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「さて、着いたか」
日も落ち、夕暮れ時。
おれ馬車の荷台からおり、背伸びをし、固まった体をほぐす。
途中に色々あったがなんとかマルチ村に到着した。あぁ美少女二人と戯れていたので全然苦じゃなかったよ、馬車の旅。逆に最高だった。また乗りたいです。
村人が確か六百人くらいの小さな村だったな。特産品がワインらしい。水精霊がいることでとても澄んだきれいな水が湧き出る場所があるとか。
「本当にありがとうございましたっ!」
「助かった、ありがとうっ! マナブさんっ!」
荷台から降りてきたロティちゃんと、御者台から降りてきたカジが頭を下げ、お礼を言った。ゴブリンから助けた後、おれはただ美少女と戯れていただけなので、お礼を言われてもなんと返せばいいのかわからない。
だが感謝されるのは悪くない気分なのでありがたく受け取っておこう。
「あぁ、気にするな。無事着いてよかったな」
「はいっ! マナブさんのおかげです!」
「そうだぜっ! マナブさん!」
「そうか……」
なんか、テンションが違いすぎてちょっと引いてしまったおれ。そんなに命の危機だったのか? ゴブリンとの戦闘が、おれには分からんが。
さてと、今日のところはマルチ村で一泊だな。英気を養い明日に備えないとな。流石のおれも真っ暗の中でバジリスクという強いモンスターと闘いたくはない。
「ところでマナブさん。今日のところはこの村の青の風見亭という宿で、一泊するつもりなのですが……」
「青の風見亭か、わかったシルクちゃん」
おれとシルクちゃんが今日泊まる宿の話をしていると、
「宜しければうちの泊まりませんか? 助けていただいたお礼をしたいですし」
と、ロティちゃんが(わたしもっとお礼がしたいですっ!)という顔をしていた。
「それは助かるが……シルクちゃんはいいか?」
「そうですね、わたしはマナブさんが良ければ構いませんよ?」
「てはっ! こちらです、案内します」
「あぁ、よろしくな。ロティちゃん」
「はいっ! 任せてください」
ロティちゃんとカジに連れられおれとシルクちゃんの二人はマルチ村にあるロティちゃんの家に向かう。
二人の後ろについていきながら、村を観察していると、主に家とかはレンガで出来ていた。平屋の家がまばらの間隔でポツポツと数十軒建っているのが見える。
レンガの家って何かこう憧れるよなぁ。素朴な感じがいい。三匹の子豚でもちゃんと最後まで生き残る頑丈な感じもまたいい。
「マナブさんはマルチ村に来るのは初めてですか?」
「あぁ、そうだな」
おれが村を物珍しげに見ているのが気になったのか、ロティちゃんが話しかけてきた。おれのことをよく気づく子だな。こんな可愛い子がおれに関心を持ってくれるなんてありがたいな。
「この村は何が珍しい物でもありましたか?」
「まぁ、おれの故郷とは全然違うからな。家に作りとかそれが珍しかっただけだ」
「マナブさんの故郷のお家はどのような造りなのですか?」
シルクちゃんも会話に参戦してきた。可愛い子二人に囲まれて嬉しい限りである。
「おれの故郷は木造建築だな」
「もくぞうけんちく?」
「どういった家なんですか?」
あぁ、木造建築といっても伝わらないよな。これは失敗だ。
「木造建築ってのは、木で作った家のことだよ。他にもコンクリートっていう石の塊みたいなもんや、鉄とかで出来ているのもあるな。骨組みとかに」
「そんなに色んな材質が使われているんですね。マナブさんの故郷のお家は」
「石でできた家ってまたレンガみたいに固めているんですか? それとも大きな岩を削って作っているんですか?」
「あぁ、型に流し込んで使う感じかな。おれもそこらへんはよく分からないな」
日本の建築技術はすごいからなぁ。おれにそんな技術はないし、聞かれても答えられないな。
「そうなんですね」
「まぁ、でもレンガの家ってのはなかなかいいもんだな」
「はいっ、わたしもそう思います」
そして、俺たちは村の中を歩いていく。数十分くらいすると何やら今まで見てきたレンガの家よりだいぶ大きな家が見えてきた。
「ここがわたしのお家ですっ」
「へぇ、他の家よりかなりデカいな」
「俺たちの両親はワイン農家なんだ。結構人気なんだぜ」
