閑話2 王位の喪失と第二の人生
本日1回目の投稿です。お読みいただければ幸いです。
王が馬を飛ばして王宮に戻と、第3皇子が王位に座っていた。
「貴様何をしている」怒りに震えながら、王は言った。
「おや、生きてらっしゃったのですね、いったいどれだけの兵を犠牲にされたのですか」
「だまれ、貴様兵を集めたらすぐに合流するよう命令したはずだ。こんなところで何をしている」王はどなりつけた。
「おい、やれ」第3皇子は衛兵に命じて、最後まで王を守っていた騎士を切り殺した。
「貴様なんてことをする!」
「貴様こそ、さっきから王に向かい無礼の数々、殺されても仕方がないところだぞ」王子のそばに控えていた側近の一人が言った。
「まあ、そういうな。仮にも父親だからな。あなたは多くの兵を殺し、しかも自分は逃げ帰ってきた。もう王の資格はない。これからは私が王だ。せめてもの情けだ。死ぬまで幽閉にしておいてやる。泣いて感謝しろ。元王よ」そう言って、私を捉え、城の中の塔に幽閉された。
しばらくして、王妃や王女たちの様子を聞いた。第一王妃はやはり幽閉されているようだ。そしてその娘たちもみな、監禁されているとのことだ。
第二王妃は悲惨だった。西部の有力貴族の出であった彼女は子供たちと一緒に殺されたらしい。捕虜となって敵に捕まっていた西部貴族のうち、自分に従うものは助けたが逆らうものは一族皆殺しにされたそうだ。
第3皇子は正式に王位につき、バルバドス王国と敵が占領した西部地区を治めるスカイ辺境伯国と講和を結んだ。国土の三分の一を譲り渡し、賠償金を支払った。半分は一括で、残りは10年分割だそうだ。これはすべて前王に責任があり、やむなく講和を結んだということになっている。
私は王だ。簒奪者など認めない。そういう思いで、生きてきた。いつか忠義の臣下がきて、私を救い出してくれると。しかし、10年たち、20年たつとその思いも少し続揺らいできた。
そして38年目、私は突然釈放された。
そのとき、王のもとに連れ出された。「あなたが愚王か」その男は私にそう言った。
「愚王とは何か」と言ったら「あなたに与えられた追号だ。亡くなった父がつけた」そう言って、「あなたはもう死んだことになっている。釈放してやるからどことでも行きなさい」そう言って、王宮から追い出された。
私は、知り合いの貴族の元を訪ねた。すでにどこも代替わりをしていて、私のことを知らなかった。乞食と間違えられて水をかけられたこともあった。
町を歩いていると、周りは冷たい目で私を見てきた。どこかのおいぼれ乞食が迷い込んできたとでも思ったのだろう。立ち止まると、さっさとどっか行けと追い払われた。
私は貧民街に流れていった。町には私が住める場所はなかった。
貧民街につくと、男たちに絡まれている少女にあった。これでも元は王である。武術の心得もある。年は取っているが、ど素人のチンピラなどに後れを取るものではない。
叩きのめすと、その少女から感謝され、家に招待された。家には病んだ母親がいた。
わしは翌日城外ら出て、薬の原料である草を集め、それで薬を作った。
母親に与えると、母親はみるみる回復して言った。娘からとても感謝された。
監禁されている間、暇に飽かせて、いろいろな本を読み、学んだことが役に立ったようだ。
わしは薬草づくりをメインにしながら、いろいろなことに手を出していった。貧民街の環境を改善のためにごみを回収し、そのごみを使ったたい肥作りと、空き地に畑を作って食べ物を育てたりした。
貧民街に住む人たちの相談にも乗ってやった。これでも王だからな。下々の話を聞いてやるのも義務の一つだ。
貧民たちを食い物にする奴らは叩きのめした。老いたりとはいえ元は王としてそれ相応の武術は収めている。そのうち若い奴らが、わしに武術を習いに来るようになった。彼らに武術を教える傍ら、いろいろ手伝いをさせるようにした。
仕事のあっせんや薬や食べ物の調達、用心棒のようなことを始めた。廃棄物の収集、処理も行った。
いつの間にか「貧民王」と言われるようになった。新しい王妃もできた。最初に病気を治した母親だ。わしを家に連れて行ってくれた少女は王女にした。
王女は今、学校に通って勉強している。ほかの子供たちもできるだけ学校に通うよう勧めている。ちなみに校長はわしだ。先生は教会の神父様がやってくれている。
いろいろあったが、今わしは幸せだと思う。
20年近く貧民街のために尽くした老人がなくなった。衛生環境に気を配り、治安をよくし、子供たちには学ぶ機会を作ることで希望を与えた。病を得た者には薬を与え、仕事にあぶれたものには仕事を与えた彼を、貧民街の人々は「貧民王」と呼んだ。
彼がどこから来たのか、彼の過去を知るものは誰もいなかったが、貧民街ではよくあることだったので、誰も気にしなかった。
その国の王は亡くなった老人の話を聞き、彼の墓を貧民街のはずれに作った。彼の墓には、いつも花が飾られていた。
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盆実はあと午後7時に投稿します。




