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この子はいきなりぶっ込んでくるなっ! わたしが告白してきたらって、まぁでもこの子もかなり可愛い部類に入るから全然問題な言っちゃ問題ない。
「それは本気で言っているのか?」
「もちろん、本気です」
当然真剣な眼差しで見つめてくるロティちゃん。弟くんが驚いているぞ? な、なんだってぇぇ! という表情をしている。
「だが、おれはシルクちゃんのことが好きなんだ」
「それでも構いません。わたしの事はシルクの次でいいので恋人にしていただけませんか?」
何これ都合の良い女の子。こんな子って存在して良いのか? マジ妄想上の女の子じゃん。なにこの世界の女の子はモンスターから助けると惚れられる仕様でもあんのか?
「今はまだその気持ちには答えられないな」
「シルクとうまくいく様にわたしも手助けしますので、どうか」
「それは助かるが、何故そこまで」
「優秀な男性に好意を向けるのは女としての本能だと思いますが」
優秀な男性ねぇ。この力はたまたま神様にもらった物だからなぁ。何とも言えん。運が良かったとしか。
「ロティちゃんの気持ちはわかった、素直に嬉しい」
「迷惑じゃなくて良かったです。安心しました。あとシルクのことは任せてください。絶対に告白する様に言っておきますので」
「い、いやそこまでしなくてもいいんだか……」
なにこの子、ちょっとあぶなげな感じ。考え込んだら一直線って感じだな。そこまでしなくて良いよ。
ロティちゃんは、何やら気合の入ったようにぐっと小さな手を握りしめる。やる気に満ち溢れている。
と、ロティちゃんに何やら変な協力の申し出を受けている間に、シルクちゃんがニックさんを呼んで来たようだ。
「お待たせしてすみません、何やら馬車に二人ほど乗せて欲しいとか?」
「あぁ、ニックさん。すまないが、この二人をマルチ村まで乗せていきたいのだが?」
「お願いできないでしょうか?」
「よろしく頼む!」
頭を下げる姉弟。
「それは構いませんが、二人となると乗る場所がですね……一人は御者台に詰めれば乗れると思いますがもう一人をどうするかが問題ですね」
確かにそうだ。ただでさえ荷台は二人でギリギリ座れるくらいだ。もう一人となるとかなり厳しい。どうしたもんか。
おれが走っていくのは疲れるしなぁ。バジリスクとの戦闘もあるし。
「わたしがマナブさんの膝の上に乗るというのはどうでしょうか?」
「えぇ!?」
ロティちゃんが、またもやぶっ込んで来た! 何この子。マジでおれを狙っている。さっき言った言葉は本当だったようだ。
ロティちゃんの発言に、シルクちゃんが驚きに目を見開き、ロティちゃんを見つめている。
「ちょ! ちょっとロティ! な、なんでマナブさんの膝の上なのよっ!」
「いえ、マナブさんくらい体格のいい男性であればわたしのこの小さな体が乗っても大丈夫かなと思ってね。いいですのね? マナブさん?」
ロティちゃんが小首を傾げ訪ねてくる。茶色の瞳を若干うるわせ見つめてくる。やっぱりこの村娘の素朴な感じが愛くるしい。抱きしめたい。
「まぁ問題はないな」
「やったっ!」
「マナブさんっ!?」
ロティちゃんが、少し跳ねるように喜びを表し、シルクちゃんは、おれが了承したのにビックリしておれに驚きの表情で見つめる。
「だ、ダメです! マナブさんの膝の上はわたしが乗りたいです!」
ここでさらにシルクちゃんもぶっ込んでく
る! 顔を真っ赤にし恥ずかしそうに碧眼をうるうるさせて何とか声を絞り出したようだ。
なにぃ!? シルクちゃんまでおれの膝の上に座りたいのかっ! ありがとうございます! 普段から座りたいのであればどんどん座ってくれて構わないよ?
「あら、シルクもマナブさんの膝に乗りたいの? でもわたしが先よ? わたしはもうマナブさんから乗っても良いといってもらったから」
「そんなっ! ずるいロティ! マナブさんっ! わたしも膝に乗っても良いですよね?」
おずおずと心配そうに聞いてくるシルクちゃん。不安そうにプルプル小刻みに震えながら聞いてくる。この小動物感がまたたまらない。
何故こうも庇護欲をかりたたせるのか? この美少女天使は。金髪をなでなでしたくなる。はぁ〜なでなでしたい。
「それじゃ、二人とも。交互に乗るってことでどうだ? これて公平だろう」
おれは二人にこう提案する。ここで言い争ってもしょうがないからな。急がないといけないし、しょうがない。
決してどちらにも乗って欲しいとか思ってない。エメさんを助けるという緊急の用件があるからだ。そういうことだ。
「そ、それなら」
と、シルクちゃん。
「えぇ、それで問題ありません」
と、ロティちゃん。何やらニヤニヤしている。これはまさか煽ったのか? シルクちゃんを……。何この子、やっぱりすんごい。おれの役得感半端ない。ありがとうございます! 精一杯楽しませていただきます!
