表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
頑丈チートで異世界最強!  作者: 瀬戸くろず
13/85

13

12


「で、では行きましょう」


 とシルクちゃんもくっ付きながら、恥ずかしげに声をあげる。女の子が恥ずかしそうにしている姿はすごくいいと思います。


 二人に腕を抱えられ、六畳ほどの広さの部屋に通された。煉瓦造りの室内だか、灯りの魔道具があり、全然暗くない。むしろオレンジ色の灯りがいい雰囲気を醸し出していた。


 そして、室内にはベットも完備されていた。白いシーツがキチッと敷かれていてとても清潔そうだった。この世界のシーツってのは一体なにでできているんだろうな。気が向いたら、ちょっと調べてみようと思う。


 ベットのサイズはダブルくらいありそうだが、ここはおれだけが泊まるところなのだろうか? それともシルクちゃんと一緒? もしかして? え? おれは全然一緒でも大丈夫。むしろ歓迎するよ?


「ロティちゃん、聞きたいんだが、この部屋はベットが一つしかないのか?」


「はい、ベットは一つしかないんですよ」


「でも、この部屋を二人で使うんだろ?」


「はい、手狭とは思いますが、シルクと二人で使っていただく事になりますね」


「……えっ?」


 グッジョブ! ロティちゃん! これはシルクチャと一緒のベットで朝までおやすみイベント発生だな! 


 プレの街のシルクちゃんの家では別々の部屋だったからな、美少女と一緒のベットで寝るとは、何だかとても緊張するな。今からもうドキドキが泊まらないよ!


「シルク、マナブさんと二人でも大丈夫よね?」


「えぇっ!? マ、マナブさんが良いならいいですけど……」


「おれは構わないぞ」


「なら、問題ないですね」


 ぷしゅ〜〜っと、シルクちゃんの顔が真っ赤に染まる。これはなんだ? おれと過ごす夜のことでも想像しているのか? 


 大丈夫、おれは紳士だ。美少女だからといってすぐに手を出すクソ野郎なんかではない。おれはしっかりと段階を踏んでいく派なのだ。


 ちゃんとしっかり、何回かデートに誘い、親睦を深めつつ、シルクちゃんの気持ちを徐々におれの方に向いたところで初めての夜を迎える。おれはロマンチストなのだ。


「大丈夫、シルクちゃん。おれは紳士だ。一緒に寝るからといって、君を襲ったりなんてしないぞ?」


「い、い、い、いえっ! わ、わたしは全然! そういうことは考えていませんのでっ! マナブさんを信用しているのでっ!」


 ワタワタワタワタっと激しく焦っている美少女天使がいた。シルクちゃんだった。この反応を見るに彼女は処女なのだろうか? 流石に直接聞くことは憚れるな。


 おれも童貞だけど自分で言うのはいいが、人に言われるのは嫌いなのだ。だから自分がされて嫌なことは人にしないことにしている。


「では夕飯ができたら呼びますので、それまでごゆっくり〜」


 ロティちゃんはそういうと、ドアを閉めて出て行った。おれとシルクちゃんの二人きりの空間の完成であった。今ここに二人だけのスペースである。完全無欠。


「んじゃ、シルクちゃん。夕飯ができるまで何か話でもしようか」


「は、はいっ!」


 おれが声をかけた途端に、肩をびくびくっとビクつかせる。これでもかとビクつかせている。


 こんなにビクつかせたら、引きつって、けいれんを起こすのではないだろうか? 肩が貧乏ゆすりのようにずっとプルプル動きそうな予感。


「まぁ、そんなに緊張しないでいいよ? 立ったままなのも何だし、ベットにでも座ろうか? シルクちゃん」


「わ、わっ、わたしは床で構いませんっ! はいっ!」


 いうが早いか、シルクちゃんは素早い動きで地面に女の子座りとなった。……何故、地面に直に座ったんだ。汚れるのに。


 流石に、女の子を地べたに座らせるわけにはいかない。おれはシルクちゃんを脇を抱え持ち上げる。


「ふぇ!?」


 その際、若干胸を触るのはしょうがないことだった。胸に手が当たるのは必然であり必要であり必須なのだ。必ず当たるものなのだ。


 たかいたかーい状態のままでいると、シルクちゃんが恥ずかしいのだろうか、身じろいでいる。


「だめだよ? シルクちゃん。女の子が地べたに直接座るなんて、汚れちゃうよ?」


「い、いぇっ! わたしなんかは地べたで十分ですっ!」


「まぁまぁ、そこだとおれが話しにくいからさ。おれを助けるためだと思っておれの隣に腰掛けてよ」


「……うぅ、そ、それなら、失礼して……」


 ぽふっと、ベットへとゆっくり下ろす。シルクちゃんを持ち上げてみたが、軽いなぁ。身長は百六十センチ位ありそうなのに簡単に持ち上がったよ。こんなにキュートなマシュマロボディなのに何故こんなにも軽いのか、謎である。


 しかし、ベットに腰かけたはいいが、シルクちゃんはおれから人二人分くらい離れて座っている。もっと近づいても良いのに。


「シルクちゃん、もっとこっちに寄ってきて」


「い、い、いえっ! わたしにはこのくらいの距離がっ!」


「じゃ、おれがそっちに行くから」


「ふぇ!?」


 シルクちゃんがなかなかこっちの来ないので、こちらから行くことにした。漢には行かねばならぬ時がある。それが今だった……はず。知らんけど。

 

