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アークライト廃墟ダンジョン再興記――追放管理士と精霊少女のゼロから始める逆転経営譚――  作者: 盆ちゃん


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第22話:国家討伐軍の威圧と開戦の狼煙

第22話:国家討伐軍の威圧と開戦の狼煙

アークライト廃墟ダンジョンの外縁を囲む荒涼とした荒野の地平線。そこに突如として現れたのは、王都の紋章を厳かに掲げた王国正規軍の圧倒的な大軍勢であった。先頭を陣取るのは、王国最高峰の戦闘管理士たちを引き連れた影の執行者ガーロッドであり、その背後には数千人規模の重装騎士団や魔導砲撃部隊が幾重にも整然と隊列を組んでいる。

王都の腐敗した最高幹部バルトロたちの失墜と恐怖のあまりに発令された「国家非常事態布告」を盾に、彼らはこの辺境の独立経済都市を「王国に対する反逆者の武装要塞」と断定し、物理的にその一切を地上から消し去るための総力戦を開始しようとしていた。乾いた風が吹き抜ける荒野に、騎士たちの金属鎧が擦れ合う重々しい音と、軍馬のいななきが響き渡り、周囲の緊張感は最高潮に達していた。

その圧倒的な軍事力の全貌は、ダンジョンの最深部にあるコア・ルームの巨大な魔力モニタリングディスプレイに、一寸の狂いもなく生々しく描き出されていた。

第一階層や第二階層で日常の平穏と成長を謳歌していた冒険者たちや、商業区画で南部との大規模な交易に勤しんでいたエリカやドミニクらの使節団の面々も、地平線を埋め尽くすほどの王都正規軍の異様な気配を察知し、一斉に足を止めて息を呑んだ。

「おい……冗談だろ……? あれは、王都の正規騎士団じゃねぇか……!」

「なんで国の軍隊が、俺たちのこのダンジョンを取り囲んでやがるんだ……!」

商業区画の特設カウンターの周辺や回廊のあちこちにざわめきが広がり、一瞬にして緊迫した空気が走る。しかし、そこに恐怖や絶望の色はなかった。かつて王都の理不尽な搾取に苦しめられ、すべてを奪われかけていた彼らの瞳に宿っていたのは、怯えではなく、自分たちの手でようやく掴み取ったこの大切な場所を絶対に守り抜くという、燃え盛るような闘志の炎だった。

その時、ダンジョンのエントランスの広場に、簡素ながらも洗練された外套を纏った青年レオン・アークライトが、精霊の少女ミラを従えて静かに姿を現した。

レオンの姿を見た冒険者たちの間に、波が引くように静けさが戻り、すべての視線が彼の背中に集中した。

「……レオン様……!」

ガランが愛用の大剣をしっかりと握りしめ、前方に一歩踏み出す。レイナや、南部からやってきた使節団のドミニク、そして商人エリカもまた、レオンの背中を信じるようにしっかりと続いた。

レオンは振り返ることなく、ただ静かに前方の巨大なエントランスのアーチを見据え、その低い、しかしダンジョン全体の魔力回路を通じてすべての空間に響き渡るクリアな声を放った。

「――慌てるな。王都の連中がどれほどの軍勢を率い、どのような権力を笠に着て押し寄せてこようとも、この場所は、お前たちの誇りと未来が詰まった我々の城塞だ。一歩たりとも、あの者どもに踏み込ませはしない」

そのレオンの圧倒的なまでの落ち着きと、揺るぎない決意の込められた声を聞いた瞬間、冒険者たちの間に湧き上がっていた微かな動揺は完全に消し飛び、代わりに熱い連帯の歓声と闘志が爆発的に巻き起こった。

「そうだ! 俺たちを救ってくれたこのダンジョンを、王都の犬どもに渡すわけにはいかねぇ!」

「管理士様についていこうぜ! 全力で迎撃してやろう!」

外部では、王都正規軍の最前線に立つ影の執行者ガーロッドが、冷徹な仮面のような笑みを浮かべ、その冷たい右手を大きく振り上げた。

彼の背後に控える無数の魔導砲撃部隊の砲口が一斉に眩い魔力の光を帯び、アークライト廃墟ダンジョンのエントランスと第一階層の正面外壁をロックオンする。

「レオン・アークライト……。小細工はここまでだ。王国の絶対的な法と、国家総動員軍の武力の前には、いかなる小手先の再構築もただの砂上の楼閣に過ぎないことを、その身をもって知るがいい。――全軍、一斉射撃開始!!ッ!」

ガーロッドの冷酷な号令とともに、数千の魔導砲と騎士たちの魔法が一斉に解き放たれ、凄まじい破壊の光の奔流がアークライト廃墟ダンジョンの正面へと容赦なく叩きつけられた。

ドガァァァァァァァァンッ!!

荒野全体が激しく揺れ動き、巨大な爆風と舞い上がる土煙がエントランスの周囲を完全に包み込んだ。王都の持てるすべての軍事力を結集した圧倒的な一斉攻撃。それは通常のダンジョンであれば、エントランスの構造ごと第一階層の回廊が跡形もなく吹き飛び、内部のすべてが壊滅するほどの恐るべき威力だった。

しかし――。

土煙がゆっくりと晴れていく中、王都軍の最前線に立つガーロッドの双眸が、信じられないものを見るように限界まで見開かれた。

爆撃の中心地であったはずのアークライト廃墟ダンジョンのエントランスは、微塵も傷ついていなかった。それどころか、攻撃の瞬間に展開された幾何学模様の巨大な黄金の魔法陣が、王国軍の放ったすべての魔導砲撃のエネルギーを完璧にその表面で受け止め、誰一人として傷つけることなく、まるですべてを飲み込むかのように穏やかに吸収し尽くしていたのだ。

「なっ……馬鹿な……!? 王国正規軍の総力を挙げた魔導一斉砲撃が……一発の被害すら出さずに、完全に無効化されたというのか……!?」

ガーロッドが驚愕に声を詰まらせる中、ダンジョンのエントランスの上方に、静かに、しかし圧倒的な存在感を放ちながらレオン・アークライトが姿を現した。彼の右腕に刻まれたかつての管理士の回路痕は、これまでにないほど神々しく、眩い黄金の光を帯びて激しく脈打っている。

『――国家の名を騙り、他人の自由と誇りを踏みにじるその暴力こそが、真の反逆だ』

レオンの冷徹な声が、ダンジョンの魔力循環システムを通じて荒野全体に響き渡る。

『お前たちが持ち込んだその無駄な軍事力も、王国軍の私物化も、この城塞のすべての構造と冒険者たちの意志の前には、ただの滑稽な道化の戯れにすぎない。――反撃のフェーズを開始する。すべての侵入者を、我がダンジョンの土へと完全に再構築してやろう』

レオンが右手を力強く振り下ろした瞬間、アークライト廃墟ダンジョンの全階層から、これまでの防衛戦を遥かに凌駕するほどの凄まじい規模の黄金の魔力の光が爆発的に噴き上がった。

第一階層を守るアイアン・スライムたちの群れが一斉に活性化し、第二階層のロック・ボアたちが戦術的な迎撃態勢を取り、そして第三階層の商業区画に集うすべての冒険者たちの闘志がダンジョンの魔力回路と完全に同期する。

王都の国家討伐軍と、天才管理士レオン率いる独立経済都市との間の、大陸の歴史を揺るがす最終にして最大の全面戦争が、いよいよその真の幕を開けたのだった。

ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!

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