「話はまとまったようですね。では行きましょうか」
「あぁ、待たせてしまったな」
「ニックさんよろしくお願いします」
「よろしく頼む!」
おれたちは馬車へと乗り込む。弟くんは御者台へニックさんと一緒に向かって行った。やはりというか荷台は狭いな。取り敢えずおれが先に座る。
「それじゃぁ失礼しますね」
「あぁ」
と、ロティちゃんが小さな丸いお尻をおれの膝の上に乗せていく。ふにょんを柔らかい感触が心地よい。
「……」
シルクちゃんが何やら羨ましそうな視線をロティちゃんに向けている。頬に少し朱がさしている。
「ん、どうしたの? シルク」
「な、なんでもないよ? ロティ」
ロティちゃんがシルクちゃんの方を向いてそう言った。シルクちゃんはブンブンと被りふって答える。
ロティちゃんが少し動くとお尻がぷにぷに当たってこれはまた心が落ち着いてくる。はぁ〜幸せ。
「マナブさんの身体ってがっしりしていて安心感がありますね」
「そうか? 自分じゃよくわからないが、ロティちゃんは小さくて可愛らしいな。抱き枕みたいだ」
こう手にすっぽりハマる感じがいい。愛くるしい。ずっと抱きしめていたくなる感触だ。艶のある茶髪が目の前にあるから、フワッと少女特有のいい匂いもするし、何でこんないい香りがするのか、不思議だな。
「良ければ、抱きしめてくれませんか? 馬車は揺れますから」
「えぇ!?」
シルクちゃんが目をむき、驚いた表情でロティちゃんを二度見した。
「そ、そうだな。揺れるから支えておくために抱きしめるか」
「えぇ!?」
今度はおれの発言にシルクちゃんが驚く。二度見をまたご披露した。
「どうしたの? シルク。これはただ支えてもらっているだけで他意はないのよ?」
「わ、わかっているわよ、ロティ。べ、別に何とも思っていないから」
「本当? シルクも後でマナブさんの膝に乗るのだから支えていただいたら?」
「えぇ!? そ、そんなめ、迷惑になるよ……」
シルクちゃんの言葉が尻すぼみになる。人差し指をちょんちょんと合わせて、視線を横に流し顔を赤らめる。
女の子が顔を真っ赤にするのってどうしてこう可愛いのか? 永遠のテーマである。
「シルクちゃんが良ければおれは構わないぞ。馬車は揺れるからなちゃんと支えてやる」
「いいのですかっ!?」
ぐいっとおれの腕を抱え込む。豊満な胸がおれの肘を包み込む。膝の上にはロティちゃんのぷにゅぷにゅとしたお尻。
左肘にはシルクちゃんの豊かな胸のフニフニとした感触。さらに二人とも何やら息が上がってきたのか、汗ばみオンナの香りがおれの周りに充満している。
何この癒しの空間は? 最高です。
「シルクちゃんが嫌でなければな」
「嫌だなんてとんでもないですっ! ぜひ抱きしめてくださいっ!」
シルクちゃんはさらにギュッとおれの肘を抱え込む。ふにふに。何この子。わざとやっているのだろうか? 最高に気持ちいい。とてもいい感じです。ずっと触れていたい。
「シルクはマナブさんが大好きみたいね?」
「そ、そんなっ! だ、大好きだなんてっ! マナブさんに迷惑かもですし……」
「迷惑じゃないぞ? シルクちゃんに好かれるなんて光栄だな」
「本当ですかっ! マナブさんっ!」
太陽の孤独眩い笑顔を見せるシルクちゃん。本当に可愛らしい。キュートだ。それにまたおれの肘は幸せに包まれる。ふにふに。
「マナブさん、わたしの事ももっとかまってくださいよ〜」
今度ば膝の方に柔らかな感触が! なんかロティちゃんの小ぶりなお尻がぐりぐりと膝から腰の方へ移動してくる。ふにふに。
ちょっとそれは位置的にあまりよろしくない気がする。このままでは抑えられなくなってくるぞ?
