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クリスマスイブ~最期の夜

その頃ゆう。は病院のベッドで昏睡状態に

陥っていた。


どうやら、弱った体で丸一日外出し、

夜風にも当たっていたせいか、肺炎を併発したらしい、、、


「すみません…許可した私の責任です。」


と主治医、丸山の言葉に、母、美枝は


「いえ、先生には、この子の我儘を赦して下さり、

感謝してます」


「この子も、この子なりに、

悔いを残さないようにした結果です、

きっと本望でしょう…」


「でも、もう…目を覚さますことは無いのでしょうか?」


美枝は覚悟を決めて聞いてみた。


「それは何とも…」


丸山はそれ以上答えることができなかった・・・


呼吸器をしたゆう。は、

ただ眠ってるだけのように見え、

とても生死の境をさまよってるようには見えない。


「ゆう!…ゆう!」


呼び掛けたら目を醒ましそうな気がして

美枝は名前を呼ぶが、一向に反応は無い。


「ゆう…あなたはまだ22歳なのよ、

これから素敵な恋をしたり、楽しいことが沢山あるのに

このまま終わっていいの?、、、目を覚ましなさい!」


母の声が虚しく病室に響いた──────


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


「煌太~♪明日の夜どうする~?」

野村恵美が休憩中に聞いてきた。


「どうする?って…べつに用事ないけど…」


「用事無いって、、、?

明日は、恋人達の最大のイベント、

クリスマスイブだよ!

私たち付き合ってるんでしょ?」


まだ恋人って感じじゃないし、、、と思う煌太…


「まったく、もーーー!

いいかげん、付き合ってるって自覚してほしいよね!」

少し苛つく野村恵美…


「だって、クリスマスウィークは忙しくて

ずーっと仕事だったから…」


「明日は二人共早番だから、6時に上がって

イルミネーション見に行こうよ」


「イルミネーション?、何処へ?」


「相模湖で有名な場所があるのよ、

ここからなら1時間くらいだからさ」


「じゃあ、行ってみようか~」


あまり気乗りしない煌太だったが、

野村恵美と付き合うことで、

早く自分の気持ちにケジメを着けようと思った。


「ホワイトクリスマスになったら

ロマンチックだよね~」


「えーーー!

僕、寒いの苦手だしーーー」



野村恵美は明日のイルミネーションデートで

ポン太と同じ写メを撮り、サイトへアップして、

さりげなく付き合ってることをアピールしようと

企んでいた。


そうすれば、誰もポン太に近づかないだろうと…

もちろん、ペコリンも────




夜になり、サイトを開いてみたが

ペコリンからの返事はなかった、、、


もしかしたら、もうサイトに来ないのかな?


僕のつぶやきや、メッセージに

反応がないのは初めてなので

凄く不安になる、、、


相変わらず野村さん…いや、momokaさんは

マイペースにつぶやき続けてる。


◇◆◇◆◇◆

ねえねえ~(*´∇`*)

明日はクリスマスイブだよ!

皆はどんなイブを過ごすのかな?

私は大切な人とイルミネーションデート♪

・・・なんちゃって~(*≧∀≦*)

◇◆◇◆◇◆


サイトで言いふらしてるしーーー




─────イブの朝、

店内は開店と同時にクリスマスの準備であろう

お客様でごった返していた。


「野村さんのサンタ姿、可愛いね!」

と、煌太が言うと


「ミニスカサンタにしたら、エロオヤジが

ケーキをいっぱい買っていきそう」


今日は二人とも、サンタ姿でケーキの販売だ…

6時までにこのケーキの山を

売り尽くさなければいけない、、、


「いっぱいって言ったって、一人で2個も3個も

買わないよ~」


「それでも頑張って捌くのよ!」


幸い、予約のお客様がほとんどなので

みるみる捌けていった───



「さあーーー、今度は私たちのイブだよ!

楽しまなくちゃ~♪」──────



さすがにクリスマスイブ、、、

イルミネーション会場のゲートの前では

多くのカップルが列を作っていて

その横で大きな雪だるまのイルミネーションが

二人を迎えてる。


「わーーー!あれカワイイーーー♪」


野村恵美が子供のようにはしゃぎながら、

写メを撮っていた。


「一緒に撮ろう♪」

と、半ば強引に、

雪だるまをバックにツーショットを撮る、、、


1枚は顔もはっきり判るように、

もう1枚は顔がシルエットになるように撮った。


もちろん、シルエットの方を

サイトにアップするつもりだ、、、


「煌太も写メ撮って、サイトのフォロワーさんに

見せてあげたら?

こんなに綺麗なんだから、きっと喜ぶよ」


ペコリンにも見せてあげたい・・・


煌太は一緒にいる野村恵美よりも

ペコリンのことが気になって仕方がない


ゲートを抜けると、目の前には

山一つ分をLEDに埋め尽くされたような

青や白、ピンク、緑に彩られた光の世界が広がっていた。


「うわーーー!すごーい!」



光の滝、流れる青い光、行き交う光のロープウェイ…


あちらこちらに光の雪だるまや動物達が

遊んでる・・・


まさに光の国だ


中でも光のトンネルは圧巻で、

異次元世界に入り込んだようだ──────


煌太と野村恵美は写メを撮りまくった


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


煌太と野村恵美がイルミネーションデートを楽しんでる頃、

母の願いが届いたのか、ゆう。が意識を取り戻した。


しかし、丸山が言うには一時的なものらしい・・・


ゆう。の命の炎は消えかかっていた。



「ママ…親不孝でごめんね」


「何言ってるの!きっと良くなるわよ」


「ううん、、、ワタシには判るの…」

虫の息のように、やっと答える、ゆう。


「ワタシの…スマホ…」


「はい、これ…どうするの?」


「メッセージを残しておきたいの…」


ゆう。は、おぼつかない手でサイトを開いた。


そこに、ポン太からのメッセージを確認し、

目を閉じ、

「ポン太さん…」と、

声にならない声を漏らした、、、


休み休みメッセージを打ち終わると、

「クリスマスに逝くなんて…ドラマチック…よね」

「まるで映画みたい…」


「ママ・・・」


「今のうちに…言っとく…ね…」


「産んでくれて…ありがと…う」


と呟きながら、送信ボタンを押すと

スマホを握ったまま、再び昏睡状態に陥った───


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