第20話 H14 刺傷後!鬼畜弁護士、墓前で号泣。ギャル探偵、出頭して全国騒然!?「この馬鹿が!」
血塗れの手で這いずる人影が迫る。そいつは言った。「人殺し!嘘つき!お前の誇る正義はどこに行った!?」
「やめてくれええ!」
パーカーのデニス刺傷犯が叫んだ。
額はドッと脂汗に濡れている。真っ暗なアパートの一室で、彼は膝を抱えて蹲っていた。
NHKニュース 福デニス刺傷事件から14日、最新情報です。
「山戸部長、デニスさん刺傷事件の手がかりは掴めましたか?」
「我々は最善を尽くしております。チームは今も懸命に捜査中です」
「デニスさん、ご自身はいかがですか?あなたを刺した者の姿は思い出せますか?」
「すまない、刺された時は見えなかったんだ。本当に申し訳ない」
「しかし、田中判事の贈賄事件を暴いた貴方が、ご自身の刺傷事件を解けないとは?」
「ああ、君たちは俺を買い被りすぎだよ。俺はただ運の良かった年寄りさ。俺より若くて面白い奴を取材した方がいい。ギャル探偵のキモチ・スガちゃんなんかどうだい?」
「彼女に犯人捜査の協力を依頼した事は?彼女とはどういう関係です?」
「会った事もないよ。テレビやYouTubeでよく見かけるだけさ。いい子だと思うね。将来が楽しみだ。あの子は、娘の芽衣ちゃんを思い出させる。明るくて元気なところが、うちの娘そっくりなんだ」
「キモチちゃん、ツキの弁護士があんたの名前出してたよ。知り合いなの?」
学食のテレビから流れるニュースを見ながら、秋葉原が言った。
「ううん、秋ちゃん。会った事もないよ」
キモチは気のない返事をした。
「なんで元気ないの、キモチちゃん?」
「ううん、最近寝不足なだけ」
「無理しちゃダメだよキモチちゃん。ここ数週間、大きなニュースに世間の関心が移って、キモチちゃんの番組の視聴率ガタ落ちしてるの、私知ってるから」
夕暮れの舎人公園墓地。デニスは缶飲料を3本持ってきた。1本目のお茶を妻の墓に注ぐ。墓石には福香織と刻まれている。2本目を娘の墓に注ぐ。墓石には福芽衣とある。「ほら、お前の好きなオレンジジュースだぞ」デニスは自分のビール缶をプシュッと開け、言った。「昔は毎夕方、公園でこうして3人で、こんな簡単な事をしていたな」
「香織、最近、ある女の子に会ったんだ。その子の笑顔が、俺たちの芽衣ちゃんを思い出させる」
「芽衣ちゃん、父さんは最近、ある女性を見てからまた生きる気力が湧いてきたんだ。その子の元気さと笑顔が、お前を思い出させる。お前は昔、探偵になりたいって言ってただろう。あの子も、お前みたいな可愛い探偵なんだよ、ヘヘ」
「だが最近、俺が田中判事の贈賄事件を暴いたせいで、あの子のキャリアが陰ってしまった。テレビ局は毎日毎日俺の事ばかり報道する。人々は俺の話ばかりして、あの若い女性の名前は消えていった。俺は罪悪感を感じている。いつか彼女に会えたら、謝って、全力で彼女の活動を応援したい」
そう遠くない隣で、マスクをした参拝客が涙をポロポロと零しながら、亡き家族に語りかけるデニスさんの言葉を盗み聞きしていた。その手はワナワナと震えていた。
福デニス刺傷後15日。警察署は報道陣でごった返していた。
NHK朝のニュース
「田中判事の贈賄事件を暴き世間を騒がせている弁護士、福デニスの刺傷事件で、容疑者が出頭しました」
「刺傷事件の犯人は、他でもない、有名な女性探偵、キモチ・スガだと報じられています」
「犯人の動機は、現在警察が取り調べ中です」
「この馬鹿が!」
NHK朝のニュースを見たデニスさんが吐き捨てた。彼はタバコの火をジュッと揉み消し、警察署へ猛ダッシュした。
「デニスさん、どこ行くの?」
ロジャリ先生の基地の前で、慌てて出ていくデニスを見たスズカが尋ねた。
第20話を読んでいただき、ありがとうございました。
実はまだ腰が少し痛みます。
たぶん、年のせいですね……私、今年で34歳になりました。
それでも、皆様のブックマーク、コメント、★評価があれば、
このおじさんの腰の痛みも少しは和らぐ気がします。笑
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それでは、第21話でまたお会いしましょう。
ありがとうございました。
trowysan