「なんだ? ロティちゃん、どうか待って欲しいんだ?」
「頭を撫でて欲しいです。あともっとギュッと抱きしめてください」
「そのくらいお安い御用だ」
ぐりぐり迫るお尻を腰を引いて回避しつつ、(あまり出来ていないが)ロティちゃんの花やかな茶髪を撫で撫でする。
サラサラの髪は手で梳いても全然引っかからない。手入れがバッチリされている。村でどうやって手入れしているのか?
その様子を見て、シルクちゃんがうぬぬと唸り声を上げていた。
「ロティちゃん髪はすごい綺麗だよな」
「はいっ! 褒めてもらえて嬉しいです! 毎日お手入れした甲斐がありました!」
「どうやって手入れしているんだ?」
「あ、それはわたしも気になります。ロティの髪はいつも艶々しているちょっと羨ましかったんです」
シルクちゃんもロティちゃんの艶髪に興味を惹かれたようだ。おれがまた感じではシルクちゃんの金髪も負けていないと思うけどな。
「それはですね。アコルデの実でお手入れしているからなんですよ」
「「アコルデの実?」」
なんだそれは? 聞いたことがないな。アコルデの実とはどんなものなんだ?
「ロティ、アコルデの実ってあの食用の?」
「そうそれよ、あの木の実は食べていいし、髪のお手入れにもいいの」
「へぇ、食べられるのか」
「はい、少し酸味があって美味しいですよ?」
「一回食べてみたいな」
「わたしの村でご馳走いたします! 村に寄った際は是非わたしの家に来てください! おもてなしします!」
アコルデの実かぁ〜。美味しそうだな。こっちの世界に来てから果物的なものは食べてなかったからなぁ。楽しみだ。おれリンゴとか好きだし。
「でも、アコルデの実に髪を艶々にする効果があるなんて知らなかったよ」
「あぁ〜、シルクが知らないのも無理ないよ。だってわたしがたまたま試してみただけだからね。髪はオンナの命ってお母さんが言ってたから色々と試していたんだ。失敗もたくさんしたけど」
「ロティはすごいな。失敗をものともせずにやり遂げるなんて、誰にでもできることじゃないぞ」
おれはロティの頭をよしよしと撫で撫でする。これがアコルデの実で手入れされた。髪か。ツヤツヤのサラサラだな。匂いもなんか懐かしい、ココナッツの香りか? おっとつい嗅いでしまった?
「これはココナッツの香りか?」
「ここなっつ……ですか?」
あぁ、ココナッツじゃ伝わらないか。これは失敬。
「あぁ、おれのいた国にはアコルデの実に似たような木の実があってだな。それとおんなじ匂いがしたんだ」
「そうだったのですね」
「しっかし本当にツヤツヤだなぁ。おれにもそのアコルデの実を出来れば売ってくれないか?」
「マナブさんなら是非差し上げますよ! わたしの知り合いがアコルデの実を栽培しておりますので」
「そうか、助かるよ」
最近、髪の毛がゴワゴワしてきたからな、日本人として身嗜みは整えておきたい。
「わたしもいい? ロティ」
「もちろんよ? シルクもツヤツヤになってマナブさんに触ってもらいたいもんね?」
「い、いやっ! わ、わた、わたしはそういうわけじゃ……」
ロティちゃんはシルクちゃんをからかうのが面白いのか、めちゃめちゃからかっている。まぁでもわからんでもないな。
からかうとシルクちゃんの反応が可愛らしくてのほほんとする。癒すの空間を作り出しているな。シルクちゃんは。
「シルクちゃんの金髪は今でも十分に綺麗だと思うぞ?」
「えぇ!?」
サラサラの金髪を撫でさする。
やはりこちらの髪も負けじ劣らず、撫で心地がいい。こちらはシルクちゃんの癒しの匂いがする。この狭い馬車でよかったぁ。
「……///」
シルクちゃんはまた顔を赤面させる。首をコテンッとおれの肩に乗せ、肘に抱きつきフニフニと胸を当てる。
するとまたより一層赤くなるシルクちゃん。マジ天使。美少女! 神!
「マナブさん、シルクと場所を交代してもよろしいですか?」
と、小尻をぐりぐりととうとう腰までやっきたロティちゃん。このふにふにの感触は惜しいが、シルクちゃんのも試してみたい。ここは心を鬼にして交代することにしよう。
「そうだな、そろそろ交代するか」
「では、少し立ちますね」
そう言って、ロティちゃんはおれの太ももに両手を置いて何故かサワサワし、さらに小尻をより一層腰へ押し付けてきた。
「あっ、すみませんっ。体制を崩してしまいました」
わざとらしく、そう呟くロティちゃん。どう見てもわざとである。だがそれがいい! もっとやれ!