へぇ、ワイン農家。ちょっと飲んでみたいな。エメさん助けた後で飲ませてもらおうかな。祝酒的な感じで。
「ワインか、飲んでみたいな」
「是非! 飲んでみてください! 両親も喜びます!」
ロティちゃんもカジも両親が造るワインに自信があるのかとても勧めてくる。
「あぁ、今やってる依頼が完了したら飲ませてもらうよ」
「はいっ! その時は一番いいのを用意しておきますねっ!」
「あぁ、楽しみにしてる」
ロティちゃんは嬉しそうにきゃっきゃっと軽く飛び跳ねて喜びを表している。
ひらひらとめくれるスカートについ目がいってしまうな。ちょい長めだから眺められないけど。
「ロティ、この家に泊めていただくのであれば、あなたのご両親に挨拶をしたいのだけど?」
「シルク、そうね。父と母ならもう家にいると思うわ。さぁ入って、マナブさんもどうぞ」
「失礼するよ」
おれはロティちゃんに促され、レンガ組の家の扉に入る。もう日が落ちているから中は真っ暗かと思ったが、意外や意外にほんのりとオレンジ色の光が室内を照らしていた。
どうやら、魔道具のようだ。
壁や天井にカンテラのような物がついていた。どれも淡いオレンジの光を発している。これはきれいだな。
シルクちゃんの家にある魔道具とはまた違った色でなかなかいい。シルクちゃんの家にあるのは白い光の放つ魔道具だったからな。
「中は結構明るいんだな」
「はい、うちは灯りの魔道具が有りますので」
少し自慢げに胸を張るロティちゃん。
なんだ? 魔道具があると自慢なるっぽいな。まぁ、田舎っぽいから魔道具を持っていることがすてーたすにでもなるんだろう。おれはそういう事はよくわからんからシルクちゃんにでもあとで聞いてみるか。
「色がきれいだな、これはシルクちゃんの家にあるのとまた違う色だけど?」
「わたしの家にあるのは、ここにあるのとは違う種類の灯りの魔道具ですので、光の色が白と橙色の二種類あるんですよ。それでここのは橙色の光を放つ魔道具ですね」
なるほどなぁ、種類としては同じ魔道具なんだな。
「これも魔石で動くのか?」
「そうですね、Fランクの魔石で一晩は持ちますよ」
「やっぱり便利だよな、それだけ持つと」
「Fランクの魔石は安いですし、冒険者の方々なら、、ゴブリンやスライムから簡単に取れますからね」
おれたちが灯りの魔道具について、おれこれ話していると、奥から誰かやってきた。
「ロティ、誰がお客さんかい?」
「あっ、お母さん」
奥から現れたのは、妙齢の女性だった。この人がロティちゃんの母親か? だいぶ若いな、二十代にくらいにしか見えないな。
ロティちゃんと同じ茶色の髪に茶色の瞳。幸薄そうな素朴な美人さんだった。ああ、たしかに素朴な感じがロティちゃんの母親って感じだなあ。納得。
「あら、シルクちゃんじゃない」
「おばさん、ご無沙汰しています」
シルクちゃんと幸薄美人のロティちゃんママはどうやら知り合いらしい。シルクちゃんはお辞儀をしてご挨拶をしている。
「それで、そちらの方はどなたかしら?」
おっとおれに興味が移ったようだ。
「お母さんっ、この方は私たちの命の恩人のマナブさんだよっ、森の中でゴブリンに襲われているところを助けてもらったの」
「そうなの!?」
ゴブリンに襲われたと聞いた途端、慌て出す幸薄美人。少し不謹慎だが、その慌てた姿が可愛かった。
「大丈夫だよ、母さん。十数体もいたゴブリンをマナブさんがあっという間に倒してしまったから」
と、カジが言うと、
「十数体もっ!?」
さらに驚く幸薄美人。
まあ、普段いても一体二体くらいしかいないゴブリンだからな。それは驚くだろう。
「あぁ、たまたま近くを通りかかってな」
「子供たちを助けていただき本当にありがとうございますっ!」
ガシッとおれの手を両手で包み込み、お礼をを述べる幸薄美人のお母さん。成長したらロティちゃんもこんな感じに感じの美人さんになるのかな? 将来が楽しみである。
「あのくらいどうって事はない、おれにとってはな」
「それでもマナブさん、あなたがいなければ娘や息子は無事じゃ済まなかったと思います。本当にありがとうございますっ!」
握った手にさらにグッと力を込め、そして胸に抱え込んだ。シルクちゃんほどではないがこの幸薄美人さんもそこそこ胸があった。
