ペコリン~最期のメッセージ
「ポン太さん…」
煌太は誰かに呼ばれた気がして振り返った。
「どうしたの?」
野村恵美が不思議そうな顔をしてる
「あ、いや、今…誰かが呼んだ気がして…」
見ると光のトンネルの向こうから
こちらを見てる女性がいる
「あれ?、昨日…店にいた人?」
その顔は遠くてよく判らなかったけど
昨日、煌太を見てた人に似ている。
「ねえ?あの人…」
一瞬、野村恵美の方を振り向いて、もう一度
トンネルを見た時には姿が消えていた。
「気のせいだったんじゃない?」
「そうかな~、、、確かに声がして、人もいたんだよな、、、」
「幽霊なんてやめてよね!」
「あ、そんなことより、私…トイレ…」
そう言って野村恵美はトイレへ走って行った。
「えっ?」
待ってる間にサイトを開いてみると、
ペコリンからメッセージが入っていた。
◇◆◇◆◇◆
ポン太さん、今まで仲良くしてくれて
本当にありがとー
実は、ワタシは膵臓癌のため、間もなく
ペコリン星へ旅立つと思います。
明日までもつかな~?
突然の告白でさぞ驚いたでしょうね?
言おうかどうしようか、悩んでましたが
やはり、本当のことを伝えた方が良いと思い、
メッセージしました。
ワタシもポン太さんが好きです。
サイトの中だけって、割り切ろうとしてたのに
ダメでした────可笑しいかな?(笑)
文字デート、楽しかったな~
ワタシも病気じゃなかったら
ポン太さんと普通に出会い、
普通にデートができたかもしれませんね?
もし生まれ変わったら、
絶対ポン太さんをみつけるから
今度は普通の女の子としてデートしようね!
明日の朝、東の空が茜色に染まる頃、
一つの星が流れたら、
それがワタシだと思って下さい。
最後に、一つだけ我儘が許されるなら…
あの羊の公園で…
水平線から昇る朝日が見たかった・・・
◇◆◇◆◇◆
「えっ?ーーーペコリンがーーー死んじゃう?」
「・・・?」
煌太の思考回路は真っ白になり、
何も考えられなくなった・・・
本当なのか、ジョークなのか?
とにかく確めなくちゃ───
ポン太:
(ペコリン?、どういうこと?)
メッセージに返事を送ったが、果たして返ってくるか?
「煌太?…」
「何かあったの?」
スマホの画面を見つめて固まってる煌太に
トイレから戻った野村恵美が心配そうに尋ねた。
「ペコリンが死んじゃうらしい…」
煌太の手からスマホを奪い取った野村恵美は
少し笑みを浮かべて言った───
「やーねー、冗談に決まってるわよ!」
「こうやって気を引こうとしてるの!」
「SNSでは、よく使う手よ…」
だいたい、ワタシも好きよ。って何よ!
と闘争心剥き出しの野村恵美に対して
ペコリンは野村さんと違うと思うけど…
と、ポン太は思った。
「煌太?、しっかりしてよ!」
「まさか、信じてないよね?」
「今、聞いてるけど、確かめないと判らないよ」
「あなた、、、架空請求とかに、
簡単に引っ掛かるタイプね?」
「うん。電話したことある・・・」
「・・・」
野村恵美は開いた口が塞がらない様子だ。
「野村さんのしたたかさが羨ましいよ」
「だからサイトでお局様にされるんだ…」
「えっ?、何か言った?」
「べつに…」
「最近、あまりサイトに行ってないんでしょ?
だから構ってほしくて、あんなメッセージよこすのよ!」
「絶対信じちゃだめよ!」
しかし煌太は、さっきの幻の女性のこともあり、
気持ちが落ち着かない…
自分にできることは無いか?考えていたが
答えは一つだ。
行こう!羊の公園へ────!
煌太は決心した。




