貴族の子 その二
黒海艦隊は地中海の大艦隊には及ばず、最大の旗艦でもわずか五千トン、最小の戦艦は七百トンしかない。
それでも、この艦隊が封鎖する黒海と地中海の運河を守るには十分な力がある。
そして彼はすでに、伯爵家の後継者に内定していた。
銃焰家の次男——輕鈞・エロット。現在は帝国王立騎士団の一員である。王立騎士団は騎士の名を冠しているが、この時代には馬に乗ることはない。戦時にはすべて、二足重機械装甲を駆る。聖ソーク帝国最精鋭にして最高貴の部隊であり、帝国皇帝みずからが軍団長を務めている。
輕鈞・エロットは現在、家族の一員とは見なされていない。輕鈞という姓は、別の帝国貴族の名である。輕鈞家は呪われた家系で、数百年前に何か奇怪なことをしたせいか、男児が生まれず女児ばかりが生まれる状態が続いている。この数百年のあいだ、輕鈞家はすべて女性によって家系を保ってきた。彼女たちは他の家系と婚姻を結び、嫁いだ先で男児が生まれれば、その子を輕鈞家に迎え入れる。
だが悲劇的なことに、その男児が成長し、どの家系の女性と結婚しようとも、次の世代はすべて女児ばかりとなる。
そして、この家系の女性が他の家系に嫁いだ場合、第一世代の子供の性別は男女半々である。
その次の世代、さらにその先も、その男性の子孫には必ず女児しか生まれない。
輕鈞・エロットの母親は、輕鈞家の出である。現在は伯爵夫人を務めている。
銃焰家の三男、銃焰・フィーク。昨年十六歳で線路に飛び込み、自ら命を絶った。恋愛が原因とされ、相手は帝国の皇女だったと言われている。一族の間では、この話に固く口を閉ざしている。(秉核はその話を聞き、まず嘆息し、次に「これは一体何だ」と思った。)
……
一方、銃焰秉核は現在六歳で、母親は不明である。
六年前、伯爵である銃焰思芬が、生まれたばかりの子を連れて屋敷に戻り、公然と自分の子だと宣言した。その子が銃焰秉核である。
この世に生まれてまだ数年しか経ていない銃焰秉核の評判は芳しくない。
三歳で乳離れし、四歳になってやっと話し始めた。
銃焰秉核のこれらの「事跡」は、一族の人々にこの子の知能に欠陥があるのではないかと推測させた。
兄たちが皆優秀である以上、第二順位の継承者になる望みはまったくない。
実は秉核自身も分かっていた。
最初の数年間はぼんやりとしており、ここ数ヶ月になって突然、閃きのように悟った。
自分は子供の姿で、この新しい世界にやって来たのだと。
汽車を降りた後、秉核は頭を抱え、小さな顔に懸命に考える表情を浮かべていた。
この脳は非常に不便で、数を数えるのにも指を折らなければならない。
しかし過去の記憶は比較的鮮明で、ただ思い出すには非常に努力が要る。時には数分かかって、ようやく昔のことを思い出せた。
……
駅の鉄製のベンチに座り、何かを懸命に考え込んでいる秉核は、周囲の使用人たちを心配させていた。一人の使用人が秉核の前に今日のスケジュール記録を開き、そっとベンチの横に置く。
この「知的障害」のある若主人に気づいてもらうため、赤インクで赤い丸を付けていた。
ちなみに、スケジュール表には全て簡単な絵が描かれている。秉核の記憶が戻って数ヶ月経つが、毎日考えることが多すぎて、文字を覚える作業は先延ばしにされた。その結果、見事に今まで引き延ばされてきた。
秉核の先延ばしの理由はこうだ。
「普通の子供は七、八歳で字を覚えるものだが、私は少し頭が悪いから、十代になってから始めてもいいじゃないか」
本題に戻ると、使用人たちの心配は余計なものだった。
秉核が今考えているのは、行程の問題ではない。
初めて一族の武器実験場に来た彼は、突然詩興が湧き、文豪気取りで一首詠んで周囲の注目を集めようとした。
しかし歌詞を二行ほど口にしたところで、突然言葉に詰まった。
数分後、秉核はもどかしさに椅子から飛び降りた。数十メートル先の馬車へ向かって歩きながら、誰にも理解できない子供っぽい声でぶつぶつと言った。
「夕日が西山に沈み紅霞が飛ぶ。この詩の次の句はどう歌うんだったっけ、どう歌うんだったっけ。的当てとか、何とか帰るとか。どうしても思い出せない!」
秉核は柔らかい小さな手で自分の頭を軽く叩いた。
小さな顔は、まるで飴を奪われた子供のように不機嫌そうだ。
人生最大の悲劇は、威張ろうとしたまさにその瞬間に、その方法を忘れてしまうことである。