「いや、馬車は揺れるからな」
「そうですよね」
またぐりぐりと押し当てるロティちゃん。するとシルクちゃんが痺れを切らしたのか、
「ロティ! わたしが支えてあげるから早く交代してっ」
シルクちゃんに支えられて、おれの腰からふにふにの感触がなくなった。なにこのちょっとした絶望感。切ない。
シルクちゃん! 早く乗ってくれ! 頼む!
「やんっ、シルクってばそんなにマナブさんの上に乗りたかったの?」
「い、いやっ、そういうわけではないけれど……」
「どうしたの? 乗りたくないの?」
「ぜ、ぜったい乗る!」
と言って、素早くロティちゃんをおれの隣に座らせ、膝の上に乗ろうとした瞬間、馬車かぐらっと強めに揺れる。
「きゃっ!?」
すると、体制を崩したシルクちゃんがおれに覆いかぶさるように倒れてきた。
ふにょん。
これはまさしく天国。
おれの顔面は今この瞬間から天国へと行ってしまった。極楽極楽。
何故こんなにも、おっぱいというのは柔らかくてそれでいてこう魅力的な弾力があるのだろうか?
「す、すみませんっ! マナブさん! す、すぐにどきます!」
「いや、また揺れているから危ないぞ? まだこのままでいい」
馬車の揺れを言い訳に、シルクちゃんの胸の感触を楽しむおれ。スゥーっと鼻で息を吸うと芳醇な香りが胸いっぱいに広がる。
男の悩みは女の胸で解消される。
そのくらい女性の胸とは尊いものだ。
神様。女性にこのような素晴らしいお胸さまをつけていただき誠にありがとうございます!
いま、おれ幸せです!
「シルクってばマナブさんに胸の当てて顔真っ赤よ? 興奮でもしているの?」
「こ、興奮だなんてっ! これは揺れがひどいから動けないのであって他意はないもん!」
もんってまた言動がお可愛い。
もっと言って欲しいな。二人の会話を聞きつつ、おれはシルクちゃんの胸の感触を顔で感じる。ふにふに。
「あ、あのっ? マナブさん? 揺れはもうだいぶ収まりましたよ?」
「いや、おれはこのままでいい。気にするな」
「そ、そうですか……」
ふしゅうっと顔から蒸気を上げるシルクちゃん。今の体勢は座っているおれの上にシルクちゃんが跨って胸をおれの顔を押し当てている感じだからな。
体が接触している面積は先ほどロティちゃんを乗せていた時より多い。
それにこの体勢だと、胸の感触、お尻の感触も同時に感じることができ、一石二鳥なのだ。
完璧な体勢である。しかも腕で抱きしめることにより、固定され揺れにも強くなる。そして胸の感触をさらに楽しめる。一石三鳥、四鳥である。
「シルクちゃんは嫌か? この体勢は」
「……うぅ、嫌じゃないですけど、恥ずかしいです……」
「まぁ、馬車がマルチ村まで着くまでの時間だ。そう対して時間もかからないだろう」
「は、はい……」
シルクちゃんは俯き、恥ずかしそうに顔を伏せる。時折り馬車の揺れで何か変なところに当たっているのビクビクっと体を震わせている。
「シルクってば、マナブさんに抱き着けてとても嬉しそうね。そんなにビクビク感じちゃって」
「そ、そ、そ、そういうこと言わないでっ! ロティ!」
「あら、そういうことって何の事? シルク?」
「うぅ……」
ロティちゃんにからかわれ続けるシルクちゃんマジで可愛い。この恥ずかしそうに震える美少女は眼福ものです。はい。
ガタンっとより一層揺れる馬車。
すると、シルクちゃんが大きくビクッと体を痙攣させる。そして小刻みにブルブル震えたあと、おれに耳にハァハァを息がかかる。
ちょっと心配になったので顔を見ると何やら、満足そうな表情を浮かべているシルクちゃん。なんだか凄くそそる面持ちをしていた。
「……シルク、あなた」
「……ふぇ! ち、違うの! ロティ!」
「何が違うの? シルク?」
「いや、違わないけど! 違うの! わたしの意思じゃ止められなかったと言うか……」
何やら、二人は言い争っているがおれにはよくわからんな。まぁでも可愛いから何も問題ないな。可愛いは正義だ。
と、このような感じで馬車での旅は続いていくのであった。