 シルクちゃんに近づくことに成功したおれは、顔を真っ赤にして俯く美少女を視姦することにした。


 視姦と言ってもエロい意味ではなく、純粋に綺麗なものに対して関心を寄せるということであって、美術品を眺める的な感じの意味合いで捉えて欲しい。勘違いはいけません。


 しかし、近くで見ると一層美少女だということがわかる。黄金色に輝く金髪はキチンと手入れがされていてサラサラのツヤツヤ。触り心地はさぞや見事に違いない。


 見るだけでは何なので、実際に触ってみたいと思います。さわさわ。


「ぅ!?」


「あ、ごめんな。髪が綺麗だったから」


「……うぅ」


「…………」


 撫で撫で。結構触っているけれど、何も言われない。何も言わないということは嫌ではないということと解釈します。おれは自分に都合のいいように考えるよう脳には常日頃から言い聞かせているので安心です。


 しかしまぁ、見た目通り、いやそれ以上に触り心地がいい。なんというかまぁ、こう、軽くて滑らかな触り心地っていうのかな。これは。素晴らしくおれの肌になじむんだよな。


「……あ、あの」


「ん? どうした」


「……マナブさんは、その、女性の髪がお好きなのですか?」


 女性の髪が好きか嫌いかで言えば、勿論、好きだと断言できる。キッパリと言い切ることができる。というか考えるまでもなかった。一種の反射運動のようにすぐ様答えが導き出された。そのくらい好きだと。


「あぁ、女性の髪は好きだが、シルクちゃんのはもっと特別だな。こんなに触り心地の良い髪は初めてだ」


「……うぅ、そんな恥ずかしいこと言わないでください……」


 再び真っ赤になったシルクちゃん。なんて愛くるしい生き物なんだ。キュート! スウィート! チャーミング! 大好きだっ! 愛してる! アイラブユー! 


 しかし、こんなに触り心地の良い髪は初めてだとか言ったけれど、女性の髪を触ることなんてシルクちゃん以外にロティちゃんのを触ったくらいだから比較対象は一人しかいないが。それは内緒にしておこう。沈黙が吉なり。 


 はぁ、ずっとこうしていたいけれど、少しはギルドの依頼についての情報を聞いておくか。

 

 エメさんについて、おれはほとんど何も知らないからな。Bランク冒険者ってこととシルクちゃんの祖母ってことしかしらない。

 

 エメさんの戦闘スタイルとかも聞いておかないと、バジリスクと戦う時、面倒だからな。まぁおれ一人でなんとか出来ると思うがな。


「話は変わるけどシルクちゃん、おばあちゃ、いや、エメさんについて聞きたいのだけどいいかな?」


「……ふぇ? お婆さまですか?」


 シルクちゃんは何やらうっとりとした瞳でおれを見返す。この子ちょっと目が逝っちゃっている。やばいなこれは。


 おれの頭なでなではトランス状態を引き起こすほどの腕前にいつの間にかになっていたのか!?


「あぁ、シルクちゃんのおばあちゃん。エメさんについてだ」


「……は、はい。なんでも聞いてください」


「そんだな。まずエメさんの戦闘スタイルを聞いておきたい。バジリスクとの戦闘の際に役に立つと思うんだ」


 うっとりとしていた瞳に光が宿る。ちょっと正気に戻ったのかも。


「お婆さまは、一言で言えばオールラウンダーですね」


「オールラウンダー?」


「はい、武器での戦闘、魔法での戦闘、なんでもござれのすごい方です。しかも、回復魔法も使えるみたいです」


 回復魔法まで! それはマジすごいな! オールラウンダー! んじゃ、これはおれが適当にバジリスクを相手にしておけばエメさんなら勝手にアシストしてくれそうだな。おれ、人に合わせるとか無理だから。


「それはすごいな、感心したよ」


「お婆さまは凄いです! わたしの憧れです!」


 シルクちゃんがキラキラした目で宙を見上げている。多分そこには幻想のエメさんが映っているのだろう。その幻想はシルクちゃんにしか見えないが。


「それなら、おれが無理に合わせる必要は無いな。エメさんに合わせてもらうとしよう」


「お婆さまは、基本は一人で活動していますが、パーティーを組んだ時はいつも周りと上手に連携して、組んだ冒険者たちの力を何倍も引き出すんです!」


「それは凄いな」


「お婆さまのスキル《鼓舞》のお陰なんです」


 おっ、エメさんはスキル持ちか。《鼓舞》とは一体どんなスキルなんだろうか。文字から察するに周りの士気を上げる能力だと思うが。


「《鼓舞》とはどういうスキルなんだ?」


「《鼓舞》はなんでも周りのいる方の能力を大幅に上昇させる効果が有るみたいです。あと効果範囲もお婆さまを中心とした円形に広がっていて、どの範囲まで効果があるのかはわたしではわかりません」


「ほう、大幅にか。それはなかなかいい能力だな」


「ですが、その《鼓舞》なんですが、自分には効果がないらしいのです」


「なるほど、自分には《鼓舞》は使えないと」


 だが、スキルがなくともシルクちゃんの話を聞く限り、エメさんならそこそこ余裕でバジリスクを足止めしているかも知れないな。だが油断は禁物だ。夜が明け次第、すぐ様、水精霊の水辺へと向かうことにしよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