4 詰問
「よし、此処も綺麗になったな」
机の脚を拭き上げ、満足そうに部屋を見回す。
元から綺麗ではあったが、今では輝く様な部屋へと変わっている。
「――うし、後は何処かなぁ……ぅおっ、まぶしっ」
廊下へ出ると、茜色の光が熱烈すぎる歓迎をしてくれた。
大窓から西日が直接差し込んでこれるくらいまで、太陽が沈んでいる。
恐らく反対側は、藍い空がその足音を伸ばしている事だろう。
「もう、こんな時間か。流石に終わらなかったな」
「……此処に居ましたか」
「……ん?」
後ろから声を掛けられ、振り返る。
そこには、朝この服を貸してくれたメイドさんがいた。
名前は――アコラさん、といったか。
「アコラさん、どうしたんですか?」
「どうした、じゃないですよ。お昼も来ないし、夕飯も無くなりますよ」
「えっ」
ぐぃぅうう~。
そういえば、朝から何も食べていない。
そのことに気付いた途端、一気に空腹が押し寄せる。
腹の虫が鳴いたのも、無理からぬことだった。
「んふっ」
堪えきれなかった、という風にアコラさんが息を漏らす。
普段だったら気にしないだろうが、何故だか無性に恥ずかしくなり――。
「お、俺はまだ、仕事が残ってますんで……」
――と、踵を返し……。
パシッ。
腕を掴まれた。
「何言ってるの? 今日は終わり。頑張るのは偉いけど、無理は駄目よ」
「アコラ、さん……?」
振り返ったときに見たアコラさんの瞳は、怒りと、心配と、他にも様々な感情が入り混じっているように見えて――。
――まるで、母親の様だ。
そう、感じてしまった。
「……分かりました。今日は終わりにします」
その言葉を聞いたアコラさんは、笑顔で俺の水桶を取り上げた。
「じゃあ、これは私が片付けておきますので、貴方は先に私の部屋に戻っておいて下さい」
「あ、はい……」
彼女の笑顔に何も言えず、俺はすごすごと彼女の部屋へと戻っていった。
「どうですか? 美味しいですか?」
「はい。態々持って来て下さって、有難うございます」
正直に言えば、それ程美味くない。
が、そんな事を言えるわけもなく、黙々と食べ進める。
因みに出てきたのは、お粥のようなモノ。
それと、黒く硬いパン。じゃがいもや、にんじんのようなモノが入ったスープだった。
――……でも、全体的に味が薄い。
食べられない訳では無いが、味気が無い。
今迄食事に拘っては来なかったが、かなり大事だったんだな、と気づかされた。
「……そろそろ、お話しいただけますか?」
「――?」
食べ終わった頃、アコラさんから突然そんな事を言われた。
何のことか分からず、首を傾げる。
「……あなたは、そんな言葉づかいをするような子では無かったはずだけれど?」
「――ッ!」
まずい、バレた?
俺は彼女から一歩距離をとる。
それを見た彼女は素早く近づいてきた。
「うおっ」
想像だにしないその動きに、足を縺れさせて尻もちをつく。
ダン!
そんな俺の逃げ道を塞ぐように、アコラさんは俺の両手を掴み床に固定する。
女性とはいえ大人の力だ。
子供である今の俺には振り払えない。
「あなたは、何者ですか?」
「えっ、と……」
……近い。
彼女が綺麗だからか。はたまた、若い体に引っ張られているのか。
変に距離を意識してしまって、うまく言葉が出てこない。
こんな状態では誤魔化せるものも……ん?
――そういえば、どうして誤魔化す必要が有るんだ?
良く考えれば、中身が入れ替わっている事を話して、協力して貰ったらいいのでは?
……信じてもらえるかは別として。
「実は……」
コンコンコン。
突然、扉がノックされる。
はい、とアコラさんが声をかけ、扉を開く。
姿を見せたのは、メイド長だった。
「まだ、食器を返せませんか? 料理長がお怒りですよ」
「申し訳ありません。今、持っていきます」
「お願いいたします。それと……」
チラリ、とメイド長と目が合った。
「奴隷とはいえ、あまり連れ込むのはオススメしませんよ」
「なっ」
「……別に、そういうつもりではありません」
「……そうですか」
パタン、と扉が閉められた。
アコラさんがゆっくりと振り向く。
「私から呼び出しておいてごめんなさいね。今日はお開きにしましょう」
「分かりました」
アコラさんが食器を持ち、俺も着替えに向かう。
――その前に。
「あ、アコラさん」
「はい? 何でしょう?」
少し驚きながら、アコラさんが振り向く。
「俺と二人の時は、話しやすい話し方でいいですよ」
それだけ告げ、俺はさっさと着替えてあの大部屋へと戻った。
土日も有ると思った? ねぇねぇ、有ると思った?
……すみません、更新ありません。
どうも皆さま、お待ちいただけてましたかね?
だったら嬉しい限りですけども……。
こんな感じで、平日上げ、にしていこうかな~とは思いますが……。
チョット、続くかどうか微妙な所です……。
まぁ、その時は「またか……w」と笑ってやって下さい。
今回も良ければ、コメント&評価&リアクション等、よろしくお願いします。




