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最後には

そして、俺は彼女にプロポーズした。しかし、結婚の前に話しておかなければならない。

「勇次パパ、母さん、和人さん、話があるんだけど……・。」

「なんだ?」

 勇次パパは新聞から目を放した。

「んーーー?」

「なにかしら?」

「真雪と結婚したいんだ。」

「すれば?」

 和人さんはあっさりといった。

「いーわねぇ……。」

「別に反対しないぞ。」

俺がどれだけ、この台詞を言うのに悩んだのか、わかっているのかと思うほどに、あっさりとした返事の嵐だった。

「いやいやいや、俺たち、戸籍上、兄妹なんだけど!」

「あ――――、そー言えば、そーねぇ……。どうしたらいいのかしら?」

「……まさか、忘れていたとか?」

「そんなことはないけど。」

「真雪は進でいいの?」

「……ハイ、お母さん。」

「となると、真雪を君の元に戻せばいいのかな?君の子だし。」

 勇次パパは和人さんの方を見つめながら言った。

「できるのー?」

「……さぁ?……しかし、戸籍から兄妹じゃなくしないと結婚できないだろう。式は挙げられるが……、籍入れたいんだろう?」

「はい。」

「あ、わかった、俺と君が離婚すればいいんだ。で、君が進君の親権を持って、俺がそれを理由に養女になった君を親元に帰すって仕組みを取れば……いいんじゃないか?」

「え……。」

「私はもう、そろそろ引退を考えているし、この際、離婚して、和人と日本を離れることを考えてもいたんだ。」

「勇次さん……だって、でも……。」

 和人さんは考えてもいなかったようで、急にオロオロしだした。

「賛成だわ。」

「母さん。」

「ユキさん……でも……ユキさんは?」

「えっへん。私にもボーイフレンドくらい。」

 母はにこやかに笑って見せた。

「えーーーーーーーーーーーー。」

 俺は初耳で目を丸くした。

「うふふふふ。趣味で通っているカルチャーセンターで知り合った人とね、仲がいいのよ。うちの事情もある程度は知っている方でね。もちろん全部じゃないけど、ある程度、理解のある方でね、でも、その人からプロポーズされていて迷っていた時だったし。」

「再再婚?」

「に、なっちゃうけど……しょうがないわね、こればっかりわ。向こうも奥様と離婚されているし……家族はいないし、たぶん、反対はないと思うの。」

「母さんがまた、再婚ねぇ……。」

 俺は少々複雑な気分になった。

「寂しいんでしょー。」

「和人さん、嬉し涙でていますよ。」

「だって……今になって、勇次さんと堂々として生きていけるなんて、嬉しくって……。」

「和人さん……。」

「待たせたね。」

「いいえ、いいえ……。うれしいわ。」

「よかった…。」 

母はてきぱきと話を進めた。

「で、どれからにしますか?まず、私とあなたの離婚ね。そしたら……時間がかかるだろうけれど、次はあなたたちの結婚でしょ。さきに私のほうが結婚かしら?あなたの引退にはまだ時間があるから、ラストね。」

「……そうなるだろうな。君と娘たちの結婚と見てからだな、引退は。」

「それにしてもさー、うちの真雪で、いいってことはこの約八年?彼女が一人もいなかったわけ?妹と結婚……・ふぅーなさけない。」

 和人さんはため息をついた。

「いや、べつにそういうわけでは……・。」

「えーーー!!!進さん、そんなこと聞いてない!彼女いたの!?いつ!!!!」

首襟をつかまれた。

「く、苦しいよ……。君と会う前だって。」

「会う前って言うと、会ったのが、高校生のときだったんだから、中学の時かーやるわねぇー。青春だわ―。」

「えーーー、中学の時、いたの!聞いてないよ、私!」

「いや、普通言わないって!」

「えーーーーえーーーえーーーー。」

「言いませんよね?彼女でも、妹でも、家族でも。」

 俺は、同意を求めた。

「私、一人っ子だったわ。」

「母さん……。」

「あたしは長男だけど、勘当されて誰とも会ってないし……。」

「和人さん……。」

「俺は妹はいないんだ。全員、弟で……その……全員先に結婚したしさ……。」

「勇次さん……だれも、意見が合う人がいないとは……。」

 俺はがっかりした。

「えーーーー。」

「……いや、あの、……昔のことだし。……君は、彼氏とかは?」

すっかり、むくれてしまった真雪だった。

「さぁ、どーかしら?」

「え?え?え?」

「いないわねぇー、この子は。」

「お父さん!」

「だって本当のことだもん。昔から見ていて色気がないのよ。最近、出てきたな―って思っていたら、相手、進君だったし。」

「そうですか。」

 俺はほっとした。とりあえず、和人さんの言葉には信憑性がある。

「……ふん。」

「まぁまぁ、ここ、二人が結婚しても両方とも私の子供だし。」

 やっぱり母はにこやかにしていた。

「お母さん……。」

「そうだねぇ。」

「お父さん。」

「ま、反対はしないわー。してほしい?」

「……いえ。」

「でしょ。」

 いいんだろうか……。と、思うがこれも幸せなんだろうと思う。

 そして、母さんと勇次パパは離婚した。

 次に母さんが再婚した。母は相手の人と相手の家で住むことになった。

 そして俺らは真雪の卒業のあと、結婚した。家は小さなところを借りた。

 引退した勇次パパと和人さんは幸せそうに手をつないでアメリカへと去っていった。

 それぞれの、それぞれに幸せな生活が始まったのだ。 

 とりあえずの幸せが。



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