ふにょん、と柔らかい何かに手が触れる。
これはなにか? 今おれはこの幸薄美人の人妻に誘惑でもされているのか? だがおれの好みは年下だからなぁ、おれはハーレムを作るなら年下がいいと思ってる。
「ちょ、ちょっとお母さんっ! 近寄りすぎだよ! あとマナブさんは今日うちに泊まってもらうからね」
「あらそうなの、ロティ? なら今日の夕飯は張り切っちゃおうかな」
「それは楽しみだ。あとロティさんのお母さん、名前を教えてもらっても良いか?」
「あら、そういえばいってなかったわね。わたしはヒスイというの。よろしくね、マナブさん」
ヒスイさんか、なかなかいい名前だな。幸薄美人の彼女にはとても合っている名前だな。凄くいい。
「それじゃマナブさん、シルクちゃん、夕飯ができるまでゆっくりしていてくださいね」
「あぁ、助かる。よろしく頼む」
「ありがとうございます」
おれとシルクちゃんにそういうとヒスイさんはまた奥へ引っ込んでいった。夕飯を作りに行ったのだろう。
「んじゃ、おれも部屋に戻るわ」
カジが頭の後ろで腕を組んで、自分の部屋へ戻ろうとするとロティちゃんがその首根っこを掴んだ。
「ちょっと待ってカジ、あなたはマナブさんのためにお風呂でも沸かしておきなさい」
「い、いや、でももう外を暗いし……」
「いいわね?」
「は、はい! 今すぐやってきます!」
ロティちゃんがカジにすんごい圧力をかけていた。おれの風呂にためにありがとうカジ。君のことは忘れない。
「風呂があるのか、それは楽しみだな」
「石造りの簡単なお風呂ですが、結構広くて快適ですよ」
「ほう、そんなにか。お湯貯めるの大変じゃないか?」
「大丈夫です、お湯を沸かすのも魔道具が有りますので」
魔道具でなんでもできるんだなぁ。この世界ってかなり便利だよな。灯りもあるしお湯も簡単に沸かせるし、前の世界と生活水準がそこまで変わらないな。
「ロティの家のお風呂は村で一番広いですからね」
「村長の特権ってやつですね」
「ロティちゃんの父親は村長だったのか」
「はいっ、そうです。ワイン農家兼村長をやっている感じですね。ほとんど名ばかりの村長みたいですが」
へぇ〜、村長ね。まぁたしかに家も見た感じ村で一番デカいし、風呂もでかい。ワイン農家で収入もそこそこ有りそうだ。
家の中には灯りの魔道具がある事もなんか自慢げだったし、服装も結構仕立てのいいやつを着ていた。
なかなかのお金持ちってやつらしい。
少なくとも村の中では裕福な方なのだろうな。
「その村長をやっている父親はまだ見えないが、いま家にいないのか?」
「お父さんはいつもこのくらいの時間は、村の男衆と集まって話し合いをしていると思います。ですので帰ってくるのは夕飯ごろだと思います」
話し合いね。なんの話をしているのだろうか? 飲みながらやってんのかな?
「そうか、なら夕飯の時にまた挨拶をさせてもらうか」
「それがいいと思います。では一旦部屋に案内しますので、どうぞこちらです」
おれの腕を取り、まだ膨らみ掛けの胸を押し当てるロティちゃん。まぁ悪くない気分だ。
「…………」
シルクちゃんが羨ましそうにロティちゃんを見ていた。なにこれ? シルクちゃんももしかしておれの腕を掴みたいのか?
ならちょっとここはおれが提案してみるか。
「シルクちゃん、よかったらこっちの手が空いてるから握っててもらえるか?」
おれはなにを言っているのだろうか? なんか自分で言っていてよくわからなくなってきた。
だがなんかシルクちゃんの視線がロティちゃんを羨ましそうに見ていた気がしたから、シルクちゃんもロティちゃんみたいに抱きつきたいのかなぁって思った次第です。
「えっ? いいのですか?」
「もちろん、シルクちゃんが良ければ」
「で、では失礼して……」
シルクちゃんの豊かな胸がおれの腕を包み込む。今のおれは両手に花状態。完璧なる布陣である。
右にロティちゃんの膨らみ掛けの柔らかい胸の感触。そして左にはとても豊かな全てを包み込む豊満な胸の感触。
「では、準備も整った事で案内しますね。マナブさんっ」
「あぁ、よろしく頼む。ロティちゃん」
「はいっ! よろしく頼まれましたっ」
ニコッと可愛らしく笑顔を向けるロティちゃん。素朴な感じがまたたまらない。かわいい。




