか?」と尋ねてきたので、私は言った。
「嫌いじゃないけど、肌が荒れるし、太るじゃない?特別な日にしか食べたくないわね」
「では、クラリス様の一番お好きなケーキはなんでございましょうか?」
「オペラかフルーツタルト」
私は今日はやけによう聞いてくんなと思い、正直に答えた。
それから散歩をしていると使用人がやってきて、「そのお花、お好きですか?」って聞いてきたから「別に」と答えたわ。
だんだんわかってきた私はお前普通誕生日にチューリップは贈らねえだろって思って答えた。
「ではなにが...」
「百合とピンクのバラとトルコキキョウが好きって伝えておいて。お疲れ様」
私はそう言ってさっさと散歩の続きに入った。あ、やべ、茶会してるとこに入っちゃった。
遠いし気づかねーフリしてどっか行こうと思い、呼ばれてる気がしたけど聞こえないフリでさっさと私は横切っていった。
皆の顔?知らねえよ。
そのあとも好きな宝石は?って聞かれたから「オパールとムーンストーンとトパーズとトルマリン」って選べるように言ったり、好きな香水の香り言ったり、めんどくせーなと思いつつ答えてた。
そしてそーいや持ってなかったな、と思ってメイドが聞いてきたときに言った。
「そういえば銀の手鏡持ってなかったわね。今度の新作の香水も気になるわ。レースの手袋も欲しいわねえ...あの画家の絵も好きなのよね。あの作家の本も好きなんだけど、図書室になくて困っているのよね。ああそうだ髪飾り買わなくちゃ」
独り言のように言い、どれも公爵家にとっちゃ手ごろな価格だしこれでもういいだろって思ってメイドを帰した。
どうせ来年には忘れてんだろって思いつつ使われるメイドもご苦労なこったな、と思って私は本を開いた。
お読みいただきありがとうございます。
次回は今日の18時に更新します




