第8話 戦争と講和、そしてまた戦場へ
本日2回目の投稿です。お読みいただけると幸いです。
戦争はバルバドス側が勝利しました。
夜襲の翌朝、敵は攻撃を仕掛けてきたが、すぐに全滅してしまいました。王は近衛兵を捨て駒にして、何とかフーシ王国に辿り着いたのですが、すでに首都を抑えていた第3皇子は、フーシ王をとらえて監禁しました。そしてフーシ王国は第3皇子が王となりました。とりあえず、講和の相手はできたわけです。ロバートと僕の間で事前に打ち合わせしていた内容で、講和の条件を第3皇子と話し合いました。
内容はフーシ王国の3分の1の国土を割譲することと、賠償金の支払いです。賠償金は半分を一括で支払い、残りは10回払いとしました。捕虜については兵下士官クラスは釈放して出身地に戻ることを許可し、王子たちを除いた将校以上の貴族は、フーシ王国に引き渡すことにしました。
そして、バルバドス王国内でフーシ王国の前王や第1皇子、第2皇子と内通していた貴族の名簿をもらいました。やり取りしていた手紙も一緒に付けてもらいました。
第1皇子と第2皇子は当面我々が預かることにしました。まあ、何かあった時のための人質です。
さて、この条件をバルバドス王国に承認してもらう必要があります。さらに敵から奪った領土はすべてロバートに治めてもらわなくてはなりません。
バルバドス王国の内情は正直お寒い限りです。国土の半分以上が貴族領主の持ち物で、更に王室領から上がる収入と、貴族たちへの上納金の半分以上が法衣貴族のために使われています。王室の経費もばかにならず、軍の経費自体、かなり圧縮されていて、国防に必要な軍事力も持てない状況です。公共事業などはほぼ行われておらず、国土は衰退の一途をたどっています。
そこに、僕たちの大勝利です。王国政府の好きなようにさせていては、全部奪われて、さらに、いい金づるを得たとばかりにロバートと僕は王国政府の好きなように使いつぶされるのは目に見えています。
ロバートと僕が自由を得るためには、自前の領土を持ち、独立した国家経営を行っていく必要があります。
情報によると、宮内大臣と外務大臣は勝利で得た領土はすべて王国政府が接収すべきだし、勝手に講和条約の内容を提案した僕たちには懲罰を与え、領土没収の上、西部の前線に送り込むべきと主張しているらしいです。
軍務大臣と内務大臣はこれに反対しており、新規領土の統治の困難さや僕たちの能力を考えて、フーシ王国から奪った領土は任せてもいいのではないかと言ってくれているとのことです。
ロバートと相談して、僕が一度バルバドスに向かうことになりました。ロバートは新規に得た領土を整備し、軍を整えておくことになりました。
ロバートの行政能力はかなり高いものです。従前の部下に加え、フーシ西部の王室領、貴族領で働いていた官僚たちも取り込み、統治を進めていました。
僕も部下たちを使い、兵を集め、訓練を施すよう手はずを整えました。とりあえず、12000人規模の正規軍と農民主体の民兵約1万の整備を考え、ロバートの承認を得ました。
首都バルバドスにつくと、軍務大臣に面会しました。「お久しぶりです。大臣」大臣は僕の顔を見ると、破顔して「よくやったな、大勝利おめでとう」と言いました。
占領地での統治についてや、賠償金として受け取った金銭を王国に引き渡すことなど講和に関する話をしたのち、僕は単刀直入に聞いた。
「バルバドスは我々と戦うつもりがあるのでしょうか。それとも、我々が提供する戦利品で満足いただけるのでしょうか?」
軍務大臣は渋い顔で口を開きました。「外務大臣は貴様らに権限を侵されたと思っている。宮内大臣は増え続ける貴族経費に対する収入源が欲しい。内務大臣も収入源が欲しいが、お前らを敵に回したら、大変なことになることは理解している。わしはお前たちをこの国のために利用したいと考えている。だからお前たちとの敵対は望んでいない」
そして軍務大臣はニヤリとしながら言いました。「ここで一つ取引といかないか。今負けが込んでいる西部での戦線でお前の力を借りたい。西部で勝てれば、外務大臣も西部での講和条約の主役になれてある程度メンツが立つし、宮内大臣と内務大臣も収入源が増えて満足だ。俺も悩みが一つ減る」
「正規軍は動かせないのですか?」
「西部と東部で一度に戦端が開かれたおかげで、首都から兵を動かせなくなってしまった。東部が片付いたとはいえ、いまだ何かあるのではと王は疑心暗鬼になられておる。王を説得し、軍の主力を動かすことはすぐには難しい状況だ」軍務大臣は続けていいました。
「そこでお前が西部戦線で戦功をあげれば、他の大臣たちもしぶしぶでも要求を認めるだろう。そしてそうなれば王も反対しまい。お前の望みはスカイ子爵を今回併合したフーシ領の王にすることだな」と聞いてきました。
「その通りです。閣下」僕は答えました。
軍務大臣は言いました「お前の望みかなえてやる。その代わり、西部戦線で勝利をおさめろ。戦いに必要なものは何だ。かなえられるものがあればかなえてやる」
僕は答えました。「資金をください。あと食料を前線に送ってください。それから水魔法のできる魔法使いと騎兵をお貸しください」
軍務大臣は破顔して言いました。「ずいぶんいろいろなものを要求してくるな。まあ良い、できる限り対応しよう」
「よろしくお願いいたします」僕は頭を下げました。
「あと、今後わしのことをカムイと呼ぶことを許す」軍務大臣カムイ侯爵は言いました。
「カムイ様、ありがとうございます」そう言って、僕は西部戦線に行きました。